洋介視点
漫画原稿30〜35ページ想定
地の文:ト書き
「」:発話フキダシ
():思考フキダシ
ーーーー:視点者のモノローグ
冒頭、高校の教室内。休憩時間で生徒たちが自由に立ち歩いて話したりしている賑やかな教室内
ーーーー人は誰しも〝他人に言えないこと〟の1つや2つあると思う
洋介の周りに男女数人が集まっている
洋介だけ他の男子よりも頭ひとつ分身長が高くスタイルがいい
当たり障りのない笑顔を作って周りの話に合わせている洋介
ーーーーもちろん俺にもある
洋介の隣にいた女子が「もー洋介ウケる!」と笑いながら洋介に腕を絡めて体を押し付ける。
女子を拒絶はしないものの、変わらず張り付いたような笑顔のままの洋介。
洋介(スライム……押し当てられたみてえ)
洋介のそばにいるモブ男子「なー俺 昨日彼女に拒否られてさあ」「親いない間にサッと終わらそう、って言っただけよ?」
モブ女子「やばいそれ終わってる!」「死ね猿!」
モブ男子「うそお! だって20分あれば出来るくない?」
モブ女子「早漏発言やめてくださーい」
モブたちの笑い声が重なる。
洋介(なにが面白いんだ? これ)
洋介も合わせて笑おうとしているが、かすかに口元が引きつっている。
ーーーー俺の場合はこれ
ーーーーみんなが笑うことを面白いと思えないこと
モブたちの口元だけのアップ(洋介がモブたちを理解不能で少し怖いと感じていることを表現するために目元はカット)
女子に絡められている腕の密着部分のアップ
ーーーーみんなが普通は喜ぶことを〝気持ち悪い〟と思うこと
モブ男子「そーいえばモモ こないだ一年のあの可愛い子振ったってマジ?」
モブ女子「あ! それ私も気になってたあ」前のめりで話に入ってくる女子
洋介「もー 君ら噂話すきだねー」いなすように笑う洋介
モブ女子「だってモモ 1年の頃からエグいほど告られてるのに 全員振るじゃん」
モブ男子「マジもったいねーよなあ あの1年ちゃんとか 俺だったら絶対いってるわー」
モブ女子「うっさい。猿はだまってて」
モブ男子「ひでー!」
腕を絡めているモブ女子「本当はモモに極秘彼女がいるんじゃないのかって みんなめっちゃ気にしてるよお」
絡めた腕を洋介にぎゅっと押し付ける
洋介「いないいない」下を向いて笑いながら、さりげなく女子の腕をほどく洋介
モブ女子「えー じゃあなんで?」
洋介「今はさ、彼女とか別にいいかなーって ほら彼女いると時間取られるじゃん」
洋介「君らとバカ話してるのが楽しいからさ」
モブ女子「えーーそれもう聖人ーー」
モブ女子「ならさ、気になってる人は? モモのタイプの女子知りたいなあ」
洋介「……うーん あんまこだわりないかも」困ったように笑う洋介
モブ女子「えー 秘密主義ー」
モブ男子「じゃあさ、俺のタイプ発表しようか?」
モブ女子「全く興味ありませーん」
モブたちが笑う声が重なる中、ちらっと窓際の方へ目をやる洋介
洋介(気になってる人……)
窓際の席に座って本を読んでいる純の引きの絵(洋介の目線から見た純)
純は黒髪で全体的に髪は長め。特に前髪は目を覆うほど長く、しかも眼鏡をかけていて目元はほぼ見えない。けれど姿勢は良く、文庫本を開いて一人で読んでいる。純の横の窓にかけられたカーテンが風でなびいている(自然な美しさ、品の良さみたいなニュアンスを表現)
ーーーー向こうはたぶん 覚えてもいないと思う
ここから回想シーン(以下、洋介が純に初めて惹かれた場面)
一年前の洋介たちの学年の入学式
場面が入学式のすぐ後、ということがわかるように、校門の前に立てられた入学式の看板や桜の絵のコマを最初に入れる
教師「写真撮り終わったクラスから、教室でガイダンス受けてくださーい」教師が指示する声だけが響く。
校庭で、他の新入生が浮き足だった様子で同級生と話したりしている中、洋介は一人でぼんやりと桜を見ている。
ーーーー楽しみ なんて到底思えなかった
ーーーー自分の異質さを ただ隠すだけの日々が始まるだけだと思った
ーーーーわかり合いたい、とか 受け入れてほしい、とか思わないけど
ーーーー合わない話に笑い続けるのは やっぱりわりと 疲れるから
ーーーーただ それだけが面倒だな と
満開の桜を見上げる洋介。
満開の桜が溢れるように花びらが洋介に散って降ってくる。
晴れやかで美しい桜と洋介の心の中の曇った気持ちがコントラストになるように表現する。
洋介(しかし アホみたいに咲いてんな)
洋介(人の気も知らねーで)
洋介(きれー……)
桜を見上げながら洋介がそう思ったと同時に、洋介の背中にドンッという衝撃と、「わっ……」という誰かの小さな声がする
