帰ろうよ、朋空先輩



「入川君はもっと自分の可愛さに気付いた方がいいよ。君を狙ってる子がたくさんいるから、危機感もしっかり持って」

以前俺が朋空先輩に言ったことそのまんまだ。まさかここでこんなブーメランを受けるとは。

「俺男だし、可愛いって言われる理由が自分じゃ全然分からないんです。それに一年のときなんて、誰からも声掛けられませんでしたよ」
「それは、君が大人しく過ごしていたからだろ?」
「……!?」

今も大人しくしてます。周りがワイワイしてるだけで。

心の中だけでツッコみ、縮こまってると、進堂先輩は腑に落ちない様子で首を傾げた。

「ほんと、何でこんな可愛い子に気付かなかったんだろ?」

彼は不思議そうに言うけど、俺は断言できる。
どう考えても朋空先輩効果だ。彼の周りに超強力な美白フィルターがかかるんだ。

しかしそれを言っても笑われるだけだと思い、口を噤んだ。

「それで、先輩……俺に今日会いに来た目的は」
「あ、そうそう! それが一番大事だった……お願い、入川君! 連絡先教えて!」

だからそれ、がっつり個人情報……!

俺の全細胞が教えちゃ駄目だ、と言っている。でも彼が他のメンバーには絶対教えないという謎の契約書を出してきたから、諦めて彼にだけは教えることにした。

進堂先輩は、俺のSNSのプロフィールを見ると感動して壁にもたれかかっていた。

「ありがとう……もう、一年は元気に生きられる」
「そ……そんなに?」

俺なんかのどこがそんなに良いんだ……。
終始困惑したけど、進堂先輩は感激した様子で帰っていった。

困ったことがあったら遠慮なく連絡して、と言われたけど、まずそんな時は来ないだろう。

「すごいなぁ……」

そういえば赤城先輩に知らないひとについていくなと言われてた。ついてはいかなかったけど、連絡先を教えてしまった。
バレたら怒られそうだから、赤城先輩には申し訳ないけど隠しとこう。

うんうんと頷き、歩き出す。

しっかし、進堂先輩ってすごいかっこよかった。いかにも可愛い女の子がいそうなのに、同性愛者だなんて意外だ。

人は見た目で判断しちゃいけない。

朋空先輩だってそうだ。皆が抱いてる先輩の印象は、実際は全然違う。


「雅月。おいで」
「先輩……」


本当の朋空先輩は、すご────く甘い。
優しい笑顔と甘い声は、俺の内側をとかしていく。

研究室に入り、鍵をかけて即先輩に抱き着いた。

「先輩、会いたかった」
「ん。俺も」