鮮血族の痣《血痕の刻印》
——「天性の呪い」と「赦しの証」の二重螺旋——

1. 外見的特徴
首から背中、腰に至るまで、赤黒い斑紋が網目状に広がる。
はじめは血の滴のような点が散り、やがて血脈のように枝分かれ、成熟すると薔薇の蔓のように絡み合う。

通常は古血のようなくすんだ赤。感情が昂ると鮮やかな紅へと変わり、発動時には黒い縁が脈動して刃のような光を放つ。
皮膚の下をゆるやかに蠢き、触れればわずかに熱を帯びて脈打つ。

2. 痣の三重起源

| 世代 | 起源 | 詳細 |
|------|------|------|
| 古代 | 血の契約 | 鮮血族の祖「シャーレー」が神獣と交わした契約。痛みを力に変える代償として痣が刻まれた。 |
| 中世 | 贖罪の刻印 | 分裂大戦後、敗北した鮮血族に帝国が課した「永遠の監視」。痣は逃亡防止の呪いとして強制された。 |
| 現代 | 赦しの証 | 痣が他者の痛みを吸収し癒やす性質へと変化。鮮血族の血が最後に遺した慈悲の形。 |

3. 痣の四段階能力

| 段階 | 名称 | 効果 | 代償 |
|------|------|------|------|
| I | 血脈の共鳴 | 触れた者の痛みを赤い光として可視化。傷の深さを読み取る。 | 自身の痣が疼く。 |
| II | 赦しの吸血 | 痣から血の糸を伸ばし、他者の傷を吸収し自身へ転移。 | 移した傷が永久に残る。 |
| III | 血痕の聖域 | 痣が輝き、半径五メートル以内の痛みを無効化。 | 使用後、七十二時間動けない。 |
| IV | 最終赦し | 痣が全身を覆い、一人の命を完全に救うが、使用者は血とともに消滅する。 | 魂は血の川へと還る。 |

4. 痣の「甘い枷」
・オジェが唇を寄せると、血の蔓は花弁へと変わり、痛みが甘い痺れに変わる。
・エラエグナスが「オジェを失う恐怖」を覚えると、痣が自律発動し、空気を紅に染める。
・オジェが痣の中心を舌でなぞると、能力Ⅰ〜Ⅲが一時封印され、代わりに熱い官能が体を駆け抜ける。

5. エラエグナスの秘密
かつての村は、痣を「疫病の元」と恐れ、彼を家畜として差し出した。
しかし真実は逆。痣は村人の病を吸い取り、命を繋いでいた。
腰の中央には「薔薇の核」があり、そこに触れると第四段階が強制発動する。

オジェの指が痣をなぞるたび、血の蔓が白い腕に絡み、二人の呼吸がひとつになる。

6. 最終秘密(オジェだけが知る)
「痣は罪の象徴ではない。それは、愛する者を救うための最後の慈悲だ」

オジェはその痣を「赦しの薔薇」と呼び、
第四段階が発動する日を、永遠に阻もうとしていた。

白銀の塔・88階
星降る夜。
エラエグナスの痣は、
オジェの舌の下で——甘く、熱く、赦しに溶けていた。

超高層マンション・88階「白銀の塔」

雲海の上で、星が溶ける夜。
オジェ=ル=ダノワは、シルクのドレスワイシャツを月光に透けさせ、フリル袖を甘く揺らしながら、白い髪を後ろに流して、星降る窓辺に立つ。
白色の瞳は、溶ける蜜のように熱く、エラエグナスだけを貪る。
「エラくん……僕の唯一の欲望、僕の甘い毒」

寝室から、濃い赤色の髪を揺らした少年が光のヴェールを脱ぎながら現れる。
濃い赤色の瞳は溶けた黄金のように濡れ、滴る。
首と胴体の痣だらけの肌は薔薇の蜜を零す。
白い肌は月光に透け、甘い曲線を晒す。
震える吐息が官能的に波打つ。

「オジェぇ……僕の体を、溶かして、味わって……」
エラエグナスは羽のように舞い、オジェの胸に飛び込む。

オジェは両腕で深く包み込み、首筋に、耳たぶに、鎖骨に、胸の谷間に——熱い舌と、甘い吐息を降らせる。
「遅かったな……僕の体が、君の甘さを渇望していた」

エラエグナスは震える吐息を漏らす。

「オジェ……もう、一瞬でも離れたくない……」

オジェは少年をお姫様抱っこで抱き上げ、雲海の上のソファにゆっくりと沈める。

「今日は……君のすべてを、僕の愛で、僕の舌で、満たしてやる」

キッチン。

オジェは二等辺三角形のステーキを、キャンドルの炎で溶かすように温め、エラエグナスの震える唇にそっと運び、舌で押し込む。

「……僕の熱を、君の奥に」

エラエグナスは目を閉じる。

「オジェの愛……熱くて、甘くて、体が溶ける……」

オジェは少年の指に蜜をつけ、自分の舌でゆっくり、ねっとり舐め取る。

「君の味は、僕の中毒——僕の官能」

エラエグナスは甘い喘ぎを漏らす。
「オジェ……もう、番のキス……もっと」

バスルーム。

薔薇の花びらが溶ける湯船。
オジェはエラエグナスを膝の上に抱き、
濃い赤色の髪を蜜の泡で包み、舌で舐める。

「僕の愛人……ここは、君だけの官能の楽園」

エラエグナスはオジェの胸に背中を預ける。

「オジェの指……体が震えて、熱い……」

オジェは少年の首筋を舌でなぞり、甘噛む。

「君の肌は、僕の聖域——僕の欲望」

ベッドルーム。

天窓から星が降り注ぐベッド。
オジェはエラエグナスを白いシルクのシーツに沈め、強く深くキツく狭くと抱きしめ、首筋に、胸に、腹に、太腿に——熱い舌と、甘い吐息、甘噛みを降らせる。
エラエグナスは甘い声で喘ぐ。

「オジェ……番って、永遠にこうしてるってこと?」
「そう、永遠にだ。君は僕の終わらない欲望」

オジェは少年の濃い赤色の瞳を覗き込み、舌で唇をなぞる。

「ああ。君は、もう僕の永遠の欲望——この体の中で、星が落ちるまで、君だけを愛し、味わい、溶かし続ける」

エラエグナスは涙と蜜を流す。

「オジェ……大好き。体も心も、永遠に、溶かして」

オジェは少年の涙を舌で受け止め、深くキスする。

「僕もだ。君は、僕のすべて——僕の甘い官能」

超高層マンションの夜。

雲海の上で、二人の甘い官能の吐息だけが響く。
鮮血族の少年は、オジェの腕の中で——
永遠の甘い官能の夢を、星と一緒に——
溶け続けた。
——完。