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…鬼ノ城のなかにある
鬼ノ爪の跡まで冒険に行こう…
「…約束。」
…若宮が言う。
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…鬼ノ爪跡に行くまでの間の待ち合わせ…。
…1本の桜木が見える…
若宮が宮中をでて、牛車に乗って、
呉竹橋を渡り、玉の緒道を通って、
ゐてふの木立を通り、躑躅ヶ丘を抜けて、
伊予橋を横目に鵜飼のいる袖振り川を行き、
しばらくすると、一ノ宮森に囲まれた
鬼ノ城につく。
途中、鬼ノ城のなかにある
鬼ノ爪跡までへの道のりで、
若宮はもなみに会うと約束した。
小さな石の灯ロウと祠と桜木がある
千股で若宮は牛車から降り、もなみを待った。
…由良ゆら揺れる、
…秋に咲く…
…桜ノ花が花野道に舞ふ…
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‐…空花世(うつしよ)…‐
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古びたお店から歩いて15分の
唐揚げ屋さんに鈴と二人で歩いていた。
花水木の並木道で
てくてく歩いてた
もなみに鈴は依っていた。
もなみは駅のコルネで買った
ブルーの梅の花のポップな
デザインのイヤリングをつけて、
二藍に淡桃のチューリップの
ワンピースを着ていた。
ルネ・アンドの
マットなカラーのリップな
ベリーチークと
ティンプな花紅色のリップをつけて、
玲斗とdate♥してた。
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若宮は待っている間、桜木に登って、
桜花ははか乃花を摘んでいた。
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若宮は、桜模様に若紫色の直衣を着ていた。
もなみが反対側の菜花の咲道から
歩いてやってきて、桜ノ花の下で待つ。
このとき、
桃色の桃ノ花の袖がしぼりで彩られた
若宮からもらった直衣を着ていた。
上からゆらゆら、ゆらゆらと
桜花ははか乃花が揺れおちる。
はらはら舞いおちる桜ノ花を
もなみは見上げると、
木の上の若宮と目が合った。
「…若宮!」
…あっ…
…若紫色に桜模様の直衣かぁ…
…お揃いで示し合わせたら良かったかなぁ…
「…なんで言ってくれなかったの‐!」
…もなみの声が森に木霊する。
「…し‐…。」
若宮が桜花ははか乃花をはらりと
手の平からおとしてもなみの上に降らせた。
若宮がふわっと桜花ははか乃木から
飛び降りてそのままもなみを抱きしめた。
上から飛び降りて来た若宮を
下で抱き留めてもなみが目を瞬く。
桜模様の直衣が桜花ははか乃花に揺らめく。
「…若宮!」
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「…鈴(レイ)!」
結んだ指先から絡めた
甘い声で鈴が歌を歌う。
…それを聞いて、
「…音楽なに聞く‐ッ♥??」
って、もなみが鈴に話かけて
もなみの胸がドキドキ♥
「…SEASOWの大正ロマン♥」
鈴のイヤホンから
シャカシャカ音楽が流れ出てくる。
「…ふ‐ん、そうなんだ ♬ 」
「…私は、大塚恋のチューリップ♥」
…チューリップ ♬ って歌って
指をハートマークに曲げて二人で
重ねたら、街なかでバカップルって♥わら
左手で上のほうにハートマーク作って
彼の消えた右手でハートマーク♥
携帯のカメラでツーショットをパチリ!
らぶらぶバケーション♥!わら
伸ばした片手だけが残ってた♥!
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「…若宮!」
…若宮がそっと抱きしめる…
…重なった直衣が
桜花ははか乃花を綾どる…
若宮の腕の中でもなみが動く。
…あっ…
「…良いこと想いついた!」
「…若宮、ちょっと待ってて。」
もなみが若宮の腕の中から
抜け出して、牛車まで行く。
牛車に飛び乗ると、
水干姿の童に声をかけて、
牛車のなかにあった
十二単衣の若宮とお揃いの
桜模様に若紫色の羽織を
着て牛車を出た。
そのまま桜花ははか乃木の待ち合わせの
ところまで来て、こう言った。
「…お揃い‐!」
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ちぐはぐに合わなかった二人の直衣(なおゐ)
の袖をふわっとしたリボンに結んで
ポップなデザインのドットの入った
私の着てたブルーのパーカーを鈴が羽織って
消えたお揃いのブルーのパーカーを
もなみにふわっとかけてくれた♥
鈴の隣にいて一緒に唐揚げカリカリ♥
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花袖をピンと両手で張って、
くるっと回ると…
若紫色の羽織がはらりと桜木に揺れる。
すると、若宮が待っている間、
使いの者に言ったのか、若宮は
桃色の桃ノ花のしぼりのつく
羽織を羽織っていた。
「…あっ!」
…桜花ははか乃花が
ざぁっと花風に揺れる…
…お揃い、じゃなかった…
…でも、お揃い…
「…同じこと考えてたんだっ♥!」
若宮が桜模様の若紫色の直衣をきて、
示し合わせたら良かったのに…
もなみが桃の花色の直衣を着てくると、
しばらくして、着替えてきた
羽織は二人、入れ替わった
若宮は桃の花のしぼりの羽織を…
もなみは桜模様に若紫色の羽織を…
きて、ばったり違った…。
…二人、抱きしめる…
…桜花ははか乃木のふもとで
若宮の護符がはらりと切れて落ちた…。



