ゐ二し古ゑ乃宮中妖りんレん花恋絵巻

鈴(レイ)が古ぼけた夜中のお店で、
たくさんの妖たちに見守られながら…

…青いチューリップをもなみに手渡す…

…これが月花藍鈴草
(つきはならんりんそう)と

…呼ばれる由縁である…

それは、こノ世で最も恋しい人に贈る、甘く薫る
二藍の淡桃にチューリップの咲く直衣(なおゐ)だった…



‐…月の雫の垂れる夜に、一刻一刻
月がかげるごとに、桜花ははかの実がなる…‐

…桜花ははかノ花の舞い込む疾風ノ刻…

…おかげののった春風のなかを…
…鈴(レイ)ともなみ…

結ばれた二人が喜び合いながらかけてゆく…。


ねじ曲がった時空のひずみにある
桜花ははか乃野…このtimesliphallに行っては、

鈴は、小さく春息吹をついた。

「…恋しい人、あなたヲ
想い出さずにはいられなかった…。」


…夢輝星に瞬く、夜半の月夜のかげる日に、
桜花ははかの実を摘む。

そして、その桜花ははかの枝からとれる…

甘い花蜜を小瓶に入れ、その実を浸す。

人差し指を花の懐剣で切って、
その人差し指から流れ出た、

人魚の血を一滴垂らすと〈花血蜜〉なる秘薬ができる。

‐…その〈花血蜜〉を飲むと、永遠の恋が叶うという…‐


「…結婚してほしい。」

エンゲージリングのサクラコフレを
彼女に渡して、竜王は、その草薙ノ剣に

…誓いを立てる。

「…竜王一族の名において…。」

竜王はス咲乃オ乃ゐ琴、
王女は眠り姫と呼ばれていた。



黒いシャツに黒いスーツ姿の花茨ノ君は言った。

「…どうしても叶えたい、ものがある…。」

「…私の嫁になってほしい。」



…宮中…

〈春の花ノ戸〉

「…鈴(レイ)。」

…若宮は、花夕夢のなかで、
綺麗な黒髪を花風になびかせ、

若紫の直衣を羽織り、宮中を歩いていた。

…もなみは若宮を呼び止めると、
彼に向かってかけていった…。


…花畑のなか、

…鈴は、もなみを抱きしめる…



…花夕夢のなかで、君を想ふ。


‐…つかもふか、

はたまた、結まゐか…‐

‐…つかもふか…‐


…花恋絵巻で封印されていた恋…


…それは、花夕夢の恋…

ス咲乃オ乃ゐ琴との君恋は
たくさんの分け御魂で描かれていた。


…神様と人との恋…

…でも、

宮中御法度で

…恋する人の夢にふれることは、
決してしてはいけない…

と言われていた。

…だから、鈴は花恋絵巻を描くの。

鈴は若宮になって、花恋絵巻の花夕空をかける。

彼名タの頬にふれるとき…

彼タ矢の魂が抜け出て、
その頬に、甘いkissをかわす。


…彼名タの香りにふれたら…

揺れる恋瞳で、彼名タをみつめて、
…愛している…と、結う。


でも、一つだけ叶うならば、

…あの人のもとへと、連れてって…


ス咲乃オ乃ゐ琴は、
…幼い頃に出会った人で、初恋だった…

…眠ったままでいた…
心の奥で封印していた夕紅恋が

…ゆっくり、動き始める…


〈…なきゆかば 梅の野にぞ

けふこえて
鷽の鳴く声 夢にかもみる…〉



…花曇り。

…黒い雨が降る。


…ビン!と、
花弓を張る音がする。

…人々の逃げ惑ふ声がして、
宮中の灯火が消える。

「…竜だァ‐!」

…宮中をゆく竜が黒煙と共に、
覆いかぶさるようにやってくる。

地中深く埋まった古代の呪術、土人形〈鬼〉。

雨音のたたく空に花雷の鳴り響く大地のなかで
宮中のくぐつ呪師たちがくぐつ人形を操る。

ボコボコっと土人形たちが土煙とともにでてくる。

土でできた人形の〈鬼〉は目がくぼんで
口が聞けないようになっており、

とけた手足はどろどろになっていた。

土人形たちが宮中に襲いかかってきて、
鬼が暴れ回ってゆく!

