***
「ねぇ、優陽。侑を起こしてきてくれない?」
朝食に出してもらったホットサンドとグリーンサラダとわかめスープとオレンジを食べ終えた僕にキッチンカウンター内の美織さんから声がかかる。
1階のダイニングルームには食欲をそそる匂いが充満していた。
「たっちゃん、陸上部の朝練でいつも早起きなのにね」
「春休み期間で朝練がなかったから侑は気が抜けちゃってるんだと思うわ」
「僕も進級した新学期早々、たっちゃんと一緒に遅刻したくないから起こしてくるよ」
「ありがとう、優陽。お願いね」
同じ高校とはいえ、陸上部のたっちゃんは朝練で先に自宅を出るから今日は久々に一緒に登校する。
2階に上がって、僕の隣のたっちゃんの部屋の前でドアをノックした。
「たっちゃーん。起きてる?」
「んー……」
扉越しには所在なげな声しか返ってこない。
まだ眠っていそうだ。
「たっちゃん、入るよ」
たっちゃんこと七嶋 侑の部屋へと踏み入る。
相変わらずジャンルを問わない様々な雑誌や本がフローリングに直に平積みされていた。
勉強机には大きなパソコンと携帯型ゲーム機が置いてあって、たっちゃんはゲーミングチェアーに座って、よくゲームをしている。
美織さんは「侑はゲームじゃなくて勉強しなさいよ。優陽を見習いなさい」とぼやいていた。
ベッドで羽毛布団に包まれているたっちゃんは明らかに起きる気がない。
僕は横たわるたっちゃんを羽毛布団越しにゆさゆさと揺らした。
「たっちゃん。陸上部の朝練ないからってゲームで夜更かししたよね?」
「地底のミッション難しかったんだって……」
「ほら。たっちゃん起きて。美織さんに起こしてくれって頼まれたんだよ」
「母さん、優陽に頼まないで自分で起こしに来いよ」
「たっちゃんは高2になっても美織さんに甘えすぎ。今日は僕と一緒に学校行こう」
「俺と一緒に優陽まで遅刻させるわけにはいかないか……」
ガバッと羽毛布団をはいで起き上がったたっちゃんは「おはよ、優陽」と、大きな手のひらで僕の頭を撫でてから、部屋を退室して1階へと下りていく。
身長167センチの僕よりちょうど10センチ背の高いたっちゃん。
学校に行く時には整髪料でスタイリングしている黒髪の短髪は今はストレートにおろされている。
たっちゃんは精悍とした顔立ちで女の子からもよく告白されていた。
でも、たっちゃんに特定の彼女が居たことはない……と思う。
僕とたっちゃんは同じ学年で、まるで双子のように同じ家で同じ学校で一緒に成長してきた。
けれど、たっちゃんと僕に血のつながりは全くない。
たっちゃんの両親が身寄りのない僕の保護者代わりとして生まれた時から育ててくれている。
朝のしたくを済ませ、たっちゃんと僕は同じ制服を着て、玄関に居た。
紺のブレザーに灰色チェックのスラックス、白のワイシャツに臙脂のネクタイが締められている。
僕たちが通う華澄学園高等学校の制服だ。
「今日は少し遅れちゃったけど、優陽の16歳のお誕生日会するから二人とも18時には事務所に来てね」
僕はダークブラウンのローファー、たっちゃんはグレーのスニーカーに履き替えていたら、美織さんから声がかかる。
「お父さんと宮永さんも出てくれるらしいわ。あと事務所の何人かも」
「父さん、出れるの?」
「今日こそ仕事、調整したらしいわよ。優陽の3/31のお誕生日当日は宮永さんの現場に付き添って北海道ロケだったものね」
「ねぇ、優陽。侑を起こしてきてくれない?」
朝食に出してもらったホットサンドとグリーンサラダとわかめスープとオレンジを食べ終えた僕にキッチンカウンター内の美織さんから声がかかる。
1階のダイニングルームには食欲をそそる匂いが充満していた。
「たっちゃん、陸上部の朝練でいつも早起きなのにね」
「春休み期間で朝練がなかったから侑は気が抜けちゃってるんだと思うわ」
「僕も進級した新学期早々、たっちゃんと一緒に遅刻したくないから起こしてくるよ」
「ありがとう、優陽。お願いね」
同じ高校とはいえ、陸上部のたっちゃんは朝練で先に自宅を出るから今日は久々に一緒に登校する。
2階に上がって、僕の隣のたっちゃんの部屋の前でドアをノックした。
「たっちゃーん。起きてる?」
「んー……」
扉越しには所在なげな声しか返ってこない。
まだ眠っていそうだ。
「たっちゃん、入るよ」
たっちゃんこと七嶋 侑の部屋へと踏み入る。
相変わらずジャンルを問わない様々な雑誌や本がフローリングに直に平積みされていた。
勉強机には大きなパソコンと携帯型ゲーム機が置いてあって、たっちゃんはゲーミングチェアーに座って、よくゲームをしている。
美織さんは「侑はゲームじゃなくて勉強しなさいよ。優陽を見習いなさい」とぼやいていた。
ベッドで羽毛布団に包まれているたっちゃんは明らかに起きる気がない。
僕は横たわるたっちゃんを羽毛布団越しにゆさゆさと揺らした。
「たっちゃん。陸上部の朝練ないからってゲームで夜更かししたよね?」
「地底のミッション難しかったんだって……」
「ほら。たっちゃん起きて。美織さんに起こしてくれって頼まれたんだよ」
「母さん、優陽に頼まないで自分で起こしに来いよ」
「たっちゃんは高2になっても美織さんに甘えすぎ。今日は僕と一緒に学校行こう」
「俺と一緒に優陽まで遅刻させるわけにはいかないか……」
ガバッと羽毛布団をはいで起き上がったたっちゃんは「おはよ、優陽」と、大きな手のひらで僕の頭を撫でてから、部屋を退室して1階へと下りていく。
身長167センチの僕よりちょうど10センチ背の高いたっちゃん。
学校に行く時には整髪料でスタイリングしている黒髪の短髪は今はストレートにおろされている。
たっちゃんは精悍とした顔立ちで女の子からもよく告白されていた。
でも、たっちゃんに特定の彼女が居たことはない……と思う。
僕とたっちゃんは同じ学年で、まるで双子のように同じ家で同じ学校で一緒に成長してきた。
けれど、たっちゃんと僕に血のつながりは全くない。
たっちゃんの両親が身寄りのない僕の保護者代わりとして生まれた時から育ててくれている。
朝のしたくを済ませ、たっちゃんと僕は同じ制服を着て、玄関に居た。
紺のブレザーに灰色チェックのスラックス、白のワイシャツに臙脂のネクタイが締められている。
僕たちが通う華澄学園高等学校の制服だ。
「今日は少し遅れちゃったけど、優陽の16歳のお誕生日会するから二人とも18時には事務所に来てね」
僕はダークブラウンのローファー、たっちゃんはグレーのスニーカーに履き替えていたら、美織さんから声がかかる。
「お父さんと宮永さんも出てくれるらしいわ。あと事務所の何人かも」
「父さん、出れるの?」
「今日こそ仕事、調整したらしいわよ。優陽の3/31のお誕生日当日は宮永さんの現場に付き添って北海道ロケだったものね」



