‐…夢輝星に瞬く、夜半の月夜のかげる日に、
一刻ゝ月がかげるごとに一つずつ桜花ははかの実がなる…‐
月の雫の垂れる夜、桜花ははかの実を摘む。
そして、その桜花ははかの枝からとれる…
甘い花蜜を小瓶に入れ、その実を浸す。
人差し指を花の懐剣で切って、
人魚の血を一滴垂らすと、〈花血蜜〉なる秘薬ができる。
‐…その〈花血蜜〉を飲むと、永遠の恋が叶うという…‐
…… ……
… …
…Denmark…
…Copenhagen…
〈Tivoli〉
…刻はかねて、12月24日。
…今日は、クリスマスイヴ。
…サンタクロースの雪降る夜…
…初雪の降るこの街にイルミネーションの光が輝く…。
…白や赤や緑に飾られた星屑の瞬くこの夜にゆく…
クリスマスマーケットが楽しげな笑い声のなかに揺れる。
厚手のコートにイチゴにchocolate dipを食べて。
chocolate stickの入ったhot cocoaにviscuitを添えて。
…カチ。カチ。カチ。 …桜天秤の重りが揺れる…。
…時空をこえた、渦をまいた花ノ疾風刻…
大気の壁に穴があいて、花の渦がとけた
御魂の霊花イ〈レイカイ〉になったもの…が
桜天秤とともに、揺れる。
金のイルミネーションのガーラントのなか、
ゲートが開く。真夜中の遊園地…。
ウェディングドレスを着て、幽体になった
妖たちと一緒に、メリーゴーランドに乗る。
コーヒーカップに乗って、
くるくるテーブルの上を回る。
後は、街中見下ろせる観覧車!
キラキラ光るイルミネーションに揺れる
街と観覧車はとても綺麗だった。
…ボーン。…ボーン。…ボーン。
……午前0時。
…振り子時計の鐘が鳴る。
「…結婚おめでとう!」
…チボリ公園の教会のミサ。
教会のなかにぽっくり浮かんだ花海に
幾千の魚たちの妖精の群れが人魚の歌声と共に祝福する。
星のクルクルキャンディ棒のstickを持った
天使様たちが空を飛んで、カゴに入れた花束を
ふわ…っと花嫁にかけながら喜びの声をかけた。
正装した牧師が教典を手に教壇に立つ。
パイプオルガンの音が響く。
「汝、病めるときも健やかなるときも、富めるときも、
貧しきときも、互いに愛し、敬い、支え合うことを誓いますか」
竜王と王女は二人とも手を取り、誓い合う。
「はい、誓います。」
ケラケラ(一つ目小僧のお化け)や
ケセランパサラン(鼓草の小人のお化け)などの
妖たちが声を上げる。
竜王は言った。
「…結婚してほしい。」
栗色の腰まであるふわふわパーマのロングヘアの
王女は、美しい面顔と大きな瞳を振るわせて願った。
「…この結婚がいつまでも叶いますように。」
Frouxのサクラコフレをエンゲージリングの代わりに
…そっと彼女の目の前に渡して、竜王は、その草薙ノ剣に
…星や花やハート柄のダイヤモンドやビジューを
霊剣に埋め込んで飾った細長いスティック状の六角形の
クリスタルの形をした霊剣…に、
…誓いを立てる。
「…竜王一族の名において…。」
ゆるふわパーマの茶髪に頬に無数の三ツほくろ、
蘇芳色の直衣を着た竜王は、その美しい横顔をみせて言った。
…竜王はス咲乃オ乃ゐ琴、
王女は掬矢名タ姫乃ゐ琴、と呼ばれていた。
胸元から肩にかけてクロスしたチュールが
花々を飾る腰元のリボンが華やかな夢色の
チュールドレスを着た王女が両手を握って祈りを込める。
白金の果物を形どった宝石でできたtiaraに白いレースの
チュールのベールをふわ…っと上げて、彼女は誓いの
…kissをする…。
…竜王と王女は二人甘いkissをする…
頬を伝う涙が宝石となって、ポロポロと床にちらばった。
…たくさんの人たちに愛されて、
たくさんの妖たちに囲まれて、
お祝いの声と花畑とライスシャワーに
包まれて、二人バージンロードをかけてゆく…。
…バンッ!