…チャプン。
…足もとに水がかかる。

…若宮の走る音と低い声に空気がふるえる。

「…してはいけない。」

…若宮は霊火を手に灯すと、
ボッと依り代を燃やした。

…はらはらと護符が切れて、花おかげが残った。

…若宮は〈竜王〉

…〈竜王〉は目にみえない精霊たちの声を聞き、
竜神の神威を天ノ御矛にかきなして、オノゴロと申す。

…若宮が〈仮名物語〉を出して、呪ゐをとく。
…呪詛だ。

…人型の依り代に〈鬼〉と記して、若宮は呪文を唱えた。

〈…花ノ波ゆく土ノまにまに
  夕ノ風吹く花ノまにまに…〉

…ボッと依り代が燃えると、
若宮は母屋に飾ってあった桜花ははかノ枝を

ふりかざして、鬼をただの土塊に変えてゆく。

鬼は土煙をあげて、
桜花ははかノ花と共に、舞いちっていった。

美しい鬼の面をかぶった若宮が
狐火の舞う雨夕空をかけた。

若宮は花桶の上に乗って
桜木を手に持ち、二枝鈴をならし、舞を舞う。

…嵐のなか、若宮の花雨のりとのうたう声がする。

嵐が止み、雲がゆく。
雲が二手に分かれて、綺麗な花夕空が顔を出した。

…雨上がりの匂いがして、
春の暖かい日和になる。

…そして、黒い雨が白い竜にかわって、
空高く飛んでいった…。


……                      ……
 …                      …


…花恋絵巻は妖を妖を封じ込めるための
ス咲乃オ乃ゐ琴と掬矢名タ姫乃ゐ琴との恋物語だった。

…決してあけてはいけない…

と言い伝えられている。

「…絶対にしてはいけなかった!」

…若宮が優しく言う。

「…あなたがわるいんでしょ‐が。」

「…ヒュ‐!ヒュ‐!」

「…若宮、や‐い!」

妖たちのくすくす笑いの声が聞こえる。

「…うるさい!」

頬を赤らめて、口悪く若宮が言う。

「…そんなことないですよ。」

「…まぁまぁ、そういわずに。」

宮中でぞ‐きんがけやら、
箒がけやらで妖たちが働いている。

「…私の気持ち、考えてない!」

「…若宮ったら!」

金の刺繍糸で飾った
レースで紅葉編みした手鞠袋を

ボン!と若宮にぶつけた。

「…もう、知らない!」

…嫌な夢を、みた…

…若宮が土鬼におそわれる夢だ…

…止めたかった…

その前に、

そもそも私と結婚したこと、
忘れてるでしょっ!

もう、ほんとに知らないんだから!

…人の気も知らないで!

花恋絵巻の封印をといたら、
happyendに書き換えすることだって、できる!

そもそも、古い書物はみんな
書き方が悪いのよ!書き方が!

そう言ってもなみは、走って行ってしまう。


…もう、知らない!…なんて、

…心にも無いことを言う。

何度も心のなかで反芻する。

もなみは足を止めて、俯いた。

胸の奥が小さな音を立てて壊れたら、
こうしたら、今にも、泣きそうになる。

…やめて。

「…ちょっと、待てったら。」

…若宮が声を荒げて、
もなみの手を後ろから強く掴む。

「…ごめん。」

若宮が頭を掻きながら、そっと言う。

「…うん。」

「…でも、約束!
妖恋絵巻は開けちゃいけない、って。」

若宮の目をみれない…。

「…う、うん。」

「…ど‐ゆうこと?」

若宮が顔を覗き込む。

「…わからないよ。」

「…とにかく、封印!」

若宮が妖たちに使いを使わせる。

秋の夕焼けの望むなか、
宮中のがゆっくり夕景色に溶け込んでゆく。

本の山を妖たちが片付けるのをみながら、
もなみは若宮につながれた手を振り払えずに

手を引かれて歩いていた。

こうして、心とは裏腹に
あなたと手をつないで歩くと、胸がときめく。

…このまま手を引いて、連れ出して…

廊下をゆくと宮中を彩る
紅葉が二人舞いちる。

二人は灯ロウのついた、薄暗い書庫に入った。

「…約束。」

早鐘を打つ胸を振り絞って、
あなたが腕を強く引く。

振り返って目が合うと、
急に体が火照って胸がきつく

…締め付けられた。

…ふいに、抱きしめられると
小さな背中に温もりが伝わる。

足元の本がドサドサっと、崩れて床に落ちた。

「…ちょ、ちょっと。若宮!」

…誰かがみてたら…

すると、抱きしめる腕が強くなる。

「…だめ。」

…やめて。

「…封印をといてはいけなかった。」

…あなたの目をみると、私は一瞬ためらう。

そのとき、秋風が書庫に吹き付けると、
パラパラとページが宙を舞い、辺りに

日暮れの宵宮が重なって、
赤い紅葉野に染まる。

ふたつの影がひとつになる。

…私の頬にふれるのは、彼名タ…。

…彼名タだけが、いい…

舞い込んだ紅葉風が花恋絵巻の封をとく。

胸の内にやきもちがたまって、
一人占めしたい気持ちでいっぱいになる。

「…してはいけなかった。」

若宮が甘い琴ノ花で言う。

「…いや!」

もなみが抱きしめられる。

胸の高鳴りが伝わって怖くなる。

…好き、という想いがあふれてく…。

彼が押し倒したとき、もなみが書物の
山に倒れ込み、本が雪崩みたいに崩れてく。

…ガタン!

