待ち合わせ場所から少し歩ければ
辺りは屋台が沢山並び
賑わっていた。

「先輩なに食べます??」

「えっと、、りんご飴が食べたい」

「やっぱり屋台と言えばりんご飴ですよね!
ほらっあそこ美味しそうなの売ってますよ
行きましょ!」

「うん」



「りんご飴美味しいね」

「はい!」

「あっ焼きそばもありますよ!
シェアして食べません?」

「うんそうしようか」

「俺買ってきます!先輩はそこで待っててください」

「うんありがとう」

歩いていく後ろ姿をみて小さい頃に祖父と
お祭りにきたことを思い出す。




祖父母に引き取られたばかりで
まだ打ち解けていない頃、
祖父は僕を花火大会に誘ってくれた。
出店の食べ物やおもちゃを沢山買ってくれて、
最後に花火がよく見える場所といって
小さな祠のある神社に連れてきてくれた。

そこは本当に花火が綺麗に見える場所で
僕が魅入っていると、
祖父が1つのカメラを取り出した。

「凪や、わしや婆さんは
いつでも凪の味方だよ。
これからもずっと。
それでも側にいれないこともある。
そんな時このカメラのレンズを覗いてみなさい。
きっと凪を支えてくれるよ。」

祖父はそう言うと僕の頭をなでた。

不思議に思ったけれど
渡されたカメラを僕は花火に向けた。

レンズ越しに見ると、さっきとはまるで
違う世界の中で花火をみているようだった。

「おじいちゃん、、すごい、すごいや!」
幼き頃の僕は、暗い世界から抜け出せた
そんな気持ちにさえなった。

「そうか、そうか、良かった。」
そう言うと祖父な大きな手で
僕を抱き締めてくれた。

懐かしい、、。

祖父を亡くした悲しみで記憶に蓋をしていたんだ。


「、、、凪先輩?大丈夫ですか?」
微かに聞こえる佐伯くんの声で気がつく。
手にはパックに入りきらない程の
焼きそばを抱えていた。