アンブラータの過去
——「痣の災い」と呼ばれた日々——
灰燼の村 三年前・満月の夜
【第1章 痣の誕生】
アンブラータは生まれながらに、顔に赤黒い痣を宿していた。
額、頬、顎、鼻梁——血が滲み出るようなその模様に、人々は怯えた。
「災いの子だ! 鮮血族の呪いだ!」
叫び声が夜に響き、母は泣き崩れ、父は無言で斧を握る。
それでも、幼いアンブラータの瞳だけは、くすんだ赤に優しい光を宿していた。
【第2章 村の烙印】
| 年齢 | 出来事 |
|------|----------|
| 5歳 | 村の祭りで晒し者にされ、石を投げられる。額の痣が裂け、血が滲む。 |
| 7歳 | 学校を追われ、納屋の隅で本を読む。子供たちは「触ると呪われる」と逃げる。 |
| 9歳 | 村長の命で鎖に繋がれ、「災いの子」として見世物にされる。食事は残飯のみ。 |
| 11歳 | 満月のたび痣が疼き、血の涙を流す。村人は「魔物の兆し」と叫び、火あぶりを決める。 |
【第3章 最後の夜】
満月の夜、広場に杭が立ち、アンブラータは縛り付けられた。
村人たちが松明を掲げる。
「この痣が疫病を呼んだ! 焼き払え!」
火が近づき、少年は母の姿を探す。
母は泣き崩れ、父は目を逸らした。
「助けて……誰か……」
その瞬間——
【第4章 オジェの到来】
闇を裂く白銀の閃光が広場を貫いた。
オジェ=ル=ダノワが銀の教官服を翻し、松明の炎の中に現れる。
白い瞳が、一瞬で少年の痣を見抜いた。
「手を出すな。これは、僕の所有物だ」
怯えた村人たちが後退する中、オジェは鎖を一閃で断ち、アンブラータを抱き上げる。
震える少年が囁いた。
「オジェ……? 僕、怖い……」
オジェは痣の上に唇を寄せ、静かに告げた。
「もう誰も君を傷つけない。その痣は、僕の宝物だ」
【第5章 痣の真実】
後日、白銀の塔で。
オジェは古文書を読み解き、痣の真の意味を知る。
「これは鮮血族の“赦しの印”——迫害された血が最後に残す愛の証。痛みに耐えた者だけが、他者を癒やす力を得る」
アンブラータの痣は、村人を癒やしていたのだ。
疫病で倒れた子どもたちを、無意識に血の力で救っていた。
それを人々は「呪い」と恐れたにすぎなかった。
【現在 白銀の塔・八十八階】
星の降る夜。
アンブラータはオジェの胸の中で眠っていた。
かつての痣は、今は淡く光に溶け、穏やかな輝きを放つ。
オジェは頬にくちづけを落とし、囁く。
「君の痣は、僕の誇りだ」
アンブラータは寝言のように微笑み、
「オジェ……もう、怖くない……」
——迫害は愛に変わった。
痣は、赦しの印となった。
雲海の上を、二人の吐息だけが甘く満たしていく。
超高層マンション・88階「白銀の塔」
雲海の上で、星が溶ける夜。
オジェ=ル=ダノワは、シルクのドレスワイシャツのフリル袖を月光に透けさせ、白い髪を後ろに流して、星降る窓辺に立つ。 白色の瞳は、溶ける蜜のように甘く、熱く、アンブラータだけを映す。
「アンくん……僕の唯一の欲望」
寝室から、くすんだ赤い髪を揺らした少年が光のヴェールをまとって現れる。 くすんだ赤い瞳は溶けた黄金のように濡れ、顔の痣だらけの肌は薔薇の蜜を滴らせる。 白い肌は月光に透け、震える吐息が甘く香る。
「オジェぇ……僕のすべてを、溶かして……」
アンブラータは羽のように舞い、オジェの胸に飛び込む。 オジェは両腕で深く包み込み、首筋に、耳たぶに、鎖骨に——熱い吐息と、甘いキスを降らせる。
「遅かったな……僕の体が、君を渇望していた」
アンブラータは震える吐息を漏らす。
「オジェ……もう、一秒でも離れたくない……」
