腕にじりじりと初夏の日差し。
六月のある日、私は道路脇に自転車を停め、民家の庭先に向かって叫んだ。
「ミニトマト、どうやったらそんなに大きくなるの⁉︎」
民家の庭先にいた見知らぬ男子小学生が、大きなカーキ色のジョウロを手に固まる。
小学生の足元には、たくさんの赤や黄色の実をつけたミニトマトの鉢植えが青々と葉を茂らせていた。
男の子は私の顔をじっと見つめた後、ジョウロを庭先に置くと黙って家の中へと入っていってしまった。
無理もない。彼からしたら、私は面識もない小学生にいきなり話しかける不審な女だ。通報されてもおかしくない。
私が警察にしょっぴかれる自分の様子を妄想していると、ガラリと玄関の戸が開いて先ほどの小学生が出てきた。
靴をクロックスからナイキのスニーカーへと履き替えて出てきた小学生は、私の自転車を指さした。
「……その猫、お宅の猫だったんですね」
見ると、かごに乗せていたリュックからタヌちゃんが顔を出していた。
「え? ……ああ、うん」
「たまに家に来るからノラかと思ってた」
「あー、なんか勝手に窓開けて出て行っちゃうんだよね」
私が笑ってごまかすと、小学生は納得したようにうなずいた。
六月のある日、私は道路脇に自転車を停め、民家の庭先に向かって叫んだ。
「ミニトマト、どうやったらそんなに大きくなるの⁉︎」
民家の庭先にいた見知らぬ男子小学生が、大きなカーキ色のジョウロを手に固まる。
小学生の足元には、たくさんの赤や黄色の実をつけたミニトマトの鉢植えが青々と葉を茂らせていた。
男の子は私の顔をじっと見つめた後、ジョウロを庭先に置くと黙って家の中へと入っていってしまった。
無理もない。彼からしたら、私は面識もない小学生にいきなり話しかける不審な女だ。通報されてもおかしくない。
私が警察にしょっぴかれる自分の様子を妄想していると、ガラリと玄関の戸が開いて先ほどの小学生が出てきた。
靴をクロックスからナイキのスニーカーへと履き替えて出てきた小学生は、私の自転車を指さした。
「……その猫、お宅の猫だったんですね」
見ると、かごに乗せていたリュックからタヌちゃんが顔を出していた。
「え? ……ああ、うん」
「たまに家に来るからノラかと思ってた」
「あー、なんか勝手に窓開けて出て行っちゃうんだよね」
私が笑ってごまかすと、小学生は納得したようにうなずいた。