…と、音がして、〈封印〉と墨字で書かれた
護符がベタベタ貼り付けられた箱の隅が開く。

振り向いて、

「…何コレ。」

って言うと、

〈封印〉と書かれた護符を一枚破り取る。

すると、白菊の模様に赤い和紙づくりの
〈花恋絵巻〉と書かれた書物が箱から

落ちて転がっていった。

「…〈花恋絵巻〉。」

…もなみ。…もなみ。

…誰かが記している…。

「…これが。」

もなみがハッと息を呑むと、
黒い〈影〉になった妖たちが次々と

中から出てきた!

花恋絵巻の一つを手に取り、
絵巻物の花表紙についていた

赤い紐をはらりとほどいた。

…あ。約束…

「…忘れてたッ!」

……                      ……
 …                      …

〈…妖だぁ‐!〉

〈〈封印〉がとけたぞ‐!〉

絵巻物のなかから声が聞こえる。

「…しゃべってる!」

…びっくりして、声が詰まる。

「…絵も動いてるぞ!」

若宮の肩に乗り、ねずが言う。

〈封印〉のとけた妖たちが絵巻物のなかで
生きてありありと動いているのがみえた。

ろくろ首にかけた縄を引っ張る。

干し物にかけた一反木綿が空を飛ぶ。

猫又が人を化かす。

妖に向けた矢のお化けが宙を舞う。

人々の大きな声に、土煙の匂い。

人々が剣や矛をふるい、護符が空を飛ぶ。

呪詛がとけると、花恋絵巻の
絵からでていった妖たちが、

なかから消えていった。

土でできた鬼のくぐつ人形が
襲いかかってくる!

鬼たちは次々と土の中からでてきて、
どろどろになった手足はとけて腐っていた。

小さな書庫に土鬼が立ちふさがる!