…突然、教会のドアが開く。
黒いシャツに黒いスーツ、
癖のある黒髪に香水の香りのする
彼が、
…二人の目の前に立ちはだかる。
「…どうしても叶えたい、ものがある…。」
…ぼっこ(子どもの妖怪)たちがやんや言う。
「…お前、そうだろ!」
「…ちがわい!」
…片手をドアの横において倒れかかる
ようにして花嫁に話しかける。
「…私の嫁になってほしい。」
「…え?」
土でできたくぐつ人形が鬼にかわって、
二人の周りを取り囲む。
すると、
王女の前に天秤を持った、老婆の魔法使いが現れた。
妖おこじょが天秤に乗っている。
「…この天秤を揺らして!」
「…天秤?」
…老婆が声を張り上げると、
王女は天秤を揺らして、夢の重りをのせたら
眠りについてしまった…
‐…千年の眠りにつく…‐
「…この呪いは、千年は続くだろう。
それまで長い間王女は、眠り続けるだろう…。」
魔女が高笑いして、教会をでていく。
…竜王が手を伸ばす。
土鬼がそれをかわして、彼が腰をついた。
…ドスン!
竜王の腹に拳が届く。
竜王の意識が遠のいた…。
黒服の彼が王女を横抱きにすると、
…ガッシャーンッ!
ステンドグラスの窓を割って、
光の欠片の舞う粉雪の降るtivoliのなかを
サンタクロースのそりに乗って
土鬼とともに去ってゆく…。
ガラスの飛び散った教会のなかで
舞い込んだ雪風と共にロウ束の光が
…ふっとかき消えた。
…… ……
… …
…カチ。カチ。カチ。カチ。…カチリ。
…白金の天秤の重りが揺れ止まる。
‐…千年の刻をこえて、花恋絵巻が幕を開ける!…‐
一刻ゝ月がかげるごとに一つずつ桜花ははかの実がなる…‐
月の雫の垂れる夜、桜花ははかの実を摘む。
そして、その桜花ははかの枝からとれる…
甘い花蜜を小瓶に入れ、その実を浸す。
人差し指を花の懐剣で切って、
人魚の血を一滴垂らすと、〈花血蜜〉なる秘薬ができる。
‐…その〈花血蜜〉を飲むと、永遠の恋が叶うという…‐
…… ……
… …
…Denmark…
…Copenhagen…
〈Tivoli〉
…刻はかねて、12月24日。
…今日は、クリスマスイヴ。
…サンタクロースの雪降る夜…
…初雪の降るこの街にイルミネーションの光が輝く…。
…白や赤や緑に飾られた星屑の瞬くこの夜にゆく…
クリスマスマーケットが楽しげな笑い声のなかに揺れる。
厚手のコートにイチゴにchocolate dipを食べて。
chocolate stickの入ったhot cocoaにviscuitを添えて。
…カチ。カチ。カチ。 …桜天秤の重りが揺れる…。
…時空をこえた、渦をまいた花ノ疾風刻…
大気の壁に穴があいて、花の渦がとけた
御魂の霊花イ〈レイカイ〉になったもの…が
桜天秤とともに、揺れる。
金のイルミネーションのガーラントのなか、
ゲートが開く。真夜中の遊園地…。
ウェディングドレスを着て、幽体になった
妖たちと一緒に、メリーゴーランドに乗る。
コーヒーカップに乗って、
くるくるテーブルの上を回る。
後は、街中見下ろせる観覧車!
