◯死者の世界・黄泉。
火神・時乃は水鏡を使い、奈々達の様子を伺っている。彼女らを見て時乃は少し安心した様な表情を浮かべる。
時乃「切籠と陽菜はもう一度会えたのだな。私の最期の力は無駄ではなかった」
刹那げに水鏡に触れる。
時乃「私はもうお前達には会えないが…。それでもいい。お前達は私の希望。人間と神と妖達の未来を照らす光だ」
水鏡は火の巫女の力を開花させた奈々を映す。
◯火鷹村に戻る。
火の巫女の力を開花させ姿を変貌させた奈々が宙に浮かんでいる(この時の奈々の表情は無表情)
両親と瑠璃奈、そして静流と村人が奈々を見て驚愕している。
ゆっくりと地上に降りたと同時に我に返った奈々が慌てて周りを見渡し、赤くなった髪を見てさらに驚く。
奈々「え?えぇ?!!な、何?!何が起きたの?!私の髪どうして赤くなってるの?」
慌てふためく奈々の元に伯斗が駆け寄る。
伯斗「大丈夫。この髪は奈々が火の巫女である証だ。ずっと奈々の中で火の巫女の力が眠っていたから驚くのも無理もないだろう」
奈々(火の巫女…?!そ、そんな、まさかあの火神様の巫女の力が私が持ってるなんて…!!!)
伯斗との口付けによって開花した自身の力と変貌した外見に戸惑う奈々。
自分は無能で生まれた辻邑家の汚点だと言われながら育てられた奈々自身も知らなかった秘められた力。
様子を見ていた両親が今までの態度と打って変わって猫撫で声で奈々と伯斗に近づく。
父「な、奈々!!知らなかったぞ!!お前があの火神様の巫女の力を持っているなんて!!!」
母「そ、そ、そうよ!!本当はこんなにすごい子だなんてお母様知らなかったわ!!」
伯斗は苛立って舌打ちをしながら奈々を両親から守る様に立ちはだかる。
伯斗「愚か者が。氷狼神であるこの俺が貴様らの奈々にしてきた愚行を知らないとでも言うのか?」
父「ひぃ…!!そ、それは…!!」
母「ぜ、全部娘の為にしたことであって…!!」
伯斗「奈々の為にしただと?無能だと罵って使用人以下の扱いをして虐げてきたことを躾だと言いたいのか?はっ!!!馬鹿げてる!!」
伯斗は怒りのあまり力を滲み出し、奈々の両親をじわじわと凍てつかせてゆく。
母「あぁ…そんなぁ…!!いやぁ!!」
父「たすけて…助けてくれ…!!」
伯斗「雷神の嘘を信じて生贄として奈々を差し出し出した貴様らを助ける筋合いはない」
瑠璃奈「お父様ぁ!!お母様ぁ!!!」
静流「氷狼神!!貴様!!」
静流は慌てて雷撃を伯斗に喰らわそうとするが、伯斗が作り出した氷の盾により弾かれて自分に返ってきてしまう。
自らが撃った電撃を受け絶叫する静流。
瑠璃奈「きゃあぁ!!!静流様ぁ!!!」
伯斗「雷神・静流。貴様の父である華山様が帰ってこいと言っていたぞ。お前の様な男を雷神にしたのは間違っていたかもしれないとな」
静流「うぐ…っ!!なに…を…言って…」
伯斗は冷たく笑う。
伯斗「さぁ?雷神のままでいたいのなら一度神界に帰って華山様と話すがいい。あとは知らんがな」
瑠璃奈(静流様よりも強いだなんて…!!それに…)
瑠璃奈はこの光景を見て驚いてる様子の奈々を見る。
瑠璃奈(お姉様が火の巫女?そんなの認められるわけないじゃない!!しかもこんなに強くて美しい神様の生贄じゃなくて花嫁になるですって?!!そんなの)
憎悪に満ちた表情を浮かべながら爪を噛む瑠璃奈。
瑠璃奈(許さない。アンタは私に虐められて一生泣いて暮らしてゆくのがお似合いよ)
瑠璃奈は自身の異能である雷の力を伯斗にバレない様に手に込めながら奈々に近づいてゆく(雷の色は歪な思想によって黒色になっている。ブツブツ呪詛を呟きながら)