「…出口をふさがれた!」

ねずが冷や汗を垂らしながら言う。

「…もなみ、和琴はひけるか?」

ねずが言う。

「…和琴‐?!」

「…そんなのムリ‐!」

もなみが土鬼の土をかわしながら、逃げていく。

もなみの体から抜け出た魂を
土鬼が喰らおうと手をのばした…瞬間。

そのとき、若宮がもなみの
腕を引いて、向かい合うと

そっと抱きしめた。

「…え?」

びっくりして、目を見開く。

「…もなみ。」

そうして、
若宮が名を、呼ぶ。

「…こっち。」

書庫に立てかけてある赤い桜柄の
和琴を横において、もなみの手を引いて座らせた。

「…花和琴の音で封じ込めると良い。」

ねずが和琴の回りを飛び跳ねて、言った。

若宮が花和琴に手をおいて、

「…引く真似でいいから、爪を付けて、
手をおいてみてごらん。」

と、言った。

もなみは肩を下ろして、

「…うん。分かった。」

と言って、頷いた。

もなみは舞姫姿で花和琴に手を置いた。

…ポロン。…ポロン。

…花夕琴をならす。

「…ウソ‐!」

「…ひけてないけど、ひけてる‐!」

「…言っちゃダメだろ。」

花爪をつけて、和琴に手を置くと
手で弾くように花音をならす。

ひいてないのに、手でさわるだけで音が鳴る。

…若宮は、琴の音に言ノ葉をなぞらえては
花歌をうたいゆく。

若宮は隣の塗籠に供えてあった祭壇の
荻の穂に蒲の穂に稲穂を三束つかむと、

花歌にあわせて、舞を舞った。

その秋舞に合わせて、もなみが花和琴をひく。

…荻ノ花の穂で鬼にふりかざすと、
鬼が土煙とともに舞いちった。

…土煙が花荻風のなかを吹き荒らす。

……                      ……
 …                      …

夕風が吹き込んで、舞い散った紅葉に
本と土塊だけが静かな書庫に散らばっていた。

「…いタっ!」

…腕がじんじん痛む。

…もなみは花紅葉の十二単衣の袖をまくり、腕をみた。

「…これは。」

「…呪詛だ。」

みると、木苺色の妖花紋が体中に
アザのように浮き出ている。

右腕にくっきり紅跡が残されていた。

「…黒い桜紋の下三日月エンドウ。」

もなみが呟く。

「…黒い竜の花紋もあるぞ!」

若宮の肩からねずが覗き込んで言う。

「…三ツ揚羽蝶に黒い桜花ノ枝剣紋もあるな。」

若宮が腕に浮き出た花紋をみていった。

もなみの腕の黒い桜紋が
右腕からす‐っと消えていった。

「…ひとつ、消えた。」

彼は誰れ刻に紅葉色の舞風が吹く。

若宮は夕暮れの花荻野から
のびる影の方へとかけて行った。



それにしても、
花血蜜って、どうやって

手に入るんだろう…

妖たちには身寄りのない者が多い。

温かい家族や愛しい恋人がなくって、
人にちょっかいを出すうちに…

いつの間にか人に懐いて人の近くに
姿を現す者も多い。

だから、こういう〈花血蜜〉みたいな
怪しげなものをほしがる。

「…名帳簿〈ゆらめき〉にのった人の
御名が一人一人消えてゆくって話もあるよ。」

…妖たちが言う。


「…それって、どういうこと?」

「…さぁ。病気や事故で亡くなってるんじゃないの。」

「…そっか。」

「…カミかくしだね!」



若宮ともなみは街なかへdate♥しに出かける。  

すると、天狗の天ノ河がもなみに声をかける。

「…ほい、朝刊。」

新聞を手に取ると、見出しをみた。

「…二日前に茶屋の娘が姿をくらませたそうな。」

「…カミかくしかな。」

もなみが言う。

「…名帳簿〈ゆらめき〉で
御名がなくなった子の名前だ!」

影に隠れてついてきた妖たちが言う。

「…五十鈴って!」

「…いないね。」

「…レモンティーの氷。」

「…ふうん?」

お客さんの一人に携帯アクセで
チャラチャラならしてペッキー食べてた

金髪ヤンキーの学生がいて、話しかけてきた。

「…レモンティーの氷。」

「…どういうこと?」

「…御魂で見たってことさ。」

「…わかんないよ!」

「…精霊がみたってこと。」

もなみが少し慌てる!