キラキラ光るイルミネーションに揺れる
街と観覧車はとても綺麗だった。
…ボーン。…ボーン。…ボーン。
……午前0時。
…振り子時計の鐘が鳴る。
「…結婚おめでとう!」
…チボリ公園の教会のミサ。
教会のなかにぽっくり浮かんだ花海に
幾千の魚たちの妖精の群れが人魚の歌声と共に祝福する。
星のクルクルキャンディ棒のstickを持った
天使様たちが空を飛んで、カゴに入れた花束を
ふわ…っと花嫁にかけながら喜びの声をかけた。
正装した牧師が教典を手に教壇に立つ。
パイプオルガンの音が響く。
「汝、病めるときも健やかなるときも、富めるときも、
貧しきときも、互いに愛し、敬い、支え合うことを誓いますか」
竜王と王女は二人とも手を取り、誓い合う。
「はい、誓います。」
ケラケラ(一つ目小僧のお化け)や
ケセランパサラン(鼓草の小人のお化け)などの
妖たちが声を上げる。
竜王は言った。
「…結婚してほしい。」
栗色の腰まであるふわふわパーマのロングヘアの
王女は、美しい面顔と大きな瞳を振るわせて願った。
「…この結婚がいつまでも叶いますように。」
Frouxのサクラコフレをエンゲージリングの代わりに
…そっと彼女の目の前に渡して、竜王は、その草薙ノ剣に
…星や花やハート柄のダイヤモンドやビジューを
霊剣に埋め込んで飾った細長いスティック状の六角形の
クリスタルの形をした霊剣…に、
…誓いを立てる。
「…竜王一族の名において…。」
ゆるふわパーマの茶髪に頬に無数の三ツほくろ、
蘇芳色の直衣を着た竜王は、その美しい横顔をみせて言った。
…竜王はス咲乃オ乃ゐ琴、
王女は掬矢名タ姫乃ゐ琴、と呼ばれていた。
胸元から肩にかけてクロスしたチュールが
花々を飾る腰元のリボンが華やかな夢色の
チュールドレスを着た王女が両手を握って祈りを込める。
白金の果物を形どった宝石でできたtiaraに白いレースの
チュールのベールをふわ…っと上げて、彼女は誓いの
…kissをする…。
…竜王と王女は二人甘いkissをする…
頬を伝う涙が宝石となって、ポロポロと床にちらばった。
…たくさんの人たちに愛されて、
たくさんの妖たちに囲まれて、
お祝いの声と花畑とライスシャワーに
包まれて、二人バージンロードをかけてゆく…。
…バンッ!
…突然、教会のドアが開く。
黒いシャツに黒いスーツ、
癖のある黒髪に香水の香りのする
彼が、
…二人の目の前に立ちはだかる。
「…どうしても叶えたい、ものがある…。」
…ぼっこ(子どもの妖怪)たちがやんや言う。
「…お前、そうだろ!」
「…ちがわい!」
…片手をドアの横において倒れかかる
ようにして花嫁に話しかける。
「…私の嫁になってほしい。」
「…え?」
土でできたくぐつ人形が鬼にかわって、
二人の周りを取り囲む。
すると、
王女の前に天秤を持った、老婆の魔法使いが現れた。
妖おこじょが天秤に乗っている。
「…この天秤を揺らして!」
「…天秤?」
…老婆が声を張り上げると、
王女は天秤を揺らして、夢の重りをのせたら
眠りについてしまった…
‐…千年の眠りにつく…‐
「…この呪いは、千年は続くだろう。
それまで長い間王女は、眠り続けるだろう…。」
魔女が高笑いして、教会をでていく。
…竜王が手を伸ばす。
土鬼がそれをかわして、彼が腰をついた。
…ドスン!
竜王の腹に拳が届く。
竜王の意識が遠のいた…。
黒服の彼が王女を横抱きにすると、
…ガッシャーンッ!
ステンドグラスの窓を割って、
光の欠片の舞う粉雪の降るtivoliのなかを
サンタクロースのそりに乗って
土鬼とともに去ってゆく…。
ガラスの飛び散った教会のなかで
舞い込んだ雪風と共にロウ束の光が
…ふっとかき消えた。
…… ……
… …
…カチ。カチ。カチ。カチ。…カチリ。
…白金の天秤の重りが揺れ止まる。
‐…千年の刻をこえて、花恋絵巻が幕を開ける!…‐