オジェは少年をお姫様抱っこで抱き上げ、雲海の上のソファにゆっくりと横たえる。
「今日は……君のすべてを、僕の愛で満たしてやる」
キッチン。
オジェは平行四辺形のステーキを、キャンドルの炎で溶かすように温め、アンブラータの震える唇にそっと運ぶ。
「……僕の熱を、君の中に」
アンブラータは目を閉じる。
「オジェの愛……熱くて、甘くて、胸が溶ける……」
オジェは少年の指に蜜をつけ、自分の舌でゆっくり舐め取る。
「君の味は、僕の中毒」
アンブラータは甘い喘ぎを漏らす。
「オジェ……もう、番のキス……」
バスルーム。
薔薇の花びらが溶ける湯船。 オジェはアンブラータを膝の上に抱き、くすんだ赤い髪を蜜の泡で包む。
「僕の愛人……ここは、君だけの官能の楽園」
アンブラータはオジェの胸に背中を預ける。
「オジェの指……体が震える……」
オジェは少年の首筋を舌でなぞる。
「君の肌は、僕の聖域」
ベッドルーム。
天窓から星が降り注ぐベッド。 オジェはアンブラータを白いシルクのシーツに沈め、深く狭く強くキツく抱きしめ、首筋に、胸に、腹に——熱いキスと、甘い吐息を降らせる。
アンブラータは甘い声で囁く。
「オジェ……番って、永遠にこうしてるってこと?」
「そうだ。君は、僕の永遠の欲望だ」
オジェは少年のくすんだ赤い瞳を覗き込む。
「ああ。君は、もう僕の永遠の欲望」
「この体の中で、星が落ちるまで、君だけを愛し続ける」
アンブラータは涙と蜜を流す。
「オジェ……大好き。体も心も、永遠に」
オジェは少年の涙を舌で受け止める。
「僕もだ。君は、僕の愛のすべて」
超高層マンションの夜。
雲海の上で、二人の甘い官能だけが響く。 鮮血の少年は、 オジェの腕の中で—— 永遠の甘い官能の夢を、 星と一緒に—— 溶け続けた。
——完。
——「痣の災い」と呼ばれた日々——
灰燼の村 三年前・満月の夜
【第1章 痣の誕生】
アンブラータは生まれながらに、顔に赤黒い痣を宿していた。
額、頬、顎、鼻梁——血が滲み出るようなその模様に、人々は怯えた。
「災いの子だ! 鮮血族の呪いだ!」
叫び声が夜に響き、母は泣き崩れ、父は無言で斧を握る。
それでも、幼いアンブラータの瞳だけは、くすんだ赤に優しい光を宿していた。
【第2章 村の烙印】
| 年齢 | 出来事 |
|------|----------|
| 5歳 | 村の祭りで晒し者にされ、石を投げられる。額の痣が裂け、血が滲む。 |
| 7歳 | 学校を追われ、納屋の隅で本を読む。子供たちは「触ると呪われる」と逃げる。 |
| 9歳 | 村長の命で鎖に繋がれ、「災いの子」として見世物にされる。食事は残飯のみ。 |
| 11歳 | 満月のたび痣が疼き、血の涙を流す。村人は「魔物の兆し」と叫び、火あぶりを決める。 |
【第3章 最後の夜】
満月の夜、広場に杭が立ち、アンブラータは縛り付けられた。
村人たちが松明を掲げる。
「この痣が疫病を呼んだ! 焼き払え!」
火が近づき、少年は母の姿を探す。
母は泣き崩れ、父は目を逸らした。
「助けて……誰か……」
その瞬間——
【第4章 オジェの到来】
闇を裂く白銀の閃光が広場を貫いた。
オジェ=ル=ダノワが銀の教官服を翻し、松明の炎の中に現れる。
白い瞳が、一瞬で少年の痣を見抜いた。
「手を出すな。これは、僕の所有物だ」
怯えた村人たちが後退する中、オジェは鎖を一閃で断ち、アンブラータを抱き上げる。
震える少年が囁いた。
「オジェ……? 僕、怖い……」
オジェは痣の上に唇を寄せ、静かに告げた。
「もう誰も君を傷つけない。その痣は、僕の宝物だ」