「…みちゃダメってば!」

「…いきた証人がいるってことでしょ?」

「…そういうことさね。」

妖たちがざわつく。

「…どういうこと?」

妖たちが小さな体ででんぐり返る。

「…それってそういうことだ!」

「…そうだ!」「…そうだ!」

「…まぁ、また探してみたら?」



竜宮を抜けて、妖火のつき並ぶ
天神街の中華通りを、若宮ともなみと桜ノ宮は

三人、かけてゆく。

…どうして、こんなに胸が高鳴るんだろう。

宵月のかたぶくなか、

続く坂道をこえて、
入った小さなお店。

「…いいものあげる。」

木苺色の直衣のポケットから
取り出した…由良ゆら揺れる〈花血蜜〉。

「…これ。」

もなみが両手をだして〈花血蜜〉をもらう。

「…綺麗。」

…紅色の〈花血蜜〉なる血液の入った花紅小瓶。

「…〈花血蜜〉って、結うの。」

「…噂話の?」

桜ノ宮が口元を上げて、ふふっと笑う。

「…そう。」

「…〈花血蜜〉。」

「…どうやって手に入れたの?」

若宮が問いかける。

「…もらったよ。」

「…ほしかったのに!」

「…何に使うの?」

すると、若宮はもなみの手の中にある
〈花血蜜〉を、ぱっと手にとって

…怒ったように言う。

「…永遠の恋の証。」

ふん、と鼻が鳴る。

「…ふうん。」

もなみが相槌をうった。

「…〈花血蜜〉は、人魚の血を
一滴まぜてできるんだ。」

「…これが。」

「…そう。竜王との婚姻の証。」

桜ノ宮は続ける。

「…〈花血蜜〉は竜王一族の血を
受け継ぐ者で縁結びの霊力の宿るもの。」

「…つまり、君が
竜王一族の末裔ってこと。」

桜ノ宮がもなみの背中に手をおいた。


❀❀❀



…八重桜の並木道を通りながら、
桜恋宮楼へ行く。

…ひらひら舞い落ちる
桜花ははかノ花の花道を行くと…

赤い檜皮色に木彫りの
桜花ははかの唐文様に覆われた

五重の楼閣があった。


「…もなみ殿には、

この〈矢車菊の野〉の
花宴の席に来ていただきます。

橘殿の小さな結納の祝の席だったの
ですが、困っておいででしたので、

もなみ殿に来ていただいて、
橘殿もさぞ喜ばれるでありましょう。」



……                      ……
 …                      …

〈矢車菊の野〉


「…替え玉って、何すればいいの?」

もなみは桜恋宮楼で花宴の席に男装して潜り込む。

ティアラが召し使えた橘様の替え玉になって
祝いの席についた。

「…しばらく待ってて。」

…平家一族の火海が言う。

「…〈夢〉を買うって。」

「…夢?」

「…ど‐ゆうこと?」

「…替え玉ってこと。」

…優人が耳をそば立てて言う。

「…つまり、」

「…本人って、こと。」

…彦火が言う。

「…結婚って、こと?」

「…ど‐ゆ‐こと?!」

平家一族が三人とも声を揃えて言った。

「…そ‐ゆ‐こと。」

桜恋宮楼で話の中の通り、
平家一族ともなみは〈夢〉を買う。

「…まいどあり‐。」

「…〈夢〉って何?」

「…〈夢〉は、
妖のみせた幻のようなもの。」

「…結婚って、こと。」

「…幻なの??」

「…本物の結婚って、こと。」

「…つまり、そ‐ゆ‐こと。」

…妖たちが古銭を入れる。

「…結婚の〈夢〉をみる、ってこと?」

「…ふぅん。」

…もなみが不思議そうに頷く。

「…夢に百円は重いなぁ…。」

「…一円や十円でいいよ。」

「…もらいすぎだから。」

古代の天使様が言う。

古代の天使様は、歴史上の偉人とか
古墳時代の大君とかを言う。

「…一円や十円でやってけるの?」

「…やってけない。」

「…ど‐ゆ‐こと?」

「…つまり、」

「…一円で千万に化けるってこと。」

「…裏金ってこと?」

「…ちゃんと、
働いてるってこと。」

「…つまり、神様ってこと。」

「…お宮の古銭?」

「…普段使いの社ロって、こと。」

「…やってけない!」


❀❀❀


「…花血蜜 10 liter。」

「…突然、ど‐ゆ‐こと?」

「…違う人ってこと。」

…平家一族の優人が言う。

「…くぐつ人形で?」

「…同じ人ってこと?!」

…回りに囃し立てられて、

「…違うに決まってる!」

「…お金は?」

…もなみがイラっとして、言う。

「…神様って、こと。」

「…うそ!腹黒‐い!」

…妖たちが言った。

「…ど‐ゆ‐こと。」

「…同じ人って、こと。」

「…血液なのに?」

「…10 liter?!」

「…抜き取るの?!」

すると、平家一族が全員言った。

「…花の花弁を1枚とった、だけ。」

…桜想ふノ君が言った。

「…ど‐ゆ‐こと?」

もなみが眉をひそめて言った。

「…同じ人って、こと?」

「…桜は眠り姫が
持ってるって、こと。」

「…違う人なのに?」

「…そ。」

…心のなかでちがうって言う。

「…結婚って、こと?」

「…ど‐ゆ‐こと?!」

…もなみが嫌がって離れた。

…彼の手をすり抜けてゆく。

…どうしても、手に入れたくなる…。

…桜想ふノ君は
ごり押しするように言った。

「…すぐわかるでしょ?ね?」

…ぐいっと顔を前押しされる。

「…う、うん。」

…もなみが苦笑いする…。

「…口止め。」

「…えっ?」

…もなみが振り返る。

「…俺って、こと。」

「…素戔嗚尊。」

…桜想ふノ君がもなみの御魂にkissする。

「…稲田姫命なのに?」

「…そ。」

…妖たちがにこにこ笑いながら
手をたたいて嬉しそうに言った。

「…つまり、言い寄られたって、こと。」

…若宮を想い浮かべる…

「…じゃあ、
お宮で〈夢〉を買おうか。」

…古銭を入れて、〈夢〉を買う。

「…お断りする‐!」

…難しそうにもなみが言った。

「…捕まえる‐!」

…もなみが言う。

「…がしゃ‐ン!」

「…結婚する‐♥!」


❀❀❀


「…嘘!」

「…嘘つかないで!!!」

もなみが鈴(レイ)に叫ぶように言う。

「…嘘じゃないってば!」

「…やめて。」

「…好きだ!」

鈴が叫ぶように言う。

「…なんでッ!!!」

振り返って、彼の顔が見れなくなる。

「…なんだって、お前が悪いんだろ!」

「…鈴だって、そんなふ‐に
言わなくったって、いいじゃないッ。」

もなみに心に怒りがこみ上げてくる。

「…もう、知らないッ!」

「…待てよ。そんな言い方しなくていいだろ。」

鈴が右腕をつかんで、そう言った。

「…離して!」

もなみが手を離そうとして、暴れる。

「…ちょっと、だけだから!」

「…知らないってば!」

「…もう少し、待ってくれたっていいだろ!」

「…待てないってば!」

「…お前が好きなんだ!」

鈴が想いもかけず、告白する。

「…どうしてッ!!!」

振り向いて、涙目になる。

「…なにも言えなかったじゃない!」

…ついかっとなって、そう言ってしまって、
叱ってしまったことを後悔する。

「…ばか!」

「…ばかって、何よ!」

花和琴の隣においた花恋絵巻が
熱を持って、はらりと開いていった。

「…涙は私のものだから。」

「…なによ。」

…もなみの涙があふれてくる!

