ゲーム世界の悪役貴族に転生した俺、最弱の【闇魔法】が実は最強だったので、破滅回避の為に死ぬ気で鍛えまくっていたら、どうやら鍛えすぎてしまったようです~なぜかメインイベントを俺がクリアしてしまうのだが~

 「そうなんですね、ララさんが毒の吸出しをしてたんですね」
 「ごめん、アビロっち~~てっきりあんたが全員手籠めにしたのかと~~」

 いや、俺はどんだけ極悪人なんだよ。まあ悪役だけど。
 いきなりチューチューしまくる現場を見たらビックリするのはわかるけどな。
 とにかくナリサとウルネラの誤解は解けた。

 そこへ小さな救世主が、俺にニッコリと微笑んだ。

 「ご主人様~~みんなの解毒完了したです~~」
 「よし、良くやったララ。偉いぞ」
 「ララは役に立ったですか?」
 「もちろんだ、ララはみんなの命を救ったんだ。俺の自慢のメイドだよ」
 「えへへ~~です!」

 小さなメイドが可愛くガッツポーズをする。

 いや、本当に良くやった。
 ララがいなければ、ステラたちは助からなかった。


 最高のメイドだよ。おまえをお付きのメイドに選んで良かった。


 よし、これでエリス王女の救出イベントはクリアだな。

 「さて、ここから出ないとな。ステラ、マリーナ、動けるか?」
 「アビロス、なんとか」
 「わたしも……大丈夫だ」

 きつそうだな2人とも。解毒されたばかりだしな。

 「ナリサ、ウルネラ。2人に肩をかしてやってくれ」

 さて……あとは。

 俺はぐったりとその場に横たわる、金髪の美少女に視線を移した。
 その場で腰を落とし、彼女の瞳をしっかり見る。

 「エリス王女殿下、マルマーク家のアビロスと申します」
 「はい……エリスです。アビロスさま……あなたがずっと戦ってくれていた方ですね」
 「ええ、とにかくここを早く離れます。まだ残党がいるかもしれません。安心してください、必ず助かります」
 「はい……アビロスさま」

 マズいな……なんだか王女の顔が赤くそまりはじめた。 

 長時間縛られて、血を抜かれて、猛毒にさらされて。
 少女が耐えられる範疇を明らかに超えている。

 体調を乱しまくって、発熱しているのかもしれないな。
 急いだ方がよさそうだ―――

 「てことなので――――――ご無礼!」
 「えと? ひゃあああ!」

 俺はエリス王女を抱き上げた。
 いわゆるお姫様だっこというやつだ。本人お姫様だからまんまだけど。

 「少しの間我慢してください。とにかく外へ出ますよ」
 「ひゃい!」

 なんか受け答えもおかしくなってきているぞ。
 こりゃ早く手厚い看護と休養を取らせないと。

 「あ、アビロス君ぅうん~~僕も動けないよぉ~~だっこ~~」

 モジモジしながら刷り寄ってくるブレイル。
 よし、こいつは放っておこう。

 俺がエリスさまを抱きながら、一歩踏み出そうとしたその時―――

 ―――!?

 なんだ、地面が……地震か!?

 「アビ! なんだこの揺れは!」

 大きな揺れと共に、地下室の地面全体に光の術式が浮き上がってくる。 

 「これは……魔法陣か!?」
 「アビロス、これは自爆魔法陣です! ダメです、術式が複雑かつ大きすぎてすぐには解除できません!」

 自爆か……太陽教のやつらが、万一に備えて仕込んでいたのだろう。証拠を全て消すために。

 「ステラ! 爆発までの時間はどんぐらいだ!」
 「魔法陣の完全完成まであと1分ほどです。爆発したらこの建物ごと、木っ端みじんになる規模の魔法陣です!」


 マジかよ……


 「アビロスさま……やっぱりわたくしは助からないんですね」

 俺の腕の中で、弱々しく呟く金髪の少女。

 「何言ってんです? エリス王女」
 「足手まといなわたくしは置いて早く行ってください。あなた方なら全力で走れば助かるかもしれません」

 「エリス王女殿下、なにか勘違いしてますね。俺はさっき言ったよな」

 「は、はい? アビロスさま?」


 「必ず助けるって言った以上は絶対に助ける――――――だから大人しく抱かれてろ!」


 「……はい」

 しゃあねぇなぁ~~


 ―――俺の得意魔法を出すしかないか。


 「マリーナ、疲れているところ悪いが、天井に大きな穴を開けてくれ!」
 「任せろ、アビ。やっと役に立てる!」

 マリーナが炎の突きで地下室天井に大穴を開けた。

 「わあ! アビロっち~~空が見えるよ~~」

 「よし、地上への入り口が開けたな。流石だマリーナ!」
 「ああ、このぐらいお安い御用だアビ」

 「でもアビロス君、あんなに高くちゃみんな登れないよ。それに時間も……」
 「ナリサ、登らなくていいんだ」
 「え? どういうことアビロス君?」


 「俺の得意魔法を使うってことだよ―――」


 「あ、アビロス……まさか! ウソでしょ!」

 ステラがとっさに自身のスカートを抑えた。
 流石だな―――だが注意喚起している暇はねぇ―――


 「残りの魔力全部絞り出す! うぉおおおおお――――――!

 漆黒の闇よ、その禍々しき黒で奪い取れ!
 ――――――重力減魔法《グラビティダウン》!!」


 「みなさん! 各自スカートを抑えてください!!」


 「「「「「「「え? ―――キャアアアアア!!」」」」」」


 美少女たち(1名男含む)の叫び声が地下室にこだました。