レンズ越しに送る君へのラブレター

向かえた文化祭当日
僕は体育館の片隅でバンド部の
パフォーマンスを待っていた。

幕が上がり照明が一気に点灯する。

ギターの音が鳴り響く。
聞き覚えのある曲だった。
それは初めて通話をしたとき
佐伯くんが弾いていた曲だった。

僕に聴いて欲しいそう伝えられていた。


観客の人達は歌詞やメロディ魅了され
熱気に包まれていった。


僕はそっとカメラを向けた。
その手はもう震えてなんかいなかった。

レンズ越しに映る佐伯くんは
まるであの日夜空を彩った花火のようだった。
 
「好き」そのたった2文字が
なんで直ぐに伝えられなかったんだろう。

押さえていた気持ちが溢れだし
頰に涙がつたう。

ステージを見ていたいのに
涙が止まらない。回りの人達に
迷惑になると思い体育館を出ようとした時、

「凪先輩!!」
そう呼ぶ声が聞こえた。

「さっ佐伯くん、、ステージは、」

「俺の出番は終わったので!
でもどうしてここに」

「さっ佐伯くんのお友達の涼くんに言われて」

「涼が、、。」

「それに、、
約束したから文化祭のステージを見るって」

「覚えててくれたんですね」

「うんっ、、その、、」
せっかくまた話せたのに上手く言葉
が出てこない。
でもこのままじゃきっと変われない。
僕は涙声で一生懸命に話始めた。

「あっあの花火大会の時本当にごめん。」

「気持ちを上手く伝えられなかったせいで
佐伯くんに辛い思いさせたよね。」

「そっそんな気にしないでください!」

「あの日佐伯くんが励ましてくれたから
僕またカメラと向き合ってみようと思えた。
それが何よりもおじいちゃんが喜ぶ事だって
気付かせてくれて」

「凪先輩、、。」

「だからそのっ、、
これから僕が撮った景色を
佐伯くんに見て欲しい。」

「僕も佐伯くんが好きだよ」
涙を拭いて僕は答えた。

佐伯くんは僕をそっと抱き締めた。

「俺も先輩の事大好きです!
これから先輩の撮る景色を沢山見せてください。」

「僕と付き合ってくれませんか?」

「うんっ」

僕も寄り添うように佐伯くんの背中に
手を回した。