突然の妹(王女)たちの来訪に、パニックなったラーナたち。
妹たちの自己紹介が終わり、いったん全員が落ち着いた状況(女騎士を除く)となった。
てことで本題にきりこんだ。「何故ゆえに王女である妹たちが、この地に来たのか?」と。
俺はこのフロンドを気に入っているが、外向けにはここは忘れ去られた辺境の僻地。
王族がふらっと来るような場所ではない。
「お兄様、わたくしたちは逃げてきたのですわ」
「逃げる?」
「もちろん、第2王子カルビンからですわ」
兄から逃げるだと……まさかとは思うが、襲ったりしたんじゃないだろうな。
ちなみにカルビンは第1王妃の子供だ。
そして俺は第2王妃、さらに妹たちは第3王妃の子供である。
カルビンは俺を追放したクソ兄ではあるが、妹たちに手を出すほど愚かではないはずだが。
「あのクソは、わたくしたちを手籠めにしようと襲ってきましたの」
やらかしてんじゃねぇかよ……
にしても正気か?
さすがに無茶苦茶だぞ。
いくらなんでもやりすぎだ。
そんなことをすれば、大問題になること間違いなしだが。
だが、そんな暴走すらも可能と思うぐらい、最近のカルビンは増長しているようだ。
あの兄らしく、狡猾な罠を仕組んで。妹たちを孤立させて、互いを人質にして身体を楽しむ。みたいな胸糞計画だったらしい。
事実、妹たちの周りにいた信頼できるべき味方はほぼ排除されたらしく、ことが起こってもすべてを闇に葬り去るような状況にまで追い込んできたとのことだ。
「お兄様を追放に追いやっただけで、万死に値するのに。わたくしたちをどうにかしようなんて、あのクズは最悪ですわ!」
アイリアがその綺麗な顔を嫌悪感で歪める。
「しかし、良くあのカルビンから逃げられたな」
「ええ、リアナが手伝ってくれましたの」
「リアナも来ているのか?」
「ええ、表で馬車と待機してますわ」
アイリアの言うリアナとは、昔から彼女たちに仕えている侍女の事だ。
ただの侍女ではなく、かつては情報収集機関に勤めており、戦闘から洗濯までなんでもこなすスーパーメイドさんだ。
アイリアの話によれば、胸糞計画が実行される日を事前に察知したリアナは、あらかじめ2台の馬車(王族用・平民用)を用意して1台をカルビンたちに追撃させるよう仕向けた。
そして、彼の目の前でザナルの渓谷に馬車ごと落下するという大芝居を打った。
「そうか、ならばカルビンもこれ以上は追わないだろう」
「ええ、お兄様。あの渓谷は底なしの深さ。さすがに捜索隊も降りられませんわ」
一部始終を見終えたリアナが、妹たちの乗るもう一つの平民馬車で合流して、このフロンドに向かったという。
どうりで新聞にも妹たち式典欠席なる記事がでていたわけだ。
「そっか……とにかく大変だったな」
「あんなクソにわたくしたちの純潔を捧げるなど、論外ですもの」
「なんにせよ、おまえたちが無事で良かったよ」
「ふふ、お兄様に会いたい一心で頑張りましたのよ」
俺に会いたいか。
王城に住んでていた頃は、この3人は随分と俺に懐いていたからな。
俺の母である第2王妃、そしてこの子達の母親である第3王妃はすでに病でこの世にいない。
上位の王子や姫たちとは、少し一線を引かれた姫たちだ。
