投稿日:20XX年3月12日
投稿者:ハンドルネーム「✕✕✕」
タイトル:「●●ダムの消えた集落」
皆さんこんばんは。✕✕✕です。
今回は、以前から気になっていた「●●ダム」について取り上げたいと思います。
このダムは1960年代初頭に完成しました。公的資料によれば、工事に伴って小さな集落が丸ごと移転したとされています。ところが、地元では「全員が立ち退いたわけではなく、最後まで抵抗した一部の家族が村ごと沈められた」という話が囁かれ続けている。私も現地を訪れ、地元の古老がこう語っていたのを、私はメモに残した。
「あそこは声を奪われた村たい。沈んだ家の屋根の上で、最後まで明かりが灯っとったっちゃ……」
よくよく調べると、この地域にはいくつか特有の怪談が存在する。
灯りが沈むダム
湖面を覗くと、夜にだけ“家の灯りの様なもの”が揺れて見えることがあると言われています。近づくと光は消え、代わりに真っ暗な水面が広がる。
白い車の祟り
このダム周辺を「白い車」で訪れると必ず事故や機械トラブルに遭う。実際、地元新聞には「ブレーキ故障による転落事故」が何件も記録されています。
旧道の廃橋
ダム建設前の生活道路の一部が、湖に沈む手前で途切れています。その橋は途中から鉄骨だけがむき出しで残っており、立入禁止の鎖が設けられています。ですが、夜に行くと、橋の先で人影が手を振っているのを見た、という証言が複数あります。
声の証言
釣り人の間では「水面から子供の声がする」と噂されています。録音機器で拾ったという人もいますが、その声は必ず“名前を呼んでいる”ように聞こえるらしいのです。自分の名前に聞こえたという証言もあり、信憑性は不明ですが、不気味さは否めません。
先程も述べた通り、私自身もこの場所を、何度も訪れたことがあります。
ある時、ダム湖の周囲を歩いていると、確かに柵の向こう側から人の気配がしました。同行者も同じ方向を見ていましたが、誰もいない。帰宅後、カメラの映像を確認したところ、暗がりの中に“白い手”のようなものが二、三秒だけ映り込んでいました。
この土地を地元の人は「消えた集落」と呼び、近づくことを避けています。観光地図にも載っていないし、ナビを使っても途中で案内が途切れる。だからこそ、若者の間で「名前の消えた道」と呼ばれるようになったのでしょう。
信じるか信じないかは、あなた次第です。
♢
私が資料に目を通していると、コウが続けてスマホの画面を提示する。
「ずっと昔の番組みたいだけど……ほら、あのコメントくれたファンの方が動画を送ってくれて。田中さんの世代なら、見たことあるんじゃないですか?」
あるホームページ上で公開されていた動画だった。ページの更新も随分前に止まっている。
動画の内容は、当時人気の霊能力者を起用した心霊特番を、転載したものだった。もちろん、私もテレビ局によって作られたエンターテインメントとして、当時番組を楽しんでいた一人だ。私はスマホを受けとり、動画を再生する。下記に、私が文字に起こした資料として、内容を提示する。
投稿者:ハンドルネーム「✕✕✕」
タイトル:「●●ダムの消えた集落」
皆さんこんばんは。✕✕✕です。
今回は、以前から気になっていた「●●ダム」について取り上げたいと思います。
このダムは1960年代初頭に完成しました。公的資料によれば、工事に伴って小さな集落が丸ごと移転したとされています。ところが、地元では「全員が立ち退いたわけではなく、最後まで抵抗した一部の家族が村ごと沈められた」という話が囁かれ続けている。私も現地を訪れ、地元の古老がこう語っていたのを、私はメモに残した。
「あそこは声を奪われた村たい。沈んだ家の屋根の上で、最後まで明かりが灯っとったっちゃ……」
よくよく調べると、この地域にはいくつか特有の怪談が存在する。
灯りが沈むダム
湖面を覗くと、夜にだけ“家の灯りの様なもの”が揺れて見えることがあると言われています。近づくと光は消え、代わりに真っ暗な水面が広がる。
白い車の祟り
このダム周辺を「白い車」で訪れると必ず事故や機械トラブルに遭う。実際、地元新聞には「ブレーキ故障による転落事故」が何件も記録されています。
旧道の廃橋
ダム建設前の生活道路の一部が、湖に沈む手前で途切れています。その橋は途中から鉄骨だけがむき出しで残っており、立入禁止の鎖が設けられています。ですが、夜に行くと、橋の先で人影が手を振っているのを見た、という証言が複数あります。
声の証言
釣り人の間では「水面から子供の声がする」と噂されています。録音機器で拾ったという人もいますが、その声は必ず“名前を呼んでいる”ように聞こえるらしいのです。自分の名前に聞こえたという証言もあり、信憑性は不明ですが、不気味さは否めません。
先程も述べた通り、私自身もこの場所を、何度も訪れたことがあります。
ある時、ダム湖の周囲を歩いていると、確かに柵の向こう側から人の気配がしました。同行者も同じ方向を見ていましたが、誰もいない。帰宅後、カメラの映像を確認したところ、暗がりの中に“白い手”のようなものが二、三秒だけ映り込んでいました。
この土地を地元の人は「消えた集落」と呼び、近づくことを避けています。観光地図にも載っていないし、ナビを使っても途中で案内が途切れる。だからこそ、若者の間で「名前の消えた道」と呼ばれるようになったのでしょう。
信じるか信じないかは、あなた次第です。
♢
私が資料に目を通していると、コウが続けてスマホの画面を提示する。
「ずっと昔の番組みたいだけど……ほら、あのコメントくれたファンの方が動画を送ってくれて。田中さんの世代なら、見たことあるんじゃないですか?」
あるホームページ上で公開されていた動画だった。ページの更新も随分前に止まっている。
動画の内容は、当時人気の霊能力者を起用した心霊特番を、転載したものだった。もちろん、私もテレビ局によって作られたエンターテインメントとして、当時番組を楽しんでいた一人だ。私はスマホを受けとり、動画を再生する。下記に、私が文字に起こした資料として、内容を提示する。



