夏が終わり、秋も過ぎ、冬を越え、春になり、また夏が来る。
 土に散った花々が、その姿をいつの間にか消し、なびく草の色は濃く青く。
 縁側に集う白い蝶が幾つも見えて、それを白いシャツに長ズボン姿の男が悠然と眺めている。何も煩う事なく、誰に媚びる訳でもなく、笑っている。
 その目線の先、咲き誇る花を揺らしながら、同じように屈託のない笑顔がもう一つ。
 ただ無邪気に、いつまでも遊び回る雲の様に。
 夏の青い空の下、どこまでも続く空の下、小さな庭に降り注ぐ白い光と共に。
 それぞれが生き生きと、ただ、生きている。
 意味もなく、価値もなく、それでも。