あの出来事から、僕はまた一人空き教室で
お昼を食べる。

今までの生活に戻っただけ。

それなのに、、ふとした瞬間に、
他愛もない会話を交わしながら過ごした時間を 
思い出して泣きたくなる。

なんであの時あんな
言い方をしてしまったのだろう。

あの日以降僕は合わせる顔がなくて
避けてしまっている。

佐伯くんはいつも真っ直ぐに気持ちや言葉を
伝えてきてくれていたのに僕は、
いつも臆病で曖昧で。

あのときだって
もう一度カメラと向き合ってみようって
思えたのに。

「好き」って言えてたなら違ってたのかな。

考えれば考える程分からない。

スマホを取り出し、
佐伯くんのメッセージを開く。

「あの時はごめん。」
そう打てたのならいいのに。

出来ない悔しさが溢れる。


季節はもう秋。校庭には桜紅葉が咲き誇る。
学校は文化祭を明日に控えお祭り気分で
溢れていた。

僕は一人あの日に囚われているようだった。