ユキシに連れられてヨシタカは渓流に沿って歩いていた。かなり歩いただろうか、小さなミツバチ級妖精さんたちが乱舞するここでは、感覚がズレているので色んな点が不安であった。時間感覚も同様で、朝だと思いきやもうお昼だし、下手に夜になってしまうと暗くて歩けなくなる。
(もしもの場合は光の魔法を使うか……)
ヨシタカにはあらゆる魔法を扱えるスキルがあり、万能ではあるがゆえ、便利屋としてこき使われるので色々な魔法が使えることは内緒にしてある。
「あ、見えた見えた! ほら兄貴、ここから潜るんだよ」
★★★★★ユキシ視点
話をしていた通り、兄貴をスムーズに案内できた。こうやって新しい穴場などを見つけたりしていれば、また別の機会でも僕を雇って貰えるだろうし、今回だって延長してくれるかもしれないからね。お小遣いは多く貰っているから兄貴と出会えて本当に幸運だとしみじみしていた。
草木のドームを潜って奥を進み、トンネルでは、のちに立って歩けるぐらいに広がっていくので兄貴も余裕で歩けるはず。そしてトンネルを通りすぎれば広いプール淵のある渓流と砂場である。
天候もいいし雨も上流で振っていないので水は透き通っているはず。素晴らしい景色を楽しめるはずだとユキシはにんまりしていた。
「兄貴! ほら見て。すごく奇麗だろ」
「おおー、こんな所があるなんて」
「ほらほら、大淵見てよ兄貴、流れの渕尻に大きな奴が三匹もいるぜ」
「ユキシの話の通り、想像以上にデカい魚だな、脂びれがあるからサケ科か、熱帯ならカラシン科か。斑点やヒレの白い筋からイワナだな。ゆったり泳いでる」
僕たちが大きなイワナたちを見ていると、淵の奥へとゆっくりと泳いで消えていった。はぁ、すごいなぁ。美味しそうだ。何人前のお刺身が取れるだろうか。兄貴が僕のほうを見て笑みを浮かべていた。何か言いたそうだったけど、僕には分からなかった。
「兄貴、マナちゃんは来てないね、残念だよ。来たばかりだけど、そろそろ帰る?」
「いや、もう少し待ってみよう。俺ってさ、渓流好きなんだ」
僕は、兄貴が透明度の高い渓流の水を見ながら何かを思っているのを眺めて、兄貴ってどんな男なんだろう? とその様子から興味がわいた。彼はどこから来たんだろう?
どうして貧しい子供に対して手を差し伸べようとするのだろう? まだ自分だって若く貧しい筈なのに、少し達観したような目と落ち着き、大人な考え方、乗合馬車にいる客の中でも異質な感じがして、僕の興味がわいていた。
……すると背後から声がした。
「こんにちは、ユキシくん」
……ああ、待ちかねていた少女のマナちゃんだった。
僕は彼女を救えるのだろうか。
(もしもの場合は光の魔法を使うか……)
ヨシタカにはあらゆる魔法を扱えるスキルがあり、万能ではあるがゆえ、便利屋としてこき使われるので色々な魔法が使えることは内緒にしてある。
「あ、見えた見えた! ほら兄貴、ここから潜るんだよ」
★★★★★ユキシ視点
話をしていた通り、兄貴をスムーズに案内できた。こうやって新しい穴場などを見つけたりしていれば、また別の機会でも僕を雇って貰えるだろうし、今回だって延長してくれるかもしれないからね。お小遣いは多く貰っているから兄貴と出会えて本当に幸運だとしみじみしていた。
草木のドームを潜って奥を進み、トンネルでは、のちに立って歩けるぐらいに広がっていくので兄貴も余裕で歩けるはず。そしてトンネルを通りすぎれば広いプール淵のある渓流と砂場である。
天候もいいし雨も上流で振っていないので水は透き通っているはず。素晴らしい景色を楽しめるはずだとユキシはにんまりしていた。
「兄貴! ほら見て。すごく奇麗だろ」
「おおー、こんな所があるなんて」
「ほらほら、大淵見てよ兄貴、流れの渕尻に大きな奴が三匹もいるぜ」
「ユキシの話の通り、想像以上にデカい魚だな、脂びれがあるからサケ科か、熱帯ならカラシン科か。斑点やヒレの白い筋からイワナだな。ゆったり泳いでる」
僕たちが大きなイワナたちを見ていると、淵の奥へとゆっくりと泳いで消えていった。はぁ、すごいなぁ。美味しそうだ。何人前のお刺身が取れるだろうか。兄貴が僕のほうを見て笑みを浮かべていた。何か言いたそうだったけど、僕には分からなかった。
「兄貴、マナちゃんは来てないね、残念だよ。来たばかりだけど、そろそろ帰る?」
「いや、もう少し待ってみよう。俺ってさ、渓流好きなんだ」
僕は、兄貴が透明度の高い渓流の水を見ながら何かを思っているのを眺めて、兄貴ってどんな男なんだろう? とその様子から興味がわいた。彼はどこから来たんだろう?
どうして貧しい子供に対して手を差し伸べようとするのだろう? まだ自分だって若く貧しい筈なのに、少し達観したような目と落ち着き、大人な考え方、乗合馬車にいる客の中でも異質な感じがして、僕の興味がわいていた。
……すると背後から声がした。
「こんにちは、ユキシくん」
……ああ、待ちかねていた少女のマナちゃんだった。
僕は彼女を救えるのだろうか。