【第5章 痣の真実】
後日、白銀の塔で。
オジェは古文書を読み解き、痣の真の意味を知る。
「これは鮮血族の“赦しの印”——迫害された血が最後に残す愛の証。痛みに耐えた者だけが、他者を癒やす力を得る」
アンブラータの痣は、村人を癒やしていたのだ。
疫病で倒れた子どもたちを、無意識に血の力で救っていた。
それを人々は「呪い」と恐れたにすぎなかった。
【現在 白銀の塔・八十八階】
星の降る夜。
アンブラータはオジェの胸の中で眠っていた。
かつての痣は、今は淡く光に溶け、穏やかな輝きを放つ。
オジェは頬にくちづけを落とし、囁く。
「君の痣は、僕の誇りだ」
アンブラータは寝言のように微笑み、
「オジェ……もう、怖くない……」
——迫害は愛に変わった。
痣は、赦しの印となった。
雲海の上を、二人の吐息だけが甘く満たしていく。
超高層マンション・88階「白銀の塔」
雲海の上で、星が溶ける夜。
オジェ=ル=ダノワは、シルクのドレスワイシャツのフリル袖を月光に透けさせ、白い髪を後ろに流して、星降る窓辺に立つ。 白色の瞳は、溶ける蜜のように甘く、熱く、アンブラータだけを映す。
「アンくん……僕の唯一の欲望」
寝室から、くすんだ赤い髪を揺らした少年が光のヴェールをまとって現れる。 くすんだ赤い瞳は溶けた黄金のように濡れ、顔の痣だらけの肌は薔薇の蜜を滴らせる。 白い肌は月光に透け、震える吐息が甘く香る。
「オジェぇ……僕のすべてを、溶かして……」
アンブラータは羽のように舞い、オジェの胸に飛び込む。 オジェは両腕で深く包み込み、首筋に、耳たぶに、鎖骨に——熱い吐息と、甘いキスを降らせる。
「遅かったな……僕の体が、君を渇望していた」
アンブラータは震える吐息を漏らす。
「オジェ……もう、一秒でも離れたくない……」
オジェは少年をお姫様抱っこで抱き上げ、雲海の上のソファにゆっくりと横たえる。
「今日は……君のすべてを、僕の愛で満たしてやる」
キッチン。
オジェは平行四辺形のステーキを、キャンドルの炎で溶かすように温め、アンブラータの震える唇にそっと運ぶ。
「……僕の熱を、君の中に」
アンブラータは目を閉じる。
「オジェの愛……熱くて、甘くて、胸が溶ける……」
オジェは少年の指に蜜をつけ、自分の舌でゆっくり舐め取る。
「君の味は、僕の中毒」
アンブラータは甘い喘ぎを漏らす。
「オジェ……もう、番のキス……」
バスルーム。
薔薇の花びらが溶ける湯船。 オジェはアンブラータを膝の上に抱き、くすんだ赤い髪を蜜の泡で包む。
「僕の愛人……ここは、君だけの官能の楽園」
アンブラータはオジェの胸に背中を預ける。
「オジェの指……体が震える……」
オジェは少年の首筋を舌でなぞる。
「君の肌は、僕の聖域」
ベッドルーム。
天窓から星が降り注ぐベッド。 オジェはアンブラータを白いシルクのシーツに沈め、深く狭く強くキツく抱きしめ、首筋に、胸に、腹に——熱いキスと、甘い吐息を降らせる。
アンブラータは甘い声で囁く。
「オジェ……番って、永遠にこうしてるってこと?」
「そうだ。君は、僕の永遠の欲望だ」
オジェは少年のくすんだ赤い瞳を覗き込む。
「ああ。君は、もう僕の永遠の欲望」
「この体の中で、星が落ちるまで、君だけを愛し続ける」
アンブラータは涙と蜜を流す。
「オジェ……大好き。体も心も、永遠に」
オジェは少年の涙を舌で受け止める。
「僕もだ。君は、僕の愛のすべて」
超高層マンションの夜。
雲海の上で、二人の甘い官能だけが響く。 鮮血の少年は、 オジェの腕の中で—— 永遠の甘い官能の夢を、 星と一緒に—— 溶け続けた。
——完。



