​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ 題名の意味は、春が玉手箱の様に詰まった花(事)を意味し、そんな花が咲き乱れていくであろう作品にしたいと言う願いからこの題名にしました。
 作品の内容は「ありふれた事」であり、恐らく本屋を探せばこの手の話は五万とあるだろう凡庸なものです。
 それと同時に、この作品はさして何かを強く伝えたい事がある訳ではありません。ましてや謎解きの醍醐味や、突拍子もない出来事の羅列さえないのです。
まさに、ただ山野に花が咲くが如く、ただそれだけのものです。
 この物語に何を抱くかは、読み手の、あなただけの、自由なのです。[本編]
 この作品はショートストーリーです。それは、一つの花が咲いて散るまでの様で、ほんのわずかな一時だけを描いています。
 物語の始まりは目にも見えぬ種であり、いつの間にかそれは芽吹き、地上へと顔を出します。葉を茂らせ徐々に茎を伸ばし、やがてはつぼみを付け、花を咲かせます。
 何か具体的な現象ではなく、物語に花がある訳でも無い。忘れかけた素朴な想い。つまりは、花が咲いて散るまでの一連歌。
 儚く短い。それを愛で、そこに抱いた何かを見つけるまでのほんの一端です。