追放された転生第7王子、マニアックなスキル【ポーション生成・合成】でぼっちスローライフ満喫……のはずが、作ったポーションが凄すぎて美少女依存者が続出してしまい俺を離してくれない

 「グアァ? ポーションをガッタイだトォ……?」

 「そうだ、おまえのクスリを打ち消すポーションだ」

 「グヌヌぬぅ! ワダジのクスリをウチケスダドォオオ! なめるなよォォ、ギキシュ―――」

 強化ダムロス大司教の身体から、ミシミシと肉体や骨が異音を放ち始める。
 ブチブチと皮膚が裂けて、肉体のあちこちから黒い何かが這い出してきた。

 「ふぇえ! クレイさん、あれって……」

 ラーナが怯えた声を上げつつ、強化大司教の黒いものを指さす。

 手だ。

 無数の手を身体から生やしやがった。

 そのおぞましい手は、周辺に倒れている聖騎士たちの落とした剣をひとつ、またひとつと掴み取ると、まるで意思を持っているかのように独自に動き出す。

 「ちっ……もはや人間やめてやがるな」

 「ギヨォホホホホホホ!」

 強化大司教の声と共に、バラバラな動きだった腕が一斉に回転運動をはじめた。
 基本もクソも無いが異常な膂力によって回転速度が増していき、まるでレシプロ機のプロペラのようにブンブン風切り音を発する。

 「ぞんなポーション、オソルルニタラズだがぁ……これでクダラナイ小細工もできんだロォオオ!」

 なるほど、俺のポーションを多少は警戒しているのか。

 動ける聖騎士たちが再び攻撃を再開するが、強化司教の体中についている回転剣に阻まれる。
 うかつに接近しすぎた者は、回転刃の切り刻み地獄に落とされてしまう。

 「お兄様! ここは私たちが道を切り開きますわ!」
 「そうだ、クレイ殿! ワタシに任せてくれ」

 槍と剣を構えるアイリアにエトラシア。

 が、俺は2人に待ったをかける。
 そして戦場全体に大声を響かせた。

 「――――――全員大司教から離れろ! デタラメだがあの回転に巻き込まれたら唯ではすまない!」


 「クレイさん、でもこのままじゃ……ってまたポーション作ってるぅう!」

 呆れた声を出すラーナ。

 まあ俺がすることは、これしかないからな。
 ポーチから取り出した2つの瓶。ひとつは戦闘ポーション。

 もうひとつは、【ポーション(体内空気清浄)(エアフレッシュ)

 俺が開発した生活ポーション。淀んだ空気や悪臭を身体から発する微風で飛ばす効果がある。これ自体は生活補助のちょっとしたポーションだ。

 さて、サイコ司教の無数の剣をかいくぐるには……

 「自身の速度を極限まで上げればいい!!」

 俺は2本のポーションを左右に持ち、スキルを発動する。


 「―――【ポーション合成】!
 【戦闘ポーション(瞬間身体能力アップ)(インスタントパワーブースト)】×【ポーション(体内空気清浄)(エアフレッシュ)】!」


 2つの小瓶が光の中で融合する。


 「合成完了―――【戦闘ポーション(戦闘風属性付与)(バトルウィンドブースター)】!!」


 瓶の中では、液体が凄まじい速度で循環している。

 俺は出来上がったポーションを一気に飲み干す。

 「よ~~し、体内風力、充填開始ぃい!」

 「ひゃあ! なにこれ!? クレイさんの身体が……」

 ラーナがめくり上がりそうになったスカートを押さえて、驚きの声をあげた。

 「ん……これ風属性の力。でも魔力とは違う、クレイおにいのオリジナル」


 「ギャハハハハ~~いまざら~何をシテモ~~ムダァあああ!」


 強化大司教が全身の剣を回転させつつ、俺に向かって猛烈な勢いで突進してきた。
 腕の稼働範囲など無視しまくりのデタラメな動きで、全身に回転刃の鎧を装備したような巨体。

 ふぅ……

 風力充填完了―――

 地を踏む足に力を込める。

 次の瞬間には俺の姿は強化大司教の目から消えていた。空気を裂くような衝撃音とともに一閃となって、大司教の側面から斬撃を放つ。

 「ギャバッ!?……?」

 ―――遅い!

 俺はすでに反対側に移動している。

 「ヒャゲェ? キュハャ?」

 俺は高速で攻撃離脱を繰り返し、強化大司教は俺の動きについてこれずに、見当ちがいな攻撃を繰り返す。

 「ギィイイイ! ちょこまカトォオ! これでもクラエィイイイ!」

 業を煮やした強化大司教が、すべての剣の回転を止めて、振り下ろしてきた。
 何十本という剣が、バラバラのタイミングで振り下ろされてくる。

 「よし! こいつを待ってたんだ!
 ――――――速力アップ! うらぁあああ!」

 風力を最大限利用して、迫りくる幾多の斬撃を紙一重で躱し、また剣で受け流し。

 「ふぅ……ようやく来たぜ」

 巨体である強化大司教の肩に乗った俺は、持っていた剣を奴の口に差し込む。

 「バフフフフ……ムグゥ……ガ」

 ようやく、試せるな。


 「やっぱ、ポーションは口からに限るよなぁ! くらえ、サイコ司教ぉおおお!
 ―――――――――【ポーション(超聖浄化再生)(メガホーリーリニューアル)】ぅうううう!」


 もう一方の手に握るポーションを、その開かれた口に突っ込んだ。

 「ハガァアアアアア!!」

 ビクビクと痙攣をはじめる大司教。
 徐々にその肉体がしぼみ始める。無数に出ていた腕も、ボロボロと落ちていく。

 「どうやら効果ありのようだな。サイコ司教さんよ」

 「グソォオオ……ワタシの最高傑作のクスリがぁあ! あり得んンンン……」

 身体がしぼみ始めた大司教だが、必死に崩れゆく無数の腕を俺にぶつけようとあがきはじめる。

 が、おれは風圧のパンチを数発撃ち込み、大司教の最後のあがきをことごとく封じる。

 「グゲェエエエ、ぎ、ギサマぁあ! いったい……ナニモノだぁ……」

 俺か……


 「俺はただのポーションオタクだよ―――

 風力全開ぃいいいい!
 ―――――――――暴嵐一撃瞬拳(テンペスト・ゼロフレームヒット)!!」


 目にも止まらぬ速さで、強烈な一撃を腹に打ち込まれた大司教。


 「ギュハァアアアアアぁあああ……ああァァ……ぁぁ……ァ…………」


 大司教の身体は宙を舞い。魔の森の方へ吹っ飛ばされていった。

 ふぅ……終わった。


 「俺のポーションが、ゲスなクスリに負けるかよ」