白城の島国は真昼の陽光が白い珊瑚石の壁を眩しく照らし、霧が海風にそよぐ穏やかな一日を迎えていた。敷島の私室は白城の中心塔最上階にあり、白い壁と床が広がる広大な空間だ。窓からは霧に霞む海が見え、部屋の中央には巨大なベッドが静かな休日の雰囲気を醸し出している。

敷島は屈強な白人男性で、白い髪が枕にそっと流れ、白色の瞳を穏やかに閉じていた。白城の最高責任者として、温和かつ怜悧で慈悲深い性格が仲間を家族のように包み込む。彼の度を超えた世話焼きはとりわけ白者の幼体への恵愛と絶愛に現れ、その心は星のように輝いていた。そして、添い人との契約に基づく深い恭愛と寵愛は、過去に故人として接した関与の記憶をも活用しながら、彼の絆の象徴でもあった。

この休日、敷島は仰向けにベッドに横たわり、任務の重圧に疲れ切った体を深い休息に委ねている。穏やかな寝息が部屋の静寂に溶け込み、海風はレースのカーテンをそっと揺らす。しかし胸の奥で異変が芽生えていた。白者の幼体への強大な恵愛と絶愛、添い人への恭愛と寵愛が混ざり合い、金血の力が制御を超えて脈動を始めたのだ。

胸骨背面の皮膚が白金の光を放ち、丸い菱形模様が浮かび上がる。そこからまるで神話の樹木が目覚めたかのように、白金の蔓が力強く生え始めた。幹は太古の神木の如く白金に輝き、内部を流れる金色の樹液は陽光に照らされて虹色の光を放つ。

蔓は敷島の胸から伸び、ベッドの白いシーツを這いながら星々の意志が織りなす螺旋のように広がる。無数の枝は黄金の卵型の実をいくつも宿し、その実は透明感を帯びて内部に揺らめく金色の光がまるで恒星のように煌びやかに輝いていた。薄く白色の瞳を開いた敷島はその異変に気づきつつも、愛の熱に身を委ねる。

白金の蔓は天井にぶつかるまで部屋を満たし、床を光の波が這い回る。蔓の枝は天井や壁にまで伸び、脈打つ生命のようにうごめいた。黄金の卵は陽光を受け虹色に輝き、微かな鈴の音を響かせて海風と調和する。敷島は寝たまま慈悲深い微笑みを浮かべ、絡まる蔓の中の一つの実を静かに摘み取った。

その実は温かく手の中で脈動し、金血だけで満たされていることから彼は安心して囁く。
「金血しか入っていないから、大丈夫だね……」
穏やかな声に満ちた恭愛と寵愛が込められていた。彼は実をじっと見つめ、まるで白者の幼体の魂を宿すかのようだと慈しんだ。

そして実に優しい口付けを施しながら言う。
「君たちは、僕の愛そのものだ」
その声は添い人への寵愛を再現するかのように優しく囁かれた。窓辺に立つと海風が白い髪を揺らす中、実をそっと霧の海へ流す。黄金の実は海面に触れ虹色の光を放ちながら霧の彼方へと消えていく。

次々と実を摘み、口付けをし、海へと流し続ける敷島。白金の蔓はまだ伸び、部屋を黄金の森へと満たすが、その心は穏やかだった。
「親愛なる白子たちと添い人、僕の愛は海を越えるよ」
慈しみの言葉が海風に運ばれてゆく。

真昼の光が部屋に降り注ぎ、白金の蔓と黄金の実が虹色の霧を生み出す。寝たきりに近い状態でベッドに戻った敷島の白色の瞳は、愛と静寂に輝き、白者の幼体への恵愛と添い人への寵愛が黄金の実となって海へと旅立っていった。

（終）