ゲーム世界の悪役貴族に転生した俺、最弱の【闇魔法】が実は最強だったので、破滅回避の為に死ぬ気で鍛えまくっていたら、どうやら鍛えすぎてしまったようです~なぜかメインイベントを俺がクリアしてしまうのだが~

 第3王女マリーナの妹である第4王女エリスが誘拐された。
 これはゲーム原作のメインイベントだ。

 あとは、どこまでストーリー改変が行われているか。
 こればっかりは予測もつかない。

 「さて、マリーナ、まずは第4王女であるエリス王女殿下の容姿を教えてくれ」

 ぶっちゃけ第4王女のエリスはメインキャラではない。このイベント以外ではほとんど登場すらしないキャラだ。
 ゲーム画面でもほとんど姿が出てこないから、俺もよく覚えていない。

 「たしかに、王宮の祝賀会などでもお見かけしたことがないですね」
 「そういえば、第4王女様って~~ウルも知らないな~」
 「わたしも、お名前を初めて聞きました」

 ステラ、ウルネラ、ナリサも知らないようだ。まあ、ゲーム設定上露出しないキャラだからな。
 とりあえずは、対象者の容姿が多少なりともわからんと探しようがない。


 「ああ、いいぞ! エリスは可愛くって、目に入れても痛くなくて、もうずきゅ~ンってなる!」


 はい? ずきゅ~ン??

 なに言ってるんだ? 妹を溺愛していることだけは伝わってきたが。

 「マリーナ、もうちょっと具体的に教えてくれ。髪の毛の色とか、背丈とか」
 「ああ、髪の毛は天使のように愛くるしくて~~姿は妖精のようにキュンキュンしてて、もう全部愛おしいぞ!


 ―――いや、だからなんもわからん!


 「はい、マリーナ王女殿下に変わってお伝えします。エリス王女殿下は、金髪、黒目で、小柄な女性です。年齢は14歳、真っ赤なリボンの髪留めをつけております」

 おお、端的に特徴を捉えてわかりやすい。
 侍女さんが教えてくれた。

 「申し訳ございません。マリーナ様はエリス様のことになると少し興奮してしまうものでして」
 「ああ、気にするな。それだけ妹が大事なんだろ」

 さて、対象者の容姿が判明した。
 次にさらわれてどこに監禁されているか。つまりエリス様の居場所だが。

 「なにかヒントがあればいいのですが」
 「へぇ~~エリスさまは馬車で移動中だったんだ~~」
 「朝方出かけたきり馬車ごと行方不明なんですね」
 「やはり手分けして探すしかないか」

 場所は原作を知っている俺でもわからない。
 なぜなら、何か所か候補地があり決まっていないのだ。つまり毎回ランダムだ。
 ひとつづつ潰していると、とてもじゃないが時間が足りない。

 「あ、そういえば。今日の朝、王都の外れにある建物に豪華な馬車が止まってたよ。でもすぐにどこかにいっちゃったけど」

 ―――なに!?

 「ブレイル! そこどこだ!」
 「え、王都外れにある陽の教会近くだよ」

 陽の教会近くの施設……原作にもある監禁場所のひとつだ。

 「そういえば、豪華な紋章がついてたなぁ~~ほら、それに似たやつだよ」

 ブレイルの指さした方向には、マリーナのスピアに刻印されている紋章。

 つまり……王家の紋章だ。

 「ナイス情報だブレイル! しかし、よくそんなところにいたな?」
 「うん、僕は毎朝新聞配達しているからね。陽の教会に届ける時に見かけたんだよ。毎朝の風景とは違うな~て思ったから印象に残っていたんだよね」

 新聞配達……くぅうう~~主人公がまったく主人公ムーブしていない。これじゃ苦学生じゃねぇか。いや今のブレイルは学生でもなかった。

 が、とにかくブレイルの情報で確信を得ることができたぞ。

 「みんな。エリス王女は、そこに監禁されている可能性が高い」
 「そうだな、アビ! すぐにでも行くぞ!」

 マリーナがスピアを背負って、装備の点検をする。
 他のみんなも各々準備をはじめた。

 さて……

 「ブレイル――――――おまえもこい!」 
 「え?なんで?」


 なんでって、おまえ主人公だろうが!


 ここで活躍して学園に入るんだ。なんとしても。
 王女救出イベントとかならワンチャンありだぞ。なにせ王族だからな。

 「なんでもクソもあるか! おまえブレイルだろうが! 困っている人を助けるのが使命だろ!」

 「ちょっと待って、僕仕事中だから。行くなら代わりの門番さんに連絡して、あと午後有給申請しないと」

 くぅううう、主人公が午後有給とか言うんじゃない!
 ゲームイメージがぶっ壊れるだろうが!

 クソ……代わりかよ。

 俺があたりを見回すと、食堂の受け取り口で厨房の女の子に絡んでいる貴族に目が止まる。

 おお! あいつは! ナリサ達を馬鹿にした……

 「―――ゲシタ! ちょっとこい!」

 俺の声にイラついたのか。「ああ?」と息巻いてズンズンとこちらに向かってくるゲシタ。

 「ナリサ、頼む!」

 「う、うん。わかったアビロス君。
 ―――偽りの芳香(ディセプトアロマ)!」

 「ああ?なんだよアビロス! 調子にのってんじゃ……ポワ~~ン」

 「よし、ゲシタ! おまえは門番だ!」
 「お、おれはもんばん……ポワ~~ン」
 「午後の仕事に戻れ! 門番!」
 「も、もどる。おれのしごとはもんばん……ポワ~~ン」

 「よし、ブレイルこれで門番は大丈夫だ! さあ、みんな行くぞ!」


 聖杖を持った聖女ステラ。
 スピアを背負った第三王女のマリーナ。
 ナリサとウルネラ。
 そして、黒髪のブレイル。

 んん? なんかこれ本来のゲームパーティーぽくない?


 聖女に王女に主人公……いや、悪役の俺がなんでいるの?