追放された転生第7王子、マニアックなスキル【ポーション生成・合成】でぼっちスローライフ満喫……のはずが、作ったポーションが凄すぎて美少女依存者が続出してしまい俺を離してくれない

 ◇隊長視点◇


 ダムロス大司教より離脱して数日後。
 私は部下より最後の報告を聞いていた。

 「以上が回収した情報の全てです」
 「大司教の行方は?」
 「魔の森に消えて以降はなにも情報はありません」
 「ふむ……おそらく大司教はすでにこの世にはいないだろう」

 我々はダムロス大司教の手足となって、身を粉にして尽くしてきた。
 しかし先の戦いで、すべてが仕組まれていたことを知る。

 大司教は我らの父でも恩人でも、なんでもなかった。

 いったんは大司教より離脱したものの、もしも先の戦いで生き残ったのならば我らで一矢報いることも視野に入れていた。だが、集約した情報からすでに大司教の敗北は確定的なうえに生死もわからない。

 「ご苦労、これで我らの仕事は終りだ」

 私は黒い装束姿をした4人の部下に目を向ける。

 「え……隊長、おわりって……」

 唯一の女性隊員であるタイナーが、不安の混じった声を漏らした。

 「言葉の通りだ。タイナー」

 他の隊員も声は漏らさずとも、タイナーと同じく動揺が走る。

 「我らが仕えるべき者はおらん。隊の存在意義ももはやない。ここで我が隊は解散する」

 「「「……」」」

 グッと唇を噛み、俯く隊員たち。

 「おまえたちの気持ちは分かるが、今後は好きな事をして各々の道を生きろ。もはや我らを縛るものは誰もいない。我らが積んできた特殊な力を別な事に活用するもよし、決別して新たな生活を目指すもよし。もはやおまえたちは自由だ」


 「えっ……えと……隊長」

 「自分の意思で好きな道を選べ……タイナーおまえもだ」

 俺の言葉を聞いて、1人、また1人と一礼をしてその場から姿を消していく元部下たち。

 「あ、あの。わたしは隊長と、その、一緒に仕事とか探せれば……て」
 「もはや俺はおまえの隊長でもなければ、上司でもない」
 「で、でも……」
 「ついてくるなタイナー。おまえはまだ若い。私といても活路は見出せん」

 まだタイナーがなにかを言おうとしていたが、私は無言のまま背を向けた。歩幅を乱さず静かに歩を進め、その場を離れていく。


 「さて……やり残した事を終わらせにいくか」



 ◇◇◇



 ◇クレイ視点◇


 「いまさら、なんの用だ?」

 人気のない裏路地で、俺は黒服の男「隊長」に問いかける。

 「……決着をつけにきた」

 「決着? なんだエロ本ゲットできなかった逆恨みか?」

 「貴様と勝負がしたいだけだ。一対一でな」

 勝負ってなんだよ、そんなもん全くもって願い下げだぞ。
 にしても、この男の気配しかしない。

 「おい、他にもいただろ?」

 「すでに我らは解散した。私個人として動いている、他の者は関係ない」

 いや、俺も関係ないんだけど。

 「俺は嫌だぞ。そんなくだらん事に付き合う程ヒマじゃないんでな」

 「貴様にはくだらなくても、私には重要なのだ。ほかの者たちはまだ若い、やり直せる。が、俺は裏につかりすぎた。もはや生き方を変える気も無ければ、今までのことを無しにもできん。最後に貴様に勝ちたい、ただそれだけだ」

 「くだらんな。そんなアホな考えに理解はできない。しがらみから解放されたら好きな事しろよ」

 俺は前世の仕事地獄から、この楽園に転生できた。
 もうなんの躊躇もなく好きな事をやりまくっているからこそ、楽しい。
 今いる場所が楽園になるかは、自分のやり方次第だからな。

 「……もはや私にやり残したことは、これしかない」

 「ふぅ……」

 んなこと言われてもなぁ。

 「俺のやる気もなければ、受けるメリットもないしな」

 「ここで私が暴れれば、あの聖女にもかんづかれるぞ。せっかく何もかも忘れようとしているのにな」

 「そんな薄いハッタリで、俺は動かんぞ。隊長さんよ」

 こいつ、俺への異常な執念は感じるが、ラーナたちをどうこうする気はたぶんない。
 なにかを仕掛けようって気配もないしな。

 「ってことで、おまえも好きなことして余生を楽しめよ―――隊長」

 俺がその場を離れようとすると、隊長が「待て」と手をあげた。

 「んだよ……しつこいおっさんはモテないぞ」

 「私の申し出を受ければ、お前の欲したものの効果がわかるぞ」
 「効果……だと?」

 そう言って、隊長は懐から小瓶の頭を覗かせた。

 「おい……それ」

 市販の小瓶とは全く形状が違う。

 「ガザンの山岳ダンジョンで入手したものだ」

 隊長の口角が少し引き上がる。

 チッ……しょうがないか。

 「いいだろうタイマン勝負やってやる。場所は変えるぞ。ラーナはようやく元気がでてきたから、くだらないことに巻き込みたくない」



 ◇◇◇



 フロンドの町から少し離れた草原。
 周囲を木々が取り囲み、中央が円形にポッカリと広い空間があいている。
 自然の闘技場みたいな感じだ。

 「よし、ここでいいか」

 「ああ、構わない」

 俺は隊長に視線を向ける。


 「じゃあさっさとやろうぜ。
 ――――――さっきの小瓶、バトルエリクサーなんだろ?」


 神々が作った伝説のバトルエリクサーか。

 面白い……勝負だ。