嘘告と二股と妹と。

 僕は(さとし)。学業成績良し、スポーツ万能、顔立ちは中々のイケメン、格闘技の道場に通い、母親は女優。高校二年生だ。

 このスペックからクラスでは陽キャ扱いだが、本人は真面目で控え目、陰キャなクラスメイトでも普通に好意的にしゃべる、どちらかというと今どき珍しい両面ハンサムである。

 今、聡は恋をしていた。隣の席になったハルちゃんこと稲垣華(いながきはる)さん。可愛く清楚で美人という学校一の人気者と評されている。尚、なぜか男子からの告白はすべて断っている。ウブで成績ダントツで大人しく飾らない娘である。

 授業が終わり放課後になった今。

「ねえハルちゃん」

「なぁに?」

「僕っていつも”いい人そう”って言われるんだ。これって付き合う対象じゃないけど友達だったらOKっていうレベルで言われてるんだよね。どう思う?」

「あはは。そうね、私だったら、聡くんをいい人そうって言わないな。貴方、かなり格好いいよ。自信持ちなさい。ふふ、何かと思えば、変なこと言うから笑っちゃうじゃない」

「そう、ありがとう」

 一気に期待が膨らむ聡。これは脈がある? きっと脈ありだよね、父さん、母さん、僕に力を与えてくれ。

「私、今日委員会だから先に失礼するね」

「あ、うん、じゃまた明日」

「バイバイ、バーイ」

「ばーい……ハルちゃん」

 これが毎日の二人の関係であった。聡は隣の席になって早々心を華に鷲づかみにされており、毎日毎日、彼女の顔を脳内でリピートして恋心を育てていた。一緒に帰りたい、もっと親しくなりたい。僕が彼女を一番好きだという自負で、彼女を常に見守っていた。

 ハルちゃん ↓


 サトシ ↓


 ◇

 ある日、ハルちゃんを中心とする女の子たちが「罰ゲーム」をやっていた。近くから見ていると内容が聞こえてきた。ゲームに負けてしまうと、好きな人に告白しなければならないという。

 えっ、告白?

 聡にとって他の誰でも告白といってもそんなに関係ないと感じていたが、ハルだけは別である。聞き耳を立てて全力で内容を把握していた。ふむふむ、好きな子に告白するのはイヤだという。それで多数決で嘘告になったらしい。

「嘘告かぁ。嘘の告白ならハルちゃんがしても大丈夫かな」安易にホッとしていた聡だが、ちょっと待てよ、ハルちゃんが嘘告なんてしたら100%、OKになってしまうじゃないか。これは、ある意味ヤバいぞ。最早チラチラ見るレベルではなくバレるのをお構いなしに成り行きを凝視していた。

 こういう時、嫌な予感がハズレることなく、何故かハルちゃんがゲームに負けてしまうものだ。結局ゲームはハルちゃんが嘘告をするということで決着がついた。もし相手からOKが出たら1か月付き合うという。

 そんなぁ……。

 ◇

 それから週末を越え、月曜日になった。ハルちゃんと少しでも多くの時間を過ごしたいため、いつも聡は早くから学校の教室にいた。一見すると真面目なので、益々聡は優等生との評判を周囲から得続けるのだが、今はその誉は関係ない。

 ハルちゃんの友達たちが登校し教室にきてコソコソ話をしていた。

「ねえねえ、ハルの件さ、成功して良かったね」

 ドキッとした。聞いてはいけない何かを聞いてしまった。まさかハルちゃんが告白して成功してしまったのか、僕以外と。実は僕も先の土日はいつでもハルちゃんから連絡が来てもいいように自宅待機をしていた。

 でもやっぱり思うようにはいかないか……。