洋介が振り向くと、純が地面に座り込んでいた
純「あ……すみません」
純「桜……見てて」
そう言いながら洋介を見上げる純。
眼鏡の奥の純の瞳は、ヘーゼルアイ(茶色と緑が混ざったような色素の薄い瞳)で、陽の光を受けて輝き、その上桜のピンク色も映り込んでいて、洋介が息を呑むほど幻想的な美しさだった。←ということが伝わるように、純の顔(美しい両目)のアップの絵。
洋介「きれー……」純の瞳を見つめたまま、無意識にこぼすように言う洋介
純「え?」
洋介「……だよね、桜が」とっさにごまかして笑う洋介
純「……あ……はい」俯むく純。顔が髪で隠れる
洋介(あ……隠れた……)
ーーーーたったそれだけの それ以上も以下もない出来事
ーーーーそれなのに あの光景が頭に焼き付いてしまって
場面転換。別の場面の回想シーン(だいたい入学式から数ヶ月経ったくらいの頃のイメージ)
洋介が友人と廊下を歩く。窓の外に目をやる洋介
ーーーーあの日以来なんとなく いつも探してしまった
窓の外には純がいて、一人で中庭を歩いている。それを見つける洋介。
洋介(あ いた)
洋介(いつも一人なんだよな)
洋介(靴、可愛い)
純が履いているNIKEのスニーカーをぼんやりと見ながら
洋介(服とか 意外と好きなのかな)
回想終了。以下、元の教室内。
ーーーー直接絡みは一切ないまま2年生になって 同じクラスになってからも、会話どころかほぼ声すら聞いたことがない
教室の席で本を読んでいる純の姿を見る洋介。
ーーーーだから ほとんど何もわからない ほぼ他人と同じ
モブ女子「だからね、モモはどう思う?」隣の女子に話を振られる
洋介「あー そーだねー」笑顔で(適当に)相槌を打つ洋介
洋介(結局あの日以来、一回も見れてないんだよな)
周りの同級生の話を笑顔で聞きながら、頭の中は純のことを考える洋介
洋介(あの目 もっかい見たいな……)
□
時間経過効果コマ+場面転換 週末の休日(洋介と男友達数人で渋谷で遊ぶ)
駅前っぽい場所で、数人の私服の男子がたむろしている引きの絵。
そのうちの一人の男子が「あ、モモこっちー」と洋介気づいた様子で手を振る。
視点が変わって、私服の洋介が近づいてくる絵
モブ男子「遅刻は罰金でーす」
洋介「電車遅延したんだよ」
モブ男子「遅延書出してくださーい」
洋介「ここ学校?」笑う洋介
洋介を含む数人で街を歩いているコマ
ここでも洋介が背が高くてスタイルが良いことがわかるように表現。洋介のファッションはカジュアル+ラフ(ゆったりしたシルエットの服)
道を歩いている洋介たちの横を一人の少女(同年代くらいの背丈)がすれ違う(顔は見えない)
モブ男子A「今の見た?」興奮を隠しきれない様子
モブ男子B「えっぐい可愛かったな」
モブ男子C「可愛すぎて息止まった」
モブ男子A「芸能人?」
モブ男子B「絶対そうだろ」
モブ男子C「渋谷やべー」
同級生の男子たちが口々に感想を言い合う中、洋介だけは時間が止まったように、すれ違った女子のほうを振り向いたまま硬直している。
モブ男子A「?」洋介の様子を見て「モモ? どした?」
すれ違った少女の足元のコマ(洋介の記憶の1シーン)よぎる(少女は純と同じNIKEのスニーカーを履いている)
洋介「ごめん、俺ちょっと抜ける」目はすれ違った女子の方を向けたまま
モブ男子「は?」
洋介「ごめんマジで 今度埋め合わせする!」
モブ男子「ちょっ……モモ!」
一人で走り出す洋介。少女を追いかける
細い路地に入る少女の背中。
女子の肩を掴む洋介。
洋介「ちょっとっ……」
振り返る女子。息を呑むほどの美少女。
洋介「東…?」
唖然とした表情の洋介と、渋い顔の美少女の対比コマ
洋介「東……だよな?」
純はしばらく黙った後、
純「……人違いじゃ?」俯いたままぼそりと言う
洋介「いや……いやいや! 絶対間違いねーよ!」
洋介「東純だろ!?」純の不機嫌そうな顔アップ
純が観念したように「はあ」と、ため息をつく。
純「そうだよ……」ぼそりと言う純
洋介「ほらあ!やっぱ合ってんじゃねー…か…」改めて純の姿を見て、語尾が萎んでいく洋介。どこから見ても美少女が目の前にいる
洋介「……だ、だいぶ印象違うね学校と」
純は苦虫を噛み潰したような顔で、「チッ」と小さく舌打ちをする。
純「最悪……学校の奴にばれるとか」
洋介(舌打ちした……)
洋介「えーと……その格好って 趣味?」
純「……そーだよ 悪い?」
洋介「いや……悪かない、けど……」
ーーーーこんなことある?
