======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
鴻巣恭子・・・辻鍼灸治療院の常連。
幸田仙太郎・・・南部興信所所員。辻先輩には頭が上がらない。
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私の名前は辻友紀乃。
辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
旦那は「腹上死」した。嘘。
本当は、がんだった。
膵臓がん、って奴だ。
私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
お馴染みさんは、これでも多い方だ。
今日も、「お馴染みさん」の話。
「鴻巣さん、終ったで。」
私は、鴻巣の吸盤を外していった。
鴻巣は、元アナウンサーの女性だ。「電波オークション」の前の話だ。
東京にいる頃、すっかりはまってしまい、吸盤治療もやっている所を探して、ウチに来た。
今は、大阪でフリーのアナウンサーをしている。
「あのオンナ、好かんな。」「どのオンナ?」
「4チャン。昔m爺さんがやってた番組のアナウンサー。」
「ああ。据膳たか子やろ。評判悪いな。市橋総理のこと嫌いなんは分かるけど。そんなん台所で言えや、いう感じ。」
「あれ、性格?鴻巣さん、知ってる?」
「ああ。MHKに、いてる時から『尻軽オンナ』で知られてる。電波オークションして、MHKも民放も無くなったけど、名前変えて入社したらしい。まあ、国籍も変えてやけど。」
「スパイか。」「スパイやな。そやから、那珂国の肩を持つ。那珂国の偉いさんは、市橋さんのこと嫌いやねん。昔、偏向報道激しかった時、出演者は皆カンペ読んでたけど、あれは正真正銘脳みそが赤いな。」
「クビにならへんの?」「なる。なる前に演技しまくり千代子。」
「ブスの嫉妬心か。」
「ブスちゃう。ブスでペチャの尻軽。身長は、並んだら前から一番。」
「無茶苦茶言うな。」
「ええねん。バックに、得体の知れんモンがいるらしいけど。ウチら、タダの『バラエティー班やし。』
「それ、卑下してんの?自慢?」
「自慢。私、変態のタコおんなやし。」
「無敵やな。」
「そう無敵素敵かんてき天敵。」
「なんやそれ?」
鴻巣が勘定済ませて出て行くと、幸田が待っていた。
「先輩と鴻巣さんて、吉村新喜劇より面白いですね。」
「最初は暗かったんやでー。東京で苦労したんやな。」
「先輩が明るくしたんですよね。」
「そや。私はlEDや。」
何故か幸田は黙った。
―完―


