放課後 下駄箱で靴を履き替えていた時、

「凪先輩!!」
そう呼ぶ声が聞こえた。

佐伯くん??そう思い声の方へ視線を向ける。

そこに立っていたのは知らない生徒だった。

「すみません。呼び止めて俺、海人の友人
涼っていいます。少し時間いいですか?」

「うん、、。」

「今日俺が先輩のもとへ着たのは
海人も知らないです」

「俺は海人とは、小学生からの知り合いで、
当時、アイツが、
なにもしても何処か笑えていない
事を知っていました。

だからギターを弾くことを勧めたんですけど
それでも最初は楽しめているように 見えませんでした。

でもある日変わって
理由を聞いたら「また会いたい人がいるから」
そう言いました。
それからこの高校に入る為に必死に勉強して。

ギターも聴かせたいからって上手くなりたいって
練習に付き合ったりしました。

また先輩と会えた時は本当に嬉しそうで。
その様子を見て僕も嬉しくなりました。

先輩の話をする時はいつも笑顔で
愛おしそうに話すんです。」

「、、、。」

「花火大会の後、先輩の話を俺にすることがなくなって理由を聞いたら、
「気持ちが先走って先輩に迷惑をかけたから
もう会わない。」そう答えて。」

「あいつ悪いやつじゃないんです、、。
だからもう一度あいつと
向き合ってくれませんか?」

「すみません。急に呼び止めて
話はこれで終わりです。
それと明日、軽音部のステージあるので
よければ見に来て下さい。
あいつ先輩のためにって張り切ってましたから」

そういうと彼は去っていた。

初めて知った佐伯くんの想い。
逃げてばっかで向き合えてないのは僕の方だ。
僕のこの気持ちもきちんと伝えたい。
会いたい。


家に着き、僕は引き出しにしまったままの
カメラを手に取る。

「おじいちゃん。僕前に進むよ」
そう小さく呟いた。