瑠璃奈(あんな弱い神様なんかいらない。火の巫女の力も私がもらってあげる。私が氷狼神様の花嫁に相応しいのよ。だから、だから、だから…)
ただならぬ表情で近づいてきた瑠璃奈に驚く奈々。それに気づいた伯斗は奈々の名を叫ぶ。
奈々「瑠璃奈?!」
伯斗「奈々!!」
瑠璃奈「とっとと死んで!!!死ね!!私の為に早く死ねよ!!お姉様!!!!」
瑠璃奈から放たれた黒雷は奈々に向かって放たれる。
けれど、火の巫女の異能である火の力を発現させたことで黒雷は消滅。
その様子を見ていた瑠璃奈は無能だった姉に負けたと感じ無我夢中で黒雷を放ち続けるも奈々に当たることはない。
瑠璃奈「嘘よ…!!こんなの嘘よぉ!!!なんで私がこんな無能に…!!!」
奈々「もうやめて瑠璃奈。こんなことしたって何も変わらない。惨めになるだけよ」
瑠璃奈「っ…!!うるさい!!!何でアンタに指図されなきゃいけないよ!!!!」
瑠璃奈は隠し持っていた小刀で奈々を刺し殺そうとするが伯斗が放った氷の波動により氷漬けにされる。
奈々「伯斗…!!」
伯斗「奈々!!怪我はないか?!」
奈々は自分の心配をしてくれる伯斗に誇らしげに微笑みながら無事を伝える。
奈々「…はい!伯斗のおかげで私は大丈夫よ。それより…」
奈々は憐れむ様に氷漬けになった瑠璃奈を見る。
奈々「もう瑠璃奈とは一生分かり合えないって自覚できた。私の妹なのにね。お父様とお母様ともね」
伯斗「奈々…」
奈々「……私、まだ火の巫女のことは何も分からない。氷狼神である貴方の妻である資格が私にあるかも自信がない。それでも…私を選んでくれるの?」
奈々は伯斗の手を両手で握る。
伯斗「ああ。奈々じゃなきゃ駄目だ。俺の気持ちを知ってもらうぐらいにお前を幸せにする。一生をかけてな」
伯斗は奈々を横抱きにし、奈々の両親と傷ついた静流、そして、村人達を睨みつける。
伯斗「自分達の欲の為に奈々を連れ戻そうとしてみろ。その時は容赦なく貴様らを消す。そこで氷漬けになってる奈々の愚妹に言いつけておけ。いいな?」
静流「……っ!!わかっている…」
両親は激しく首を縦に頷く。
伯斗は興味をなくした様に背を向け凍てつく風と共にその場を去る。
伯斗と奈々が消えたと同時に氷漬けから解放された瑠璃奈が地面に倒れ込む。
静流は慌てて瑠璃奈を抱き寄せるがその心情は複雑だった。
◯満月が昇る夜空。
伯斗は奈々を大事に抱きかかえながら夜空をかける。
伯斗との口付けによって火の巫女の力を開花させたことで赤くなった長い髪が風で靡いていた。
火神・時乃は水鏡を使い、奈々達の様子を伺っている。彼女らを見て時乃は少し安心した様な表情を浮かべる。
時乃「切籠と陽菜はもう一度会えたのだな。私の最期の力は無駄ではなかった」
刹那げに水鏡に触れる。
時乃「私はもうお前達には会えないが…。それでもいい。お前達は私の希望。人間と神と妖達の未来を照らす光だ」
水鏡は火の巫女の力を開花させた奈々を映す。
◯火鷹村に戻る。
火の巫女の力を開花させ姿を変貌させた奈々が宙に浮かんでいる(この時の奈々の表情は無表情)
両親と瑠璃奈、そして静流と村人が奈々を見て驚愕している。
ゆっくりと地上に降りたと同時に我に返った奈々が慌てて周りを見渡し、赤くなった髪を見てさらに驚く。
奈々「え?えぇ?!!な、何?!何が起きたの?!私の髪どうして赤くなってるの?」
慌てふためく奈々の元に伯斗が駆け寄る。
伯斗「大丈夫。この髪は奈々が火の巫女である証だ。ずっと奈々の中で火の巫女の力が眠っていたから驚くのも無理もないだろう」
奈々(火の巫女…?!そ、そんな、まさかあの火神様の巫女の力が私が持ってるなんて…!!!)
