…鬼ノ城…
…バンッ!
「…眠りにつけるわけないじゃない!」
「…千年なんて、あっという間だったわ!」
王女が部屋にドレスをパタパタと
運びながら言った。
今日のドレスは黒の無地の肩と袖フリルに黒い
チューリップのミントグリーンの地のショートドレスに
下にルリルリのフリルに
金糸の花柄のオレンジの
ショートフレアスカートだった。
イヤリングもブレスレットも
ふわふわの毛糸を編んででてきた
ミニのお化けの人形が南瓜のランタンと
一緒に飾られたもので、
ティアラは、南瓜のランタンとお化けのお城の
イメージでてきたものをつけていた。
靴はベリーレッドカラーの
皮の編み上げの膝までの厚底ロングブーツだった。
「…眠らないといけなかった。」
黒い樫の木の太い扉を開けて、
黒の正装をした花茨ノ君が廊下を歩いてゆく。
黒塗りのシックでシンプルな
デザインの鬼ノ城は、板チョコみたいな印象だった。
「…文書は?」
「…届いています。」
…蝶ネクタイをした兎の使い魔が言う。
文書を差し出して、彼から印鑑をもらった。
小さな子どもの玩具でできた
スティック印鑑を押す。
彼が書類の山をゴシック調のデスクに
どん!っと置くと、印鑑をダンッ!と押した。
「…他には?」
「…私の文書が、ない!」
ハロウィンが近いからか魔女に扮した
5才くらいの子どものお使いが小さな体に
背伸びして、デスクに文書を置いてゆく。
魔女の帽子を目もとまで、すぽんと被って、
チョコレートホリックがポケットから落ちた。
「…私のも‐!」
「…僕のも‐!」
3才と2才の男の子と女の子が、
カボチャのランタンを持った
ドラキュラにホネホネボーンの
黒い模様の入ったお化けの被り物をした
姿でやってきた。
小さな天使がドクロの中に顔を
突っ込んで、カタカタとドクロの
骨を言わせて「…僕‐!」と、言って笑っていた。
スーツ姿の執事さんがハロウィンの
お城の飾りつけをしていて、
mellowの生き血入り荔枝酒を入れていた。
「…はい。荔枝酒。」
ミイラ男が荔枝酒を机の上に置くと、
彼はドクログラスを片手に、赤いビロードの
皮の貼った椅子に座って酒を煽った。
赤い血の味のする紅色に
小さな白いお花の咲いた荔枝酒は、
彼が口に運ぶと、コクっと喉を鳴らした。
「…毒入り。」
紫と黒のカプセル状の薬を荔枝酒に
まぜて、王女が飲ませようとすると…
彼がパチン!と指を鳴らして、
白と水色のミルクジャムカプセルに
ミラクルチェンジして飲んだ。
「…あのぅ。」
「…だめだ。」
…南瓜を彫り抜く悪魔たちが
チィっと声を立てる。
「…私の気持ち、考えてないじゃない!」
「…ちゃんと、俺の気持ちも考えて。」
…王女がもぐっと口をふさぎ込む。
…王女の桃頬がほってりと赤くなった。
…彼女の顎をツイッと指で持ち上げて、
じっと顔を見つめた。
…きっと目を見返すと、手をバシッと
音を立てて、はっきり言った。
「…その前に、
彼のもとへと返して!」
「…嫌だ。」
…さらっと、その手をかわして
くるっと後ろを向いて黙り込んだ。
デスクの横に立つと、黒とふわふわレースの
ハロウィン仕立てのカーテンに陽の光が
きらきら眩しい。
…鬼は、陽の光を嫌う…
そして、西洋の鬼は、ドラキュラ。
…コウモリが空を飛ぶ。
‐…彼女の生き血がほしい…‐
「…ちょっと、困るんだけど!」
そういうと、彼が
「…なに。」
と言って、
だん!と壁に手をついて
顔を近づけると、こう言った。
「…逆らわないで。」
立ったまま交互に足を絡められて、
kissをされそうになる。
顔を背けると、突然、
尾花がくるりんっと白い煙と共に
でてきて、
「…ごめ‐ん、ってば‐!」
って返事をした。
はらっと護符が切れて、
二人が離れた。
甘い痺れと余韻が残る空気を
味わって、彼が声を震わせる。
「…しばらく、落ち込んでて。」
「…契約。」
「…いたっ。」
彼が切った指から滴った彼女の
生き血を飲むと、花の香りのような
想い出を食べた、優しく愛しい味がした。
「…チョコレートマカロングラタンを用意して。」
「…分かりました。」
執事さんが仰せのままに準備していた。
秋のかぼちゃスープの香りが
キッチンから届いて、lunchの時間に
メイドから声がかかった。
「…お昼の用意ができました。」
…… ……
… …
…バンッ!