「…花恋絵巻を広げるぞ!」

…ねずがそう言うと、

…ぐすっと涙をふいて、
もなみが〈花恋絵巻〉を広げる。

花恋絵巻に土鬼やハエや虻が嵐になって
襲いかかってくるのを、絵で描いて封じ込めていく。

花夕雨が振り、〈花恋絵巻〉の文字が滲む。

「…妖たちが溢れてでてくるぞ!」

ハエや虻たちが絵巻物のなかで
若宮たちに歌になって舞いになって

退治されていくのを描き留めてゆく。

〈矢車菊の野〉の部屋から人がでてきて、
妖たちが声を上げる。

部屋の中の食べ物が一気に傷んだり、
廊下の桜花ははか乃花が枯れたりしていった。

「…花恋絵巻で閉じ込めて!」

「…できないってば!」

「…できるってば!」

…鈴が言った。

「…こう。」

鈴が花恋絵巻に墨で文字を描くと、
描いた絵が動いて、絵のなかで御符を舞いた。

「…そんなの分からないって、
ど‐ゆ‐神経?!」

「…そんなことないって!」

「…もう。」

…そんなこと言いたくないのに。

「…若花風草蝶。」

「…この書物を竜王一族の名において、
そう、名付ける。」

「…この花恋絵巻は若花風草蝶の名において、
封印する、とする。」

…もなみが夕雨と花涙でごちゃまぜになっていく。

…どんどん恋におちて、花恋絵巻になってゆく。

…若宮なんて、大嫌い…。

…なんて、言えないのに…。

「…もう大丈夫!」

もなみはから元気を振るい出す。

…まだ終わってないから…

途中、土鬼たちに邪魔されて、
〈花恋絵巻〉が手が震えて描けなくなってしまう!

「…そっちじゃない!こっち!こっち!」

…〈花恋絵巻〉をみた、もなみが言った。

「…私の御魂を描いて!」

妖たちがもなみの絵を描いていく。

「…返事。」

「…好きだ。」

二人が声を揃えて言う。

「…もう振り返らない!」

二人がつないだ手を握りしめた。


❀❀❀


「…うそ‐!体が動いていく!」

絵のなかで動いていた絵の魂が
はりついて、体が動いていく!

「…妖恋絵巻とかって、
絵で封じ込めると、閉じ込められると

魂がそこからでれないって噂だぜ!」

…幽花世の御魂の妖たちが言った。

「…描く人で話が動いていくってこと?」

「…そ‐なったら、危ないっしょ‐!」

平家一族がこっちに来ると、
急に冷や汗をたらしながら言った。

「…じゃあ、危ないんだ。」

「…そ!そ‐ゆ‐こと!」

目玉だけの妖や子どもの
妖怪が声を揃えて言った。

「…話の通りになるって、こと?」

もなみがこっそり聞いた。

「…その通りになったら、困るでしょ!」

若宮が頭をがしがしとかいて
荒っぽく言った。

「…とにかく、」

「…花恋絵巻は私が預かるから!」


❀❀❀


「…若宮!」

…ひらひら舞い咲る桜花ははか乃花が
二人を包んで、甘く香ってゆく。

…花風が吹いて、桜の花が舞い散った。


‐…若宮の魂のかけた、美しい鬼の面に口結ふ…‐

……                      ……
 …                      …

  「…愛する人を、決して忘れてはいけない…」


…もなみが花恋絵巻を広げると、
筆を取って物語を描いてゆく。

怪し気なくらい美しい桜花ははか乃野で
もなみは若宮の魂だけでここまできたことを

花恋絵巻に描いていった。


…花恋絵巻のなかに、ゆく…

…もなみは吸い込まれるように
花恋絵巻へと入っていった…。


❀❀❀


「…魂を食らうてやったわ。」

「…若宮!」

…もなみがかけよる。

「…息、してない!」

「…魂が壊れたんだよ。」

…妖たちが言う。

「…器だけだよ。」

「…魂だけじゃ、だめだ!」

…また涙が溢れてくる。

…桜木霊たちが声を掛け合い、
花山の谷間からひそひそと

妖たちの話が聞こえてくる。

「…くるって。」

…ひそひそ…

「…あいつが、いい。」

…ひそひそ…

…木々が唸り、ゆらりと揺らいだ
桜花ははか乃花の舞う花ノ渦から

四季の折り目を乗り越えて、
花茨ノ君がやって来る。

…黒い正装した姿が印象的だった。

「…誰?」

「…鬼。私は鬼神(おにがみ)。」

「…そなたの御魂を食らうもの。」

「…なによ!」

…若宮が眠ってしまったのは、
鬼のその人が原因だったのをもなみは

直感的に知った。

…さからってはいけない…そう思った。

「…彼女にふれては、いけない。」

「…誰もさわったりしないよ。」

…妖たちがイライラしたように言った。

「…くぐつは甘くておいしいって言うぞ!」

ぼっこが何かを考えるように
膝に手をおくと、花茨ノ君に言った。

…男は星屑の瞬きを数える占いから、
未来がみえる目を持つ…。

「…男が食われる。」

「…ちゃんと守れるか。」

…妖たちが言った。

「…食わせろ!」

「…彼女に、ふれてはいけない。」

もなみの肩に手をおき、
後ろから抱きしめてそう言った。

「…あっ!」

…ざぁっと、花颯が揺れる。

「…決して、忘れてはいけない…」

すると、風のような速さで近寄ると、
花茨ノ君が肚を食らおうと手を出した。

…食われる!

