夏とトマトとたぬき猫


 私は目の前のプランターを見つめた。これだと、キュウリの苗を三つは植えられそうな感じがするけどな。

「野菜の苗ってすごく大きくなるんですよ。実をつけるのにもたくさん水分と栄養が必要ですし、小さいのじゃダメです」

 ええっ、そうなの?

「でもこのプランター、一個千円もするんだけど……」

 私はプランターの値段を見てごくりと唾をのんだ。

 プランター三個に、土に肥料に支柱。全部買ったらかなりの出費になる。

 野菜を自給自足して節約生活、と思っていたけどどうやらそう簡単なことじゃないらしい。

 大きなリターンを得るためには、それなりの額を初期投資で突っ込む必要がありそうだ。

 すると耕太郎くんが提案してくる。

「そうだ。藍沢さんの家、せっかく大きな庭があるんだからプランターじゃなくて耕して畑にすればいいんじゃないですか?」

「畑ねえ……」

 私は自分の家の庭を畑にするところを想像してみた。

 ぼうぼうに生えている雑草を抜き、石ころをどかして畑にする。それは途方もない作業のように思えた。