ーーーー密かに気になっていた同級生が 女装男子だったとか
洋介(脳の処理追いつかねー……)
じっと純を凝視する洋介
洋介(でも……)
洋介(めちゃくちゃ可愛いな……)
洋介(眼鏡してない……やっぱきれーな目)
純「他に用ないなら 俺もう行くから」
ーーーーあ やばい 行っちゃう
ーーーー引き止めなきゃ
洋介「東」
振り返る純
洋介は普段通りの笑顔
洋介「もしかしなくても その格好のこと 周りには隠してんだよな」
洋介「この状況って、お前にとって一巻の終わりなんじゃねーの?」
イラっとした表情の純
純「当たり前だろ 終わりだよ」
洋介「俺に口止めしなくていいの?」
純「……お前らみたいな奴が 俺の頼みなんか聞くわけないだろ」
純「口止めとか無駄なことしないよ」
洋介「信用ねーなあ」笑いながら頭を掻く
純「だから勝手にすればいい。言いふらすなり嘲るなり」
純「そもそもこの格好で外出歩いてる俺も悪いんだし 諦める」
純「じゃあ」
去ろうとする純
洋介「言わないよ」もう一度純を呼び止める洋介
洋介「このこと 誰にも言わない」
洋介「その代わり いっこ条件飲んでよ」
純「……は?」
明らかに怪訝な顔の純。どうせいじめみたいな条件を突きつけられるんだろうと想像して、嫌悪感を露わにしている。
純「……条件ってなに?」
洋介「俺の彼女のふりして」
向かい合う二人の引きの絵(大ゴマ)
洋介「やってくれたら このこと言わないでやるよ」
柔らかい笑顔の洋介と驚いた顔の純の対比コマでラスト引き
漫画原稿30〜35ページ想定
地の文:ト書き
「」:発話フキダシ
():思考フキダシ
ーーーー:視点者のモノローグ
冒頭、高校の教室内。休憩時間で生徒たちが自由に立ち歩いて話したりしている賑やかな教室内
ーーーー人は誰しも〝他人に言えないこと〟の1つや2つあると思う
洋介の周りに男女数人が集まっている
洋介だけ他の男子よりも頭ひとつ分身長が高くスタイルがいい
当たり障りのない笑顔を作って周りの話に合わせている洋介
ーーーーもちろん俺にもある
洋介の隣にいた女子が「もー洋介ウケる!」と笑いながら洋介に腕を絡めて体を押し付ける。
女子を拒絶はしないものの、変わらず張り付いたような笑顔のままの洋介。
洋介(スライム……押し当てられたみてえ)
洋介のそばにいるモブ男子「なー俺 昨日彼女に拒否られてさあ」「親いない間にサッと終わらそう、って言っただけよ?」
モブ女子「やばいそれ終わってる!」「死ね猿!」
モブ男子「うそお! だって20分あれば出来るくない?」
モブ女子「早漏発言やめてくださーい」
モブたちの笑い声が重なる。
洋介(なにが面白いんだ? これ)
洋介も合わせて笑おうとしているが、かすかに口元が引きつっている。
ーーーー俺の場合はこれ
ーーーーみんなが笑うことを面白いと思えないこと
モブたちの口元だけのアップ(洋介がモブたちを理解不能で少し怖いと感じていることを表現するために目元はカット)
女子に絡められている腕の密着部分のアップ
ーーーーみんなが普通は喜ぶことを〝気持ち悪い〟と思うこと
モブ男子「そーいえばモモ こないだ一年のあの可愛い子振ったってマジ?」
モブ女子「あ! それ私も気になってたあ」前のめりで話に入ってくる女子
洋介「もー 君ら噂話すきだねー」いなすように笑う洋介
モブ女子「だってモモ 1年の頃からエグいほど告られてるのに 全員振るじゃん」
モブ男子「マジもったいねーよなあ あの1年ちゃんとか 俺だったら絶対いってるわー」
モブ女子「うっさい。猿はだまってて」
モブ男子「ひでー!」
腕を絡めているモブ女子「本当はモモに極秘彼女がいるんじゃないのかって みんなめっちゃ気にしてるよお」
絡めた腕を洋介にぎゅっと押し付ける
洋介「いないいない」下を向いて笑いながら、さりげなく女子の腕をほどく洋介
