自分が何をしでかしているか、わかっていないわけじゃない。
わかっていて、なお優陽のもとに向かっている俺は気が触れたのかもしれない。
後先を度外視しているわけでもない。
自分の身に何が降りかかるのか、怖くないわけでもない。
――それでも、どうしても早く優陽の無事を確認したい。
気だけが急いては、落ち着けない。
心臓が鼓膜のそばに移動したように自分の鼓動がけたたましく響き続けていた。
目当てのマンションに辿り着き、タクシーを降りる。
エントランスの開錠、エレベーターホールまでの距離、ボタンの押下、上昇するエレベーター、扉の開く時間、いちいち全てがもどかしく感じた。
内廊下を走って、目的の2605号室に辿り着く。
「――優陽!!」
鍵で玄関の扉を開ける。
靴を脱ぎ捨て、部屋に入っていく。
リビングには誰も居ない。
ただダイニングテーブルの上には見張りをしていた男たちが散らかしたのか、ペットボトルやお菓子のゴミが散乱していた。
「優陽! 居るのか?!」
部屋中を見回しながら声をかける。
「琉唯!!」
奥の扉が開いたかと思えば、優陽が飛び出してくる。
そのまま勢いよく俺に向かってくる優陽を胸で受け止めてすっぽりと収まる華奢な身体を抱き締めた。
「……琉唯!」
「優陽……」
心細かったのか、優陽の華奢な肩が震えていて、ますます腕に力を込める。
優陽は指先が白くなるほどに俺の服をギュッとしがみつくように握っていた。
「何かされたか?」
「……ううん。何もされてない。昨日ノアさんの取り巻きの男の人たちにここに連れてこられて……。ノアさんは昨日の夜には帰ったんだけど、男の人たちにリビングで見張られてて。いつ帰れるんだろうって、不安で眠れなくて……」
優陽は見知らぬ男たちと同じ家の中で、奥の洋室に閉じこもって不安に駆られながら、ずっと過ごしていたのかと思うと、胸が痛む。
昨日、電話をしていれば、もっと早く異変に気づいてやれたのだろうか?
そもそも俺が優陽に関わらなければ……。
優陽を傷つけていたことに胸が苦しくて仕方なかった。
「七嶋に連絡する。ここまで優陽を迎えに来てもらおう」
「嫌だ!!」
優陽にしては大きな声を出して俺を見上げた。
涙目で上目遣いで、白い頬をピンク色に染め上げていて。
こんな時だというのに、
――これ、本気でヤバいやつだわ。
「もし、琉唯が大丈夫なら……」
「ん」
「もうちょっと、このままでいさせてほしい……」
そう言って俺の胸元に顔を沈めた優陽。
常に自分を後回しにして意見を言わない優陽が俺へと伝えた主張……。
それでも最初に俺を気遣っているのが優陽らしくて。
――かわいすぎて、どうしようもない。
優陽が愛おしすぎて、胸が張り裂けるのではないかと本気で心配になるほど。
「ん。もう少し、こうしてような」
「……琉唯。ありがとう……」
柔らかく髪を撫でてやれば、優陽は少し安心したのか俺の服を握っていた指の力を緩めた。
優陽が俺を信頼してくれているのがわかって、俺も胸の奥の緊張がするすると解けるように弛緩していく。
――優陽を離したくない……。
しばらく、二人で存在と体温をわかち合うように抱き締め合っていた。
わかっていて、なお優陽のもとに向かっている俺は気が触れたのかもしれない。
後先を度外視しているわけでもない。
自分の身に何が降りかかるのか、怖くないわけでもない。
――それでも、どうしても早く優陽の無事を確認したい。
気だけが急いては、落ち着けない。
心臓が鼓膜のそばに移動したように自分の鼓動がけたたましく響き続けていた。
目当てのマンションに辿り着き、タクシーを降りる。
エントランスの開錠、エレベーターホールまでの距離、ボタンの押下、上昇するエレベーター、扉の開く時間、いちいち全てがもどかしく感じた。
内廊下を走って、目的の2605号室に辿り着く。
「――優陽!!」
鍵で玄関の扉を開ける。
靴を脱ぎ捨て、部屋に入っていく。
リビングには誰も居ない。
ただダイニングテーブルの上には見張りをしていた男たちが散らかしたのか、ペットボトルやお菓子のゴミが散乱していた。
「優陽! 居るのか?!」
部屋中を見回しながら声をかける。
「琉唯!!」
奥の扉が開いたかと思えば、優陽が飛び出してくる。
そのまま勢いよく俺に向かってくる優陽を胸で受け止めてすっぽりと収まる華奢な身体を抱き締めた。
「……琉唯!」
「優陽……」
心細かったのか、優陽の華奢な肩が震えていて、ますます腕に力を込める。
優陽は指先が白くなるほどに俺の服をギュッとしがみつくように握っていた。
「何かされたか?」
「……ううん。何もされてない。昨日ノアさんの取り巻きの男の人たちにここに連れてこられて……。ノアさんは昨日の夜には帰ったんだけど、男の人たちにリビングで見張られてて。いつ帰れるんだろうって、不安で眠れなくて……」
優陽は見知らぬ男たちと同じ家の中で、奥の洋室に閉じこもって不安に駆られながら、ずっと過ごしていたのかと思うと、胸が痛む。
昨日、電話をしていれば、もっと早く異変に気づいてやれたのだろうか?
そもそも俺が優陽に関わらなければ……。
優陽を傷つけていたことに胸が苦しくて仕方なかった。
「七嶋に連絡する。ここまで優陽を迎えに来てもらおう」
「嫌だ!!」
優陽にしては大きな声を出して俺を見上げた。
涙目で上目遣いで、白い頬をピンク色に染め上げていて。
こんな時だというのに、
――これ、本気でヤバいやつだわ。
「もし、琉唯が大丈夫なら……」
「ん」
「もうちょっと、このままでいさせてほしい……」
そう言って俺の胸元に顔を沈めた優陽。
常に自分を後回しにして意見を言わない優陽が俺へと伝えた主張……。
それでも最初に俺を気遣っているのが優陽らしくて。
――かわいすぎて、どうしようもない。
優陽が愛おしすぎて、胸が張り裂けるのではないかと本気で心配になるほど。
「ん。もう少し、こうしてような」
「……琉唯。ありがとう……」
柔らかく髪を撫でてやれば、優陽は少し安心したのか俺の服を握っていた指の力を緩めた。
優陽が俺を信頼してくれているのがわかって、俺も胸の奥の緊張がするすると解けるように弛緩していく。
――優陽を離したくない……。
しばらく、二人で存在と体温をわかち合うように抱き締め合っていた。