「…眠りにつけるわけないじゃない!」
「…千年なんて、あっという間だったわ!」
王女が部屋にドレスをパタパタと
運びながら言った。
今日のドレスは黒の無地の肩と袖フリルに黒い
チューリップのミントグリーンの地のショートドレスに
下にルリルリのフリルに
金糸の花柄のオレンジの
ショートフレアスカートだった。
イヤリングもブレスレットも
ふわふわの毛糸を編んででてきた
ミニのお化けの人形が南瓜のランタンと
一緒に飾られたもので、
ティアラは、南瓜のランタンとお化けのお城の
イメージでてきたものをつけていた。
靴はベリーレッドカラーの
皮の編み上げの膝までの厚底ロングブーツだった。
「…眠らないといけなかった。」
黒い樫の木の太い扉を開けて、
黒の正装をした花茨ノ君が廊下を歩いてゆく。
黒塗りのシックでシンプルな
デザインの鬼ノ城は、板チョコみたいな印象だった。
「…文書は?」
「…届いています。」
…蝶ネクタイをした兎の使い魔が言う。
文書を差し出して、彼から印鑑をもらった。
小さな子どもの玩具でできた
スティック印鑑を押す。
彼が書類の山をゴシック調のデスクに
どん!っと置くと、印鑑をダンッ!と押した。
「…他には?」
「…私の文書が、ない!」
ハロウィンが近いからか魔女に扮した
5才くらいの子どものお使いが小さな体に
背伸びして、デスクに文書を置いてゆく。
魔女の帽子を目もとまで、すぽんと被って、
チョコレートホリックがポケットから落ちた。
「…私のも‐!」
「…僕のも‐!」
3才と2才の男の子と女の子が、
カボチャのランタンを持った
ドラキュラにホネホネボーンの
黒い模様の入ったお化けの被り物をした
姿でやってきた。
小さな天使がドクロの中に顔を
突っ込んで、カタカタとドクロの
骨を言わせて「…僕‐!」と、言って笑っていた。
スーツ姿の執事さんがハロウィンの
お城の飾りつけをしていて、
mellowの生き血入り荔枝酒を入れていた。
「…はい。荔枝酒。」
ミイラ男が荔枝酒を机の上に置くと、
彼はドクログラスを片手に、赤いビロードの
皮の貼った椅子に座って酒を煽った。
赤い血の味のする紅色に
小さな白いお花の咲いた荔枝酒は、
彼が口に運ぶと、コクっと喉を鳴らした。
「…毒入り。」
紫と黒のカプセル状の薬を荔枝酒に
まぜて、王女が飲ませようとすると…
彼がパチン!と指を鳴らして、
白と水色のミルクジャムカプセルに
ミラクルチェンジして飲んだ。
「…あのぅ。」
「…だめだ。」
…南瓜を彫り抜く悪魔たちが
チィっと声を立てる。
「…私の気持ち、考えてないじゃない!」
「…ちゃんと、俺の気持ちも考えて。」
…王女がもぐっと口をふさぎ込む。
…王女の桃頬がほってりと赤くなった。
…彼女の顎をツイッと指で持ち上げて、
じっと顔を見つめた。
…きっと目を見返すと、手をバシッと
音を立てて、はっきり言った。
「…その前に、
彼のもとへと返して!」
「…嫌だ。」
…さらっと、その手をかわして
くるっと後ろを向いて黙り込んだ。
デスクの横に立つと、黒とふわふわレースの
ハロウィン仕立てのカーテンに陽の光が
きらきら眩しい。
…鬼は、陽の光を嫌う…
そして、西洋の鬼は、ドラキュラ。
…コウモリが空を飛ぶ。
‐…彼女の生き血がほしい…‐
「…ちょっと、困るんだけど!」
そういうと、彼が
「…なに。」
と言って、
だん!と壁に手をついて
顔を近づけると、こう言った。
「…逆らわないで。」
立ったまま交互に足を絡められて、
kissをされそうになる。
顔を背けると、突然、
尾花がくるりんっと白い煙と共に
でてきて、
「…ごめ‐ん、ってば‐!」
って返事をした。
はらっと護符が切れて、
二人が離れた。
甘い痺れと余韻が残る空気を
味わって、彼が声を震わせる。
「…しばらく、落ち込んでて。」
「…契約。」
「…いたっ。」
彼が切った指から滴った彼女の
生き血を飲むと、花の香りのような
想い出を食べた、優しく愛しい味がした。
「…チョコレートマカロングラタンを用意して。」
「…分かりました。」
執事さんが仰せのままに準備していた。
秋のかぼちゃスープの香りが
キッチンから届いて、lunchの時間に
メイドから声がかかった。
「…お昼の用意ができました。」
…… ……
… …


