追放された転生第7王子、マニアックなスキル【ポーション生成・合成】でぼっちスローライフ満喫……のはずが、作ったポーションが凄すぎて美少女依存者が続出してしまい俺を離してくれない

 「さて、ラーナ。もうひと仕事いくぞ!」
 「はい! クレイさん」

 回復ポーションを大量作成しながら、ずっと考えていた。
 強化人間を元に戻せるのか。

 脳内で何度も試作を重ねた結果、試してみたいポーションがすでに浮かび上がっている。

 まずは―――

 「ラーナ、しんどいかもしれんが、「グッ」っとやる聖水を頼む」
 「は~~い、クレイさん。私がんばる!」

 「くぅう……!」と踏ん張るラーナの手から、先程まで出していた聖水よりもより青い聖水が出てきた。

 「神青の聖水」だ。最も濃度の高いラーナの聖水。浄化効果抜群の素材だ。

 ドバドバと瓶に注がれていく「神青の聖水」。
 よし、きついだろうがこちらはラーナに任せておくとして、次の素材の用意だな。

 俺はポーチに手を突っ込み、キノコを出す。

 フェルの毛をいじってた時にブチっと回収した、デトックスマッシュルーム。
 こいつは体内の不純物を外に出す効果がある。いわゆる下剤みたいなもんだ。

 「毛づくろいのたびにブチブチ取ってたから、いっぱいあるぞ。フェルに感謝だな」

 俺はポーチからキノコを大量に出した。

 その他には、基本素材である魔力草と体力草。
 そこへラーナの「神青の聖水」がたっぷり詰まった瓶が、次々と出来上がってくる。

 「よし! これで素材は揃ったな」

 さぁ~~いよいよ作成だ!

 スキルを発動して―――


 「【ポーション生成】!
 ――――――【ポーション(聖浄化再生)(ホーリーリニューアル)】!」


 俺の手から、あらたなポーションが姿をあらわした。

 「わぁ……綺麗なポーションですね……クレイさん」

 ラーナが聖水を出しながらも、深青の輝きを放つポーションに見惚れている。
 俺も多くのポーションを作ってきたが、ここまで綺麗なポーションははじめてだな。

 ではさっそく。

 俺は完成したポーションを持って、ヒクヒク痙攣している強化黒服の元へむかった。

 「そのポーションで、クルスたちが元に戻るのか?」

 「ああ、そうだ」

 強化黒服の傍にいた隊長とタイナーが、じっと俺のポーションを見ている。


 「クハハハ~~元に戻すポーション? バカなんですかぁ~そんなものはこの世に存在しませんよぉ~ねぇ」


 大司教がクフフと笑いを漏らす。

 存在しないか……

 だから作ったんだよ。

 今回はぶっつけ本番だ。
 本来なら試作を重ねるのだが、そんな暇はない。

 今までの生成知識と、経験値から導きだした新ポーション。

 強化黒服の口に無理やりポーションを注ぎ込む。

 「……ッ……ガッ」

 反応があった。

 強化黒服の身体がビクッと跳ねて、その場でゴロゴロと悶え始める。
 そしてうつ伏せになると……

 「ギャ……グガァアア……」

 大量に黒い液体を吐き出しはじめた。

 「な! おい、王子……!?」
 「ふぁ! クルスさん!?」

 脇で慌てる隊長とタイナーに俺は手を横に振り、止める。

 「まて。ポーション効果が出ている証拠だ」

 「こ、効果なのか……?」

 「そうだ、不純物をすべて吐き出しているんだ」

 強化黒服3体は、痙攣しながら嘔吐を繰り返す。

 が、その行為もすぐに収まった。

 「こ、これは……!?」
 「ふあ! クルスさんたちが!」

 不純物であるクスリの成分をすべて吐き尽した黒服たちは、その化け物じみた身体から、人間の身体へと徐々に戻っていった。

 「ぐはぁ……むぅ……た、たいちょ……」

 意識が戻ったか。

 人間の言葉を発した強化黒服たちに駆け寄る隊長とタイナー。大司教のクスリによる支配は、ラーナの強力な聖水による浄化作用で解除されているようだ。
 さらに俺の基礎ポーションによる修復効果も効いている様子。
 まあ切れた腕などまでは再生できないが、少なくとも人間の身体は取り戻した。

