氷の花嫁~笑顔を失った能面の少女が幸せになるまで~

 ◇◇

 (許せない、許せない、許せない!)

 綾子は心の中で何度もそう繰り返した。

 これまで、いつだって織井家の中心だったのだ。両親はひとり娘の綾子を可愛がったし、使用人も常に綾子のために動いてくれた。

 家の中に限った話ではなく、女学校でも美しく優秀と評判で、教師やクラスメイトからも一目置かれるのが当然だった。

 (なのに、どうしていつも、紗良に関することだけは思い通りにならないのよ!)

 俯く紗良の姿を思い浮かべると、腹の中がドロリと熱い怒りで満たされた。