もなみは頭を抱えて、
しゃがみ込むと、そこに稲妻が落ちた。


❀❀❀


…そこまで筆を取ると、若宮が
花恋絵巻をばさばさ逆しにかやして

振りかざした。

もなみが花恋物語のなかから
でてきて、桜花ははか乃野に戻る。

「…いて!」

ずでっと、滑って花恋絵巻から
若宮やもなみが抜け出てくる。

…時間よ、止まれ‐!…

…花恋絵巻から出ていくと、
平家一族が〈常世〉まで来ていた。

「…どしたの?」

「…もなみが危ない!」

…ねずが言った。

「…若宮が器だけって!」

後から来た平家一族が話を聞く。

「…じゃあ、
魂はもなみで器が若宮って?!」

「…あいたたた。」

平家一族の彦火が頭に手をおく。

「…若宮が魂が抜け出てるけど
ほんとは生きて眠ってるって。」

…もなみが言った。

「…大丈夫かなぁ。」

…優人が言う。

「…大丈夫。眠ってる。」

…若宮の頬に手をおいて、火海が言った。




「…これをお持ちになると良いでしょう。」

「…鳳凰の火衣を、添えましょう。」




開いたままの花恋絵巻から
吸い込むように花嵐がおきて、

…土鬼が若宮に襲いかかってくる!

花恋絵巻のなかにバッグを持って
入ると、綺麗な花絵が動いて鈴が土鬼を

退治しているのがみえた。

「…若宮!」

「…若宮!大丈夫?」

もなみが身を乗り出して若宮に近寄る。

「…来てはいけない!」

大きな鬼が花恋絵巻のなかに写っている!

若宮が御符をはりつけると、
鬼は怒ったように手を振り回してきて、

その姿を変えてゆく。

「…ギィィィ!」

もなみは若宮にいるのが、桜花ははかノ枝剣だって
思って、その一と振りを持ってきた。

「…若宮!これ!」

若宮が桜の花を受け取ると、
桜花ははかノ枝剣の舞を舞う。

…桜花ははかノ枝剣を一と振りするだけで、
桜花ははかノ花が千の花になってちって、

一と振りするだけで、千里桜の花の野になる。

…土鬼が土になって、消えてゆく。

「…鬼の最後を、みてはいけない!」

土に変えている鬼がまだ土の中で
蠢いていて、鎌首を擡げて襲いかかってきた!

もなみは若宮に鳳凰の火衣を投げうつと、
火衣の回りに火がついて、鬼の首が若宮のそれをそれた。

「…危ない!」

…鬼が最後にもなみの腸を食い破って
こようとするのを、変わって、

若宮めがけてぶつかってきた!

…若宮の腸が食い破られる!!

