夏とトマトとたぬき猫


 しばらくすると、深緑の看板に紅い苺の絵が描かれた可愛らしい看板が見えてきた。

「ここです」

 二人で入り口に自転車を止め、店内へと向かう。

「わあ、思ったより大きいね」

 私がキョロキョロと辺りを見回していると、耕太郎くんは緑色の買い物かごを手に取った。

「行きましょう」

 まず初めにミニトマトの支柱と虫よけのスプレーを買うと、次に私たちは二人で野菜苗コーナーに向かった。

 ここワイルドベリーは園芸専門店だけあって近所のホームセンターよりずっと苗の種類が多い。
 なんだか植物園みたいで、歩いているだけでわくわくしてしまう。

「わあ、ハーブもある」

私はハーブコーナーの前で足を止めた。バジルやミントだけでも数えきれないくらいの種類がある。

 ペパーミントにスペアミント、モヒートミントにアップルミント。私はこの世の中にミントがこんなにあるだなんて知らなかった。

 風が吹くたびに漂ってくるハーブの香りを楽しんでいると、耕太郎くんが店の奥を指さした。

「藍沢さん、野菜はこっちですよ」

「は、はいっ」

 私は慌てて耕太郎くんの進んだ方向へと走った。