ゲーム世界の悪役貴族に転生した俺、最弱の【闇魔法】が実は最強だったので、破滅回避の為に死ぬ気で鍛えまくっていたら、どうやら鍛えすぎてしまったようです~なぜかメインイベントを俺がクリアしてしまうのだが~

 エリスの身体から漏れ出た魔力は上空で一つの塊となり、地上に降りてきた。

 「シャハハハ! やっと解放されたぜ!」

 地上に降り立った塊から這い出してきた魔族。俺の原作知識にある見覚えのあるやつだ。

 「デゴン……人型魔族か」

 人間のように四肢があり、俺たちとサイズ感は同じ。

 「シャハハハ! 俺様の名を知っているとはなぁ~~てめぇ何者だ?」

 俺はデゴンの問いかけを無視して思考を巡らせる。
 原作ならば、デゴンはマリーナに封印されていた魔族。たしか設定上は魔王直属のなんとか将軍とかだったような。

 だが、デゴン自体はこのイベントで倒されてそれっきり出てこないので、魔王との関わりについてはそれほど重要な情報じゃない。

 もっとも重要なのはこいつのレベルだ。

 このイベントは学園卒業時に発生する。よって入学1年生レベルだと本来であれば勝ち目はほとんどない。
 しかし今の俺たちも原作をはるかに上回る成長を遂げている。

 ストーリー改変によりレベルの変更が行われていなければ、俺たちの勝率は高いはず。


 「おいおいおい~~この俺様を無視とは、最近のガキどもは躾がなっちゃいないようだな」
 「あの転移魔法は、おまえのしわざか?」
 「シャハハハ! そうだぜぇ~~邪魔が入らないようにそいつを頂かないといけないからなぁ~~~」」

 舌なめずりをしながら、エリスに視線をむけるデゴン。
 彼女はデゴン復活の魔力放出で気を失っているようだ。

 「ふざけるなよ―――おまえはこの場で永久に復活できなくしてやる」

 「シャハハハ! そうかい。俺様もお前をぶっ殺したくなってきたぜ~~
 ―――お、来たな」

 来ただと?

 「ヒャハハハ! 兄貴ぃいい、楽しそうな事してるじゃねぇか!」
 「フャハハハ! アニキぃい、オデも混ぜてくれよ!」

 なんだ!?

 デゴンが出てきた塊から新たな声が―――

 「シャハハハ! 焦るな兄弟! 今から楽しいお遊びタイムだからよ」

 塊から姿を現す新たな2体の魔族。


 兄弟だと……! デゴン3体かよ!


 ストーリー改変の影響か。まさか数が増えてるとは想定外だ。


 「シャハハハ―――デゴン長男!」
 「ヒャハハハ―――デゴン次男!」
 「フャハハハ―――デゴン三男!」

 「「「三人揃って――――――デゴン三兄弟!!」」」

 チッ、ご丁寧に自己紹介しやがって。
 対応メンツを分けるしかないな。本当は集中攻撃で一気に決めたかったが、こうなってしまった以上はしょうがない。

 「シャハハハ! 兄弟よ、復活祝いだ! 盛大に殺しまくるぞ! おっと、エリスだけは残しておけ。あの娘には俺様の魔力が少しばかり残っているからな。可愛がったあとに、ちゃ~~んと美味しく食べてやる!」
 「ヒャハハハ~うつわまでちゃんと食べてやるとは~~兄貴は優しいなぁ~~」
 「アニキ~~お、オデの分も! オデもくいたい!」


 こいつら……ふざけるなよ、エリスをなんだと思ってやがる。


 が、俺よりもその言葉に強く反応した少女から、凄まじい怒気が膨れ上がっていく。


 「―――アビ、もう抑えられそうにない」


 マリーナが綺麗な赤毛が、内に秘めた魔力に呼応してザワめきだしてる。
 荒ぶる炎が彼女から噴き出すように逆立って、まるで怒りの炎を宿しているかのようだ。


 そうだよな。彼女はこの日の為に頑張ってきたんだ。


 「マリーナ、デゴン次男を任せられるか?」
 「もちろんだ……次男をやったら残りも全部叩きのめしてやる」

 赤毛の美少女から凄い気迫を感じる。気合入りまくりだ。

 「ステラ、ウルネラはデゴン三男を! ナリサはエリスを頼むぞ!」

 頷いたナリサはすでに初級回復魔法をエリスにかけはじめている。ステラにもついてほしかったが、ここで彼女を前線から外すわけにはいかない。

 「―――ブレイル! 俺とデゴン長男をやるぞ!」
 「う、うん。わかったよ。アビロス君」


 「シャハハハ! 人間ごときが上位魔族さまに挑むらしいぜ!」
 「ヒャハハハ! 兄貴、やっぱり人間どもってアホだな!」


 そんなやつらの嘲笑が終わらぬうちに、即時魔法を発動した2人。

 「―――上級聖光弾魔法(ハイホーリーバレット)!」
 「―――上級火炎魔法(ハイファイアーボール)!」

 ステラとウルネラだ。
 ウルネラのやつ、上級魔法が使えるのかよ。ハハッ、さすがSクラスだぜ!


 ―――そして燃え盛る赤い炎


 「貴様らゲスにはエリスに指一本触れさせん!!
 ――――――王家の赤い炎槍(ロイヤルファイアースピア)!!」


 深紅に燃える槍が、デゴン次男を襲う。
 すげぇ。俺が今まで見た中で一番早くて重い突きだ。

 「ブレイル! ライトスラッシュだ! 全力でいけ!」
 「わかった! アビロス君!」

 俺とブレイルは抜刀するやいなや、デゴン長男まで一気に間合いを詰めた。

 「おお~~! 人間にしては早いな!」


 その余裕のニヤケ面を――――――今すぐ消してやる!


 「―――ライトスラッシュ!」
 「くらいやがれ!!
 ――――――上級重力付与剣(ハイグラビティソード)!」


 アビロスチームとデゴン3兄弟の死闘が始まった。