私たちは会計を終えると、橘さんに言われた通り、店の入り口付近で待った。
すると十二時を五分ほど少し過ぎたころ、黒い大きな車が入り口の目の前の駐車スペースに停車した。
「お待たせしてすみません」
バタンと音を立てて橘さんが車から降りてくる。
先ほどの白いワイシャツ姿とは違い、私服と思しき黒いTシャツを着ている。
「あのっ、よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げた私の横を通り過ぎ、橘さんはひょいと米袋みたいに大きな土の袋を二つ重ねて持ち上げた。
「積みこむのはこれですか?」
「は、はい」
なるべく軽めの土を選んだとは言え、あんなに軽々と持ってしまうなんて、やっぱり男の人ってすごいな。
正直、課長にホテル街に連れこまれかけてからというもの、男の人には警戒感しかなかった。
でも今日は耕太郎くんもいるし、このままだとどう考えても家に土を持って帰れないので仕方がない。
私もプランターを持って橘さんの車に積みこむと、車の中に大きなドッグフードの袋とペットシーツが見えた。
「……犬、飼ってるんですか?」
「うん。パグ」
そう言われて、ようやく私はこの人が前にホームセンターで会った人だと気づいた。



