婚約破棄されましたが、こちらから破棄します!〜第二王子と手を組んで復讐しますわ〜

 夜の帳が降りる王都は、昼間の騒乱を忘れさせるかのように静まり返っていた。

 だがその静寂は、まるで嵐の前の凪のように不穏な気配を孕んでいた。



 クラリッサは深い森の奥にある隠れ家で目覚めた。

 昨日の盟約の余韻はまだ心に熱く残りつつも、その目は冷静に未来を見据えていた。



 「これから先、私の道はさらに険しくなる……」

 彼女は静かに呟きながら、掌に封じられた古の魔力を感じ取った。



 一方、王宮ではミリアが密かに王太子に接近していた。

 彼女の瞳には、燃え上がる忠誠と計算された冷徹さが混ざっていた。



 「陛下、この国のために、私は何としてもクラリッサ殿下を排除いたします」

 ミリアは声を低くしながらも決意を滲ませる。



 「ですが、王家内部には裏切り者も潜んでいます。どうかご警戒を」



 その夜、城の地下では密談が行われていた。

 王太子の側近たちが集まり、次の策を練っている。



 「クラリッサとレオニスの同盟は我々の計画に大きな打撃だ」

 側近の一人が眉をひそめる。



 「だが、諦めるわけにはいかない。新たな手段を考えねば」



 クラリッサは夜明け前に隠れ家を出て、森の奥深くへと歩みを進めていた。

 彼女の心は不安と決意が入り混じり、胸の内は嵐のように激しく揺れていた。



 「私は一人じゃない」



 そう自分に言い聞かせながら、手に握る古代の魔導書を確かめた。



 その時、背後から冷たい風が吹き抜けた。



 「見つけたわよ、クラリッサ」



 暗闇から現れたのは、薄笑みを浮かべた人物。



 「ミリア……」



 クラリッサは顔を歪めた。



 「私たちの戦いは、まだ終わっていないわ」



 ミリアの瞳が冷たく光る。



 「あなたが覚醒すれば、この国は破滅する。それを阻止するのが私の使命よ」



 二人の間に緊張が走る。

 空気が重く沈み、周囲の魔力がざわめく。



 クラリッサは深く息を吸い込み、魔導書を広げた。



 「私の覚醒を止められると思う?もう、私は変わってしまった」



 魔力が渦巻き、彼女の体を包み込む。



 一方、遠く離れた城では、レオニスが一人剣を研いでいた。

 その眼差しは険しく、まるで決意を刃に刻み込んでいるかのようだった。



 「盟約は結んだ。しかし、真の戦いはこれからだ」



 彼は小さく呟き、剣を鞘に納めた。



 その夜、王都の闇はより深く、恐ろしいものに満ちていた。