若宮は人差し指と中指を二本立てて、
呪いを唱えると、腹に力を込めて、土鬼を払った。

若宮の腹から血がぼたぼた落ちてくる。

「…若宮!…若宮!」

…溢れた血と涙が止まらなくなる。

「…どうしよう!若宮が死んじゃう!」

「…急いで。安静にして。」

…平家一族が止血していく。

「…大丈夫?」

…肚を食い破られた…

…血だらけになった若宮が
ゆっくりと体を桜花ははか乃野に倒した。

…金臭い匂いが血を拭った草花にしみた。




…魂が稲田姫命で器が素戔嗚尊…

…二人の御魂が一つになる…。

…もなみはバッグのなかの花淡香楼と
ポテトチップスと花百合の球根と

花夕玉と夜宵ノ玉を逆しにひっくり返した。

「…まずは、くぐつをこねる…。」

…桃色のマジパンみたいなくぐつ人形を
手でこねて、二十代前半の男の人の姿を作る。

そのくぐつ人形を若宮の体のなかに入れる。

手でこねたくぐつ人形に花土と金砂と
花おかげ(霊花)と桜花ははか乃花の香薬を

まぜた薄紅色の花淡香楼をくぐつ人形に
ぎっしり詰めて、そのくぐつ人形に詰まった

たくさんの花淡香楼の花土のなかに
花桔梗の球根を植える。

妖たちがポテトチップスをばりばり食べて、
ぽろぽろ落としてゆく。

…球根から芽が出てきて、花が咲く。

若宮のくぐつ人形から桔梗の花が咲き乱れる。

そして、
くぐつ人形の回りが桔梗の花の野になった。

…ふわっと香楼から香った甘い匂いがする。

…咲いた桔梗の花を摘んで、

その花の一つを手にとって、
花びらから甘い恋蜜をおとして、

若宮の唇を濡らす。

…若宮が美しい鬼に変わる。

くぐつ人形の腹に花夕玉と夜宵ノ玉の
二つの玉をおいて、呪文を唱える。

  …花くぐつ 唐唇に
 結すふるは 枝垂れる藤に

   刻分かつかも…

…死人(まかりしひと)も生き返らむ…

‐…鬼の魂のかけた、美しい若宮に口結ふ…‐

……                     ……
 …                     …

…桃色の花びらが二人を包んで、
花嵐が野に舞い込む。

野が絵の具で染色に滲むように
霊花イ〈レイカイ〉が歪んで、

花恋絵巻から〈常世〉までtimeslipした…。


…若宮が、千年の眠りからさめる…



「…竜と橘殿が結婚するんだって。」


「…王女はデンマークへ帰りました、とさ。」

ついてきた妖平家が、
絵本を手にとってそう言った。

「…これがお話のもう一つの物語。」

「…王女は?」

「…絵本のなかに帰ったよ。」

「…どゆこと?」

「…掬矢名タ姫ノゐ琴って、こと。」

「…眠り姫ッ?!」

「…そう。」

…花茨ノ君が嫌そうに笑った。

「…いるよ。」

「…もなみ‐!」

…手を振りながら王女が野にやって来た。

「…こっち!こっち‐!」

…もなみが返事をする。

…花茨ノ君がすっと前に出て、
王女に恭しく挨拶する。

「…私は、稲田姫命。」

「…あなたは?」

「…私は、瓊瓊杵尊。」

「…若宮は?」

「…俺?俺は、素戔嗚尊。」

「…闇の縁結び。」

もなみが俯いて憂鬱そうに言った。

…花恋絵巻を読むと分かる…。

花茨ノ君は
それで、犠牲になった人なんだ。

…そして、くぐつに閉じ込めた…。

「…どうしても結婚したかった。」

…花茨ノ君が言った。

「…それは、俺ってこと。」

「…縁結び。」

…もなみが茨の手を握って言った。

「…君を、守りたかった。」

「…同じ私だった?」

「…あなたの魂だったの。」

…王女が言った。

「…そう。会えて良かった。」

…もなみが嬉しそうに言う。

「…うん。…ほんとに感謝してる。」

若宮がもなみの手を取り、願った。

「…もなみ、結婚しよう。」

…若宮が抱きしめる。

「…そんなに、何度も?」

「…そう。何度も。」

「…分け御魂だから、そう?」

「…そう。魂は何度もそのときのことを
想い出して、叶えないといけないんだ。」

「…そっか。」

「…もなみ、ありがとう。」

「…若宮!」

「…大好き!」

…それを恋火野と、結う…。



…今日は母親のいない日。

…母親にお店の鍵をとられてから、
自由に出入りできなくて夜中にお店に

集まって妖たちと密会できなくなって1ヶ月たつ。

1ヶ月前には、結婚指輪をbedの上で
プロポーズと一緖にもらって、

愛してることと好きってことと
結婚してほしいってことの3つを

こんこんと説き伏せられた。

…閉店後の誰もいないあノ世の喫茶店で鈴は
1ヶ月前にプロポーズしたときのことを想い出す…。

…本当に、僕なんかでいいの??…

…うんッ♥…て、もなみが頷いて

…でも、

…一生飯食わせてあげるけん、俺んとこ来いッ♥!…

なんて、鈴が想うだろうって、は

…鈴だけだからだよ♥…

って、私はずっと想うから…

…ずっと傍にいるから、
永遠に僕のこと好きでいて…って、

結ってくれたら、それは
…ぎュう…って抱きしめて

「…大好きだよッ♥!」

…って、それが答えだからッ♥

邪レゐに襲われて、邪魔が入ったりとか♥

なんて、いろんなことあったねッ♥!

…いなくなったら体が軽くなって、淋しいな…とか、
人肌淋しくなって、ここ寒いな…とか

これからのことは、1年くらいでゆっくりと約束して♥

朝早くに、こっそり家に帰る。

二藍に淡桃のチューリップ模様の
直衣(なおゐ)に着替えて、

二人で朝帰り。…行き道を手をつないで歩く…。

また、歩いて5分のところの家に
一度帰って、またお店に行くと、誰もいないお店の隅で

彼が頭を撫でて抱きしめてくれる。

とても…幸せだった…♥


チューリップカラーのリップを塗って
これが鈴の唇につくと、

なんて想ううちに、彼からの甘いkissが届いた♥

…鈴が月花色の青いチューリップを
渡して、甘くて優しいkiss♥をする…。

…この想ゐ出の1PAGEを、月花藍鈴草
(つきはならんりんそう)と、結う…。