耕太郎くんが言うには、どうやらもっと大きな鉢に植え直す必要があるらしい。

「ちょっと待って。他に植木鉢……あったかなあ」

 私がゴソゴソと庭の物置を漁っていると、耕太郎くんは庭に転がっていた大きなバケツを指さした。

「このバケツ、使ってますか?」

「これ? ううん。こんなのがあったの初めて知ったくらい」

「……うん、大きさ的にちょうど良さそうですね」

 耕太郎くんはバケツに植木鉢を入れた。植木鉢はバケツの中ほどで引っ掛かり、ちょうど中に空間ができる形になる。そこに耕太郎くんは水を入れた。

「こうして根っこから水を吸わせるといいですよ。本当は液体肥料もあると良いんですけど」

「肥料をあげたほうが良いの?」

「はい。二週間に一度くらい。あとは、これだけだと倒れちゃうので支柱もあるといいですね」

 私は急いで耕太郎くんに言われた内容をメモした。

「すごい……何でそんなに詳しいの!?」

 もしかして、家庭菜園好きのお爺ちゃんかお婆ちゃんでもいるのだろうか。
 そう思って尋ねると、耕太郎くんはすました顔をして答えた。

「動画サイトで勉強しましたから」

 動画サイト……。

 落ち着いた感じの子だと思ったけど、そういうところは今どきの子なんだな、と妙におかしくなった。