彼はまぎれもなく、優しさで出来ていた。

昼下がり。


白く無機質な天井に、私はそんな映像を投影していた。


入院は、読書好きな私にとっては積読を解消できるいい機会ではあるけど、
流石に四六時中読んでいるわけにはいかない。


どうしても、こうして物思いにふける時間というのはある。


そんなときによく思い出すのが、この、お母さんとの会話だ。


思い出す度に私は、自分の名前に込められた願いを大切にして生きたいと思うのだけど、
成長するにつれて、「名前負けしてしまっている感」が私にまとわりつくようになってしまった。


一つ目の花言葉は【遠慮】だった。


確かに私は、よく「遠慮」している。でも、自分が一番よく分かっている。


私がよくしている遠慮は、お父さんとお母さんが名前に込めた願いのそれとは意味合いが違っていることを。