居るだけでも息苦しくなりそうな空間に自分含め6人の生徒が集まっていた。例の話しから3日が経ち役員の顔合わせをしているのだ。定時制の方から自分に、伸也、田沢の3人。対して千納時の方から、可愛らしいおかっぱ頭に細いフレームのめがねを掛けた、住川貴理。ガタイよく柔道部の角俣隼人が、対面式で座っている。ただ、ここに集まり自己紹介はしたものの、10分程時間が経過しても会話を振っても続かない。ただただ重い空気が漂っている。

(どうすんだよーー)

 チラリと千納時を見るが、腕を組み四人の方を見つめていた。この様子だと彼は何も動くつもりはないらしい。

(しゃーないな)

 自分は一回咳払いをする。

「えーと。とりあえず、話し進めたいんだけど…… 何かやりたい事とかある? ブース的には教室の半分を使用する感じで」

 自分の問いに答えるわけもなく、思わず苦笑いをすると、隣の伸也が自分に耳打ちする。

「おい、もう帰ろうぜ。こんなのぜってーー 無理だしっ」

 そんな彼の囁きはいくら声を小さくした所で静寂の教室では意味がない。彼の目の前にいた角俣がこちらを見た。

「そうだな。この調子では無理だと思う」
「私もそう思います」

 鄰に座る住川もそれに賛同の声をあげる。すると田沢が住川を睨む。

「そんな事思ってるのあんたらだけじゃないんだよ。こっちだて願いさげだね」

 すると、住川が立ち上がり彼女を睨み返す。

「こっちもです!! それこそ何で私達が定時制のあなた達と共同でやらなちゃいけないんですか? 外見からして素行悪い人達でしょ」
「はあ? 何いってやがるんだ? 定時制だから素行悪いことか勝手に決めつけるんちゃねーよ、そこの女!!」
「おいっ、彼女が普遍的な事は言ったとはいえ君も女性に対して失礼だっ」

 今まで黙り込み、思っていた事がいえなかった事がここで堰を切ったように溢れ出し、教室に声が散乱し始めた。

「お、おいっ、四人共っ」

 止めに入るが、全く自分の声は届かない。

(収集つかないっ)

 その時だった。

「五月蠅いよ。四人共」

 今まで黙っていた、千納時が言葉を発した。その声は決して大きくはなかったが、とても冷たく、鋭い刃物のような感じに捉えられ、すぐさま自分は彼を見た。顔は笑っている。だが、目は全く笑っていない。

(めっちゃ怒ってるんですけどっ)

 それは言い合っていた四人も察するとと同時に、とてつもない威圧感に飲まれ、口を一斉に紡ぐ。

「とりあえず、立ってる人は座ってくれる」

 彼の言葉に従い腰を下ろし、全員が着席した所で、彼が周りを見る。

「何を言ってもこの体制はかわらなければ、非常に無駄な時間だ。確かに今回初めての上に、この試みは二年生のみ。互いに思う事はるが、せっかくの機会だ。なので気持ちを入れ替えて取り組むようにしてほしい。とりわけ、今までの無駄な時間を取り戻したい。なので今回やる出し物を早急に決める。とりあえず、俺の方で何個か案はあるから聞いてもらう」

 皆何も言葉を発する事なく、圧を保ったままの千納時を見つめる中、彼は詳細を配り淡々と案を説明し始めたのであった。