俺がポーションばかり作っている変わり者だったのも、立ち位置が微妙だった彼女たちの興味を引いたのかもしれない。
王城での心残りと言えば、この3人の姫たちだったんだが……
「で、これからどうするんだ?」
すでにある予感はプンプンしているが、一応聞いてみる。
「もちろんお兄様といちゃラブ同棲生活をはじめますわ……キャッ♡」
「ん……クレイおにいに寄生……夢のダラダラ怠惰」
「らいむだいじょうぶだよ~まくらもってきたもん、ちがうべっどでもねれるもん」
うむ……やはりか。
まあ王女のアイリアがラーナたちに丁寧なカーテシーをした時点で、なんとなく察したが。おそらく「ここにお世話になります」という敬意も込めていたんだろう。
「あ、わたくしたちはもう王女ではありませんからご心配なくですわ」
「ん……もう死亡している」
この世に存在していない設定ってか。
王国も今は沈黙しているが、順次病死なり理由をつけて死亡発表でもするんだろう。
「それに、わたくしたち3人は認識阻害の魔道具イヤリングをつけてますの。
これで許可しない第三者には別人に見えますわ。だからお兄様にもご迷惑はおかけしませんわ」
なるほど、用意周到というわけか。
持論を展開しきって、満足したのかウフっと声を漏らして、グイグイ迫って来るアイリア。
その引き締まった身体についたドデカイ2つをギュッと押し付けてくる。
「お、おい。ちょっと近いぞアイリア。もうちょっと年頃の娘って自覚をもて」
「あら、お兄様ったらいやですわ。いつも通りの距離感でしてよ。なにか問題でもありまして?」
誤解を招く発言はやめてくれ。
あとうしろのラーナたち女性陣から、殺気がガンガン背中に刺さっているんだが。
とりあえず妹たちの事情は理解した。
まあ、部屋はいっぱい余っているし。
俺が再び口を開こうとした時だ。
聖女ラーナが俺の方に視線を向けた。
普段のラーナからはあまり見ない真剣な眼差し。というかちょっと眉間にしわが寄っている。
「クレイさん、ちょっと女子同士で話し合いがしたいです」
「あら、わたくしもラーナさんたちとお話したいと思ってたところですわ」
「「では! いざ尋常に!!」」
え? どういうこと?
話合いなんだよね。もしかして果し合いの聞き間違えじゃないだろうな。
妹たちの自己紹介が終わり、いったん全員が落ち着いた状況(女騎士を除く)となった。
てことで本題にきりこんだ。「何故ゆえに王女である妹たちが、この地に来たのか?」と。
俺はこのフロンドを気に入っているが、外向けにはここは忘れ去られた辺境の僻地。
王族がふらっと来るような場所ではない。
「お兄様、わたくしたちは逃げてきたのですわ」
「逃げる?」
「もちろん、第2王子カルビンからですわ」
兄から逃げるだと……まさかとは思うが、襲ったりしたんじゃないだろうな。
ちなみにカルビンは第1王妃の子供だ。
そして俺は第2王妃、さらに妹たちは第3王妃の子供である。
カルビンは俺を追放したクソ兄ではあるが、妹たちに手を出すほど愚かではないはずだが。
「あのクソは、わたくしたちを手籠めにしようと襲ってきましたの」
やらかしてんじゃねぇかよ……
にしても正気か?