伯斗との口付けによって開花した自身の力と変貌した外見に戸惑う奈々。
自分は無能で生まれた辻邑家の汚点だと言われながら育てられた奈々自身も知らなかった秘められた力。
様子を見ていた両親が今までの態度と打って変わって猫撫で声で奈々と伯斗に近づく。
父「な、奈々!!知らなかったぞ!!お前があの火神様の巫女の力を持っているなんて!!!」
母「そ、そ、そうよ!!本当はこんなにすごい子だなんてお母様知らなかったわ!!」
伯斗は苛立って舌打ちをしながら奈々を両親から守る様に立ちはだかる。
伯斗「愚か者が。氷狼神であるこの俺が貴様らの奈々にしてきた愚行を知らないとでも言うのか?」
父「ひぃ…!!そ、それは…!!」
母「ぜ、全部娘の為にしたことであって…!!」
伯斗「奈々の為にしただと?無能だと罵って使用人以下の扱いをして虐げてきたことを躾だと言いたいのか?はっ!!!馬鹿げてる!!」
伯斗は怒りのあまり力を滲み出し、奈々の両親をじわじわと凍てつかせてゆく。
母「あぁ…そんなぁ…!!いやぁ!!」
父「たすけて…助けてくれ…!!」
伯斗「雷神の嘘を信じて生贄として奈々を差し出し出した貴様らを助ける筋合いはない」
瑠璃奈「お父様ぁ!!お母様ぁ!!!」
静流「氷狼神!!貴様!!」
静流は慌てて雷撃を伯斗に喰らわそうとするが、伯斗が作り出した氷の盾により弾かれて自分に返ってきてしまう。
自らが撃った電撃を受け絶叫する静流。
瑠璃奈「きゃあぁ!!!静流様ぁ!!!」
伯斗「雷神・静流。貴様の父である華山様が帰ってこいと言っていたぞ。お前の様な男を雷神にしたのは間違っていたかもしれないとな」
静流「うぐ…っ!!なに…を…言って…」
伯斗は冷たく笑う。
伯斗「さぁ?雷神のままでいたいのなら一度神界に帰って華山様と話すがいい。あとは知らんがな」
瑠璃奈(静流様よりも強いだなんて…!!それに…)
瑠璃奈はこの光景を見て驚いてる様子の奈々を見る。
瑠璃奈(お姉様が火の巫女?そんなの認められるわけないじゃない!!しかもこんなに強くて美しい神様の生贄じゃなくて花嫁になるですって?!!そんなの)
憎悪に満ちた表情を浮かべながら爪を噛む瑠璃奈。
瑠璃奈(許さない。アンタは私に虐められて一生泣いて暮らしてゆくのがお似合いよ)
瑠璃奈は自身の異能である雷の力を伯斗にバレない様に手に込めながら奈々に近づいてゆく(雷の色は歪な思想によって黒色になっている。ブツブツ呪詛を呟きながら)
瑠璃奈(あんな弱い神様なんかいらない。火の巫女の力も私がもらってあげる。私が氷狼神様の花嫁に相応しいのよ。だから、だから、だから…)
ただならぬ表情で近づいてきた瑠璃奈に驚く奈々。それに気づいた伯斗は奈々の名を叫ぶ。
奈々「瑠璃奈?!」
伯斗「奈々!!」
瑠璃奈「とっとと死んで!!!死ね!!私の為に早く死ねよ!!お姉様!!!!」
瑠璃奈から放たれた黒雷は奈々に向かって放たれる。
けれど、火の巫女の異能である火の力を発現させたことで黒雷は消滅。
その様子を見ていた瑠璃奈は無能だった姉に負けたと感じ無我夢中で黒雷を放ち続けるも奈々に当たることはない。
瑠璃奈「嘘よ…!!こんなの嘘よぉ!!!なんで私がこんな無能に…!!!」
奈々「もうやめて瑠璃奈。こんなことしたって何も変わらない。惨めになるだけよ」
瑠璃奈「っ…!!うるさい!!!何でアンタに指図されなきゃいけないよ!!!!」
瑠璃奈は隠し持っていた小刀で奈々を刺し殺そうとするが伯斗が放った氷の波動により氷漬けにされる。
奈々「伯斗…!!」
伯斗「奈々!!怪我はないか?!」
奈々は自分の心配をしてくれる伯斗に誇らしげに微笑みながら無事を伝える。
奈々「…はい!伯斗のおかげで私は大丈夫よ。それより…」
奈々は憐れむ様に氷漬けになった瑠璃奈を見る。
奈々「もう瑠璃奈とは一生分かり合えないって自覚できた。私の妹なのにね。お父様とお母様ともね」
伯斗「奈々…」
奈々「……私、まだ火の巫女のことは何も分からない。氷狼神である貴方の妻である資格が私にあるかも自信がない。それでも…私を選んでくれるの?」
奈々は伯斗の手を両手で握る。
伯斗「ああ。奈々じゃなきゃ駄目だ。俺の気持ちを知ってもらうぐらいにお前を幸せにする。一生をかけてな」
伯斗は奈々を横抱きにし、奈々の両親と傷ついた静流、そして、村人達を睨みつける。
伯斗「自分達の欲の為に奈々を連れ戻そうとしてみろ。その時は容赦なく貴様らを消す。そこで氷漬けになってる奈々の愚妹に言いつけておけ。いいな?」
静流「……っ!!わかっている…」
両親は激しく首を縦に頷く。
伯斗は興味をなくした様に背を向け凍てつく風と共にその場を去る。
伯斗と奈々が消えたと同時に氷漬けから解放された瑠璃奈が地面に倒れ込む。
静流は慌てて瑠璃奈を抱き寄せるがその心情は複雑だった。
◯満月が昇る夜空。
伯斗は奈々を大事に抱きかかえながら夜空をかける。
伯斗との口付けによって火の巫女の力を開花させたことで赤くなった長い髪が風で靡いていた。