 「よし、効果ありだな」

 「あの怪物を元に戻すなんて……クレイ殿は本当に凄いな……」
 「ふふっ、クレイさんはやっぱりポーション狂いのイケメンですね」

 ラーナとエトラシアが、半ば呆れたような驚きの声をだす。

 「むぅ……こんなことが……とんでもないポーション野郎だな。貴様は」
 「ふわあぁあ~~みんなぁ~~」

 隊長は元に戻った黒服たちを見て、半ば信じられないといった唸りをあげる。

 「……ぜだ」

 そして後方からもれる声。大司教か。
 彼は護衛の強化騎士をかき分けて、黒服たちを凝視した。


 「なぜだぁああ!―――――――――なぜ戻っているぅううう!!!」


 目に血管を幾重にも走らせたダムロス大司教が、叫び声をあげた。

 「ありえない……人形どもは時間経過で爆散するか、その前に生命力を限界まで使い切って壊れるかのどちらかだぁ! それ以外の結末はないんですよぉ! 元に戻すポーションなんて存在しないんですよぉおお! たとえ聖女ラーナの聖水をもってしても!」

 大司教の憎悪の視線が俺に向けられる。

 「だが戻ったぞ」

 「ありえないありえないありえないぃいい! わたしのクスリがぁああ!!」

 「そのクスリを過信しているようだが、俺もポーションにかけてはゆずれないんでな」

 それにな……

 「ラーナの聖水は人を苦しめるためにあるんじゃない。助けるためにあるんだよ」

 「こ、このポーション王子がぁ……うきぃいいい!」

 頭を掻きむしり奇声を発する大司教。

 俺は、再び黒服たちに視線を向けた。

 「黒服たち。これで貸し借りはなしだぞ」
 「ああ、わかっている。礼は言わんぞ王子」

 アイリアのピンチを救ったし、共闘とはいえ彼らの働きは大きかった。
 が、あくまで一時休戦なだけ。こいつらと慣れ合う気も無い。

 「さて、どうする? 敵対するなら、容赦はしないが」

 「……はじめに言っただろう。終わったら去ると」

 「何を言っているのですか、あなたたち! さっさと王子たちを始末しなさい! 今まで育てた恩をアダで返す気ですかぁ!」

 恩て……どの口がそんなことを言うんだよ、こいつ。

 隊長はヒステリックに叫ぶ大司教には答えず、俺に視線を向ける。

 「我らがあやつの元にいる存在意義は無くなった。この場で敵対もしなければ加勢もしない! 行くぞ!」

 その言葉を残して、黒服5人は音もなくその場から消えていった。

 「ぬぁああ! 役立たずのクソどもがぁあ! あなたたち! 早くそのうっとしい槍娘をなんとかしなさい!」

 アイリアの攻撃に、押され気味な大司教護衛の強化聖騎士たち。
 スピアを縦横無尽に振るうアイリアの猛攻に、徐々に動ける護衛聖騎士が減り始めている。

 これで当面は、俺たちに横やりは入れられないな。


 「よしラーナ! もうひと踏ん張りできるか?」
 「もちろんです! クレイさん!」

 なら、今度は――――――こっちだなぁ

 俺は再びポーション生成!の連呼を開始する。

 作るのは【ポーション(聖浄化再生)(ホーリーリニューアル)】だ。

 「ガンガン作るぞラーナ!」
 「は~~い、クレイさん!」

 強化人間なんざ、全て元に戻してやる!