婚約破棄されましたが、こちらから破棄します!〜第二王子と手を組んで復讐しますわ〜

王都の夜空が赤黒く染まった。

 遠くで砲声が響き渡り、魔力の閃光が散る。

 クラリッサ率いる黒葬の騎士が、王宮防衛線に突入したのだ。



「これが……私の反逆の始まりなのね」



 廃墟の館で静かに呟く彼女の目は、戦場の混乱をも冷静に見つめていた。

 

 黒葬の騎士たちは、かつての忠誠心を取り戻し、無慈悲な戦闘機械と化していた。

 鋼の鎧が闇に溶け込み、敵兵を一刀両断に切り裂く。

 だがその動きには、どこか哀しみと覚悟が刻まれていた。



 一方、王宮では緊急の非常会議が続いていた。



「我が国の最強部隊が次々と屠られている!状況は絶望的だ!」



「クラリッサを討つための策は?」



 王太子が冷静に答える。



「彼女の力は真祖の血に加え、かつてのローレンス家の魔術が融合している。正面からの戦闘は無駄だ。裏をかくしかない」



「そのために暗殺者も投入済みだが……」



 重臣の一人が言葉を濁した。



「クラリッサの警戒は想像以上だ。ミリアの助力を得て、あらゆる罠を掻い潜っている」



 戦場で、クラリッサは静かに瞳を閉じた。



(この戦いは、私の復讐を超えた。この国の未来、そして私自身の運命がかかっている)



 その時、背後に影が迫った。



「我が姉よ」



 声とともに現れたのは、ミリアだった。

 鎧を身に纏い、冷静な表情で彼女を見据える。



「兄弟たちに知らせねばならない。あなたがこのまま王都を支配すれば、国は二分し、破滅への道を歩むでしょう」



「それは……私の望むところよ」



 激突の中、アルベルトもまた動いていた。



「このままでは国が潰れる。だから、クラリッサとは決着をつけなければならない」



 彼は剣を握り締め、かつて彼女に言った言葉を思い出す。



「正義とは、誰かが決めるものじゃないだが、俺たちには守るべきものがある」



 鋼の決意を胸に、彼は前線に戻った。



 一方、セレスティアは王宮の礼拝堂にいた。



 聖なる光の中、彼女は静かに祈った。



(クラリッサ……あの子もまた、運命の輪の中で翻弄されている。でも、許せないのよ。私たちの未来を壊すことは)



 彼女の手に天秤の聖具が輝きを増す。



「どうか、間違った道を歩みませんように」



 夜は深まるまま。



 戦火は王都の隅々まで及び、城壁の向こうにまで黒煙が上がった。



 クラリッサは静かに言った。



「これが……私の血塗られた薔薇の夜」



 だがその瞳には、決して折れぬ強さが宿っていた。