以下、配信での本人の発言

ちょっと真面目な話するわ。
俺はね、呪物ってやつが好きなんだ。いや、好きって言葉じゃ足りない。愛してるんだよ。骨董市で見つけた古びた日本人形、ネットオークションで誰も入札しなかったお面とか、誰かが捨てた古いお守りでも……俺にとっては全部が宝物だ。

普通の人からすればただのガラクタだろう。でも俺は違う。呪物ってのは、人の想いそのものだからだ。持ち主が祈ったり、恨んだり、願ったり……そういう感情が、物に染みついて離れなくなる。冷たい木肌や汚れた布切れに、確かに残ってるんだよ。俺は、それが手に取るようにわかる。

笑うか? 笑うよなーー。でもさ、それは誰にも思い出されない人間の記憶なんだ。博物館のガラスケースに並ぶ立派な品より、ずっとリアルで生々しい。俺はそれを拾ってる。忘れられた声を、取り残された感情を。それが怨念だっていいじゃないか。誰も気づかないところに残った叫びを、俺がここに留めてやるんだ。

だから配信で紹介する。カメラ越しに、誰かに伝えるために。誰も知らなかった過去の痕跡を、ほんの少しでも思い出させるために。
もちろん、視聴者は面白がって見てるだけでいい。「呪われろw」とか「またガラクタ持ってきたな」なんてコメントも来るし。視聴はそれ見て笑う。それでいいんだ。呪い上等さ。見てくれりゃ、お前らも忘れられた想いに触れる。それが意味になる。

……だけど、正直に言うとさ。俺自身、もっとヤバいものに触れたいんだよ。ゾクッとするくらい強烈な怨念とか、絶対に関わっちゃいけない何かとか。そういうモノにしか宿らない力があるからな。偽物ばっかり漁ってると、余計に本物を求めちまう。

あれはよかったな……東南アジアのある地域の●●信仰。その黒魔術で使った針さ。今度見せよっか?
本物に触れた瞬間のあの感覚。──頭の奥で光が弾けて、呼吸が詰まる。足元が崩れていくみたいで、全身の血が逆流するみたいに、ゾワッて。気持ち悪くて何度も吐いた。……あれを知ったら戻れないんだ。俺はその感覚を追いかけてる。骨董屋の埃まみれの棚を何時間も探して、手が真っ黒になってもやめられない。呪物界隈のネットワークで誰も手を出さない品に入札して、届いた荷物を開けるときの胸の高鳴り。あれが、俺の生きてる実感なんだ。

ははっ……そりゃ、みんな止めるよ。特に家族や友達な。「気味が悪い」「危ない」「やめとけ」って。俺の配信を手伝ってくれてるマネージャーだって本気で心配してる。でもさ、俺にはわかるんだ。これは俺にしかできないことだって。だって俺は生粋の呪物コレクターだ。集めて、残して、繋げる。それが俺の役割なんだよ。

最近さ、思うんだ。呪物ってモノだけじゃないんじゃないかって。想いが染み込むのは、手紙とか人形や呪具だけじゃなくて……町全体とか、建物とか、誰も気づかない空間そのものにも、きっと息づいてるんじゃないか? 人が長いあいだ祈りや恐れを捧げてきた場所なら、なおさらだ。

もし、そんな場所に足を踏み入れられるとしたら。
俺は、絶対に逃さない。

ってことで、次回は心霊スポットで生配信!
時間は……○月○日○時!!