さすがに無茶苦茶だぞ。
いくらなんでもやりすぎだ。
そんなことをすれば、大問題になること間違いなしだが。
だが、そんな暴走すらも可能と思うぐらい、最近のカルビンは増長しているようだ。
あの兄らしく、狡猾な罠を仕組んで。妹たちを孤立させて、互いを人質にして身体を楽しむ。みたいな胸糞計画だったらしい。
事実、妹たちの周りにいた信頼できるべき味方はほぼ排除されたらしく、ことが起こってもすべてを闇に葬り去るような状況にまで追い込んできたとのことだ。
「お兄様を追放に追いやっただけで、万死に値するのに。わたくしたちをどうにかしようなんて、あのクズは最悪ですわ!」
アイリアがその綺麗な顔を嫌悪感で歪める。
「しかし、良くあのカルビンから逃げられたな」
「ええ、リアナが手伝ってくれましたの」
「リアナも来ているのか?」
「ええ、表で馬車と待機してますわ」
アイリアの言うリアナとは、昔から彼女たちに仕えている侍女の事だ。
ただの侍女ではなく、かつては情報収集機関に勤めており、戦闘から洗濯までなんでもこなすスーパーメイドさんだ。
アイリアの話によれば、胸糞計画が実行される日を事前に察知したリアナは、あらかじめ2台の馬車(王族用・平民用)を用意して1台をカルビンたちに追撃させるよう仕向けた。
そして、彼の目の前でザナルの渓谷に馬車ごと落下するという大芝居を打った。
「そうか、ならばカルビンもこれ以上は追わないだろう」
「ええ、お兄様。あの渓谷は底なしの深さ。さすがに捜索隊も降りられませんわ」
一部始終を見終えたリアナが、妹たちの乗るもう一つの平民馬車で合流して、このフロンドに向かったという。
どうりで新聞にも妹たち式典欠席なる記事がでていたわけだ。
「そっか……とにかく大変だったな」
「あんなクソにわたくしたちの純潔を捧げるなど、論外ですもの」
「なんにせよ、おまえたちが無事で良かったよ」
「ふふ、お兄様に会いたい一心で頑張りましたのよ」
俺に会いたいか。
王城に住んでていた頃は、この3人は随分と俺に懐いていたからな。
俺の母である第2王妃、そしてこの子達の母親である第3王妃はすでに病でこの世にいない。
上位の王子や姫たちとは、少し一線を引かれた姫たちだ。
俺がポーションばかり作っている変わり者だったのも、立ち位置が微妙だった彼女たちの興味を引いたのかもしれない。
王城での心残りと言えば、この3人の姫たちだったんだが……
「で、これからどうするんだ?」
すでにある予感はプンプンしているが、一応聞いてみる。
「もちろんお兄様といちゃラブ同棲生活をはじめますわ……キャッ♡」
「ん……クレイおにいに寄生……夢のダラダラ怠惰」
「らいむだいじょうぶだよ~まくらもってきたもん、ちがうべっどでもねれるもん」
うむ……やはりか。
まあ王女のアイリアがラーナたちに丁寧なカーテシーをした時点で、なんとなく察したが。おそらく「ここにお世話になります」という敬意も込めていたんだろう。
「あ、わたくしたちはもう王女ではありませんからご心配なくですわ」
「ん……もう死亡している」
この世に存在していない設定ってか。
王国も今は沈黙しているが、順次病死なり理由をつけて死亡発表でもするんだろう。
「それに、わたくしたち3人は認識阻害の魔道具イヤリングをつけてますの。
これで許可しない第三者には別人に見えますわ。だからお兄様にもご迷惑はおかけしませんわ」
なるほど、用意周到というわけか。
持論を展開しきって、満足したのかウフっと声を漏らして、グイグイ迫って来るアイリア。
その引き締まった身体についたドデカイ2つをギュッと押し付けてくる。
「お、おい。ちょっと近いぞアイリア。もうちょっと年頃の娘って自覚をもて」
「あら、お兄様ったらいやですわ。いつも通りの距離感でしてよ。なにか問題でもありまして?」
誤解を招く発言はやめてくれ。
あとうしろのラーナたち女性陣から、殺気がガンガン背中に刺さっているんだが。
とりあえず妹たちの事情は理解した。
まあ、部屋はいっぱい余っているし。
俺が再び口を開こうとした時だ。
聖女ラーナが俺の方に視線を向けた。
普段のラーナからはあまり見ない真剣な眼差し。というかちょっと眉間にしわが寄っている。
「クレイさん、ちょっと女子同士で話し合いがしたいです」
「あら、わたくしもラーナさんたちとお話したいと思ってたところですわ」
「「では! いざ尋常に!!」」
え? どういうこと?
話合いなんだよね。もしかして果し合いの聞き間違えじゃないだろうな。