モブ女子「えー じゃあなんで?」
洋介「今はさ、彼女とか別にいいかなーって ほら彼女いると時間取られるじゃん」
洋介「君らとバカ話してるのが楽しいからさ」
モブ女子「えーーそれもう聖人ーー」
モブ女子「ならさ、気になってる人は? モモのタイプの女子知りたいなあ」
洋介「……うーん あんまこだわりないかも」困ったように笑う洋介
モブ女子「えー 秘密主義ー」
モブ男子「じゃあさ、俺のタイプ発表しようか?」
モブ女子「全く興味ありませーん」
モブたちが笑う声が重なる中、ちらっと窓際の方へ目をやる洋介
洋介(気になってる人……)
窓際の席に座って本を読んでいる純の引きの絵(洋介の目線から見た純)
純は黒髪で全体的に髪は長め。特に前髪は目を覆うほど長く、しかも眼鏡をかけていて目元はほぼ見えない。けれど姿勢は良く、文庫本を開いて一人で読んでいる。純の横の窓にかけられたカーテンが風でなびいている(自然な美しさ、品の良さみたいなニュアンスを表現)
ーーーー向こうはたぶん 覚えてもいないと思う
ここから回想シーン(以下、洋介が純に初めて惹かれた場面)
一年前の洋介たちの学年の入学式
場面が入学式のすぐ後、ということがわかるように、校門の前に立てられた入学式の看板や桜の絵のコマを最初に入れる
教師「写真撮り終わったクラスから、教室でガイダンス受けてくださーい」教師が指示する声だけが響く。
校庭で、他の新入生が浮き足だった様子で同級生と話したりしている中、洋介は一人でぼんやりと桜を見ている。
ーーーー楽しみ なんて到底思えなかった
ーーーー自分の異質さを ただ隠すだけの日々が始まるだけだと思った
ーーーーわかり合いたい、とか 受け入れてほしい、とか思わないけど
ーーーー合わない話に笑い続けるのは やっぱりわりと 疲れるから
ーーーーただ それだけが面倒だな と
満開の桜を見上げる洋介。
満開の桜が溢れるように花びらが洋介に散って降ってくる。
晴れやかで美しい桜と洋介の心の中の曇った気持ちがコントラストになるように表現する。
洋介(しかし アホみたいに咲いてんな)
洋介(人の気も知らねーで)
洋介(きれー……)
桜を見上げながら洋介がそう思ったと同時に、洋介の背中にドンッという衝撃と、「わっ……」という誰かの小さな声がする
洋介が振り向くと、純が地面に座り込んでいた
純「あ……すみません」
純「桜……見てて」
そう言いながら洋介を見上げる純。
眼鏡の奥の純の瞳は、ヘーゼルアイ(茶色と緑が混ざったような色素の薄い瞳)で、陽の光を受けて輝き、その上桜のピンク色も映り込んでいて、洋介が息を呑むほど幻想的な美しさだった。←ということが伝わるように、純の顔(美しい両目)のアップの絵。
洋介「きれー……」純の瞳を見つめたまま、無意識にこぼすように言う洋介
純「え?」
洋介「……だよね、桜が」とっさにごまかして笑う洋介
純「……あ……はい」俯むく純。顔が髪で隠れる
洋介(あ……隠れた……)
ーーーーたったそれだけの それ以上も以下もない出来事
ーーーーそれなのに あの光景が頭に焼き付いてしまって
場面転換。別の場面の回想シーン(だいたい入学式から数ヶ月経ったくらいの頃のイメージ)
洋介が友人と廊下を歩く。窓の外に目をやる洋介
ーーーーあの日以来なんとなく いつも探してしまった
窓の外には純がいて、一人で中庭を歩いている。それを見つける洋介。
洋介(あ いた)
洋介(いつも一人なんだよな)
洋介(靴、可愛い)
純が履いているNIKEのスニーカーをぼんやりと見ながら
洋介(服とか 意外と好きなのかな)
回想終了。以下、元の教室内。
ーーーー直接絡みは一切ないまま2年生になって 同じクラスになってからも、会話どころかほぼ声すら聞いたことがない
教室の席で本を読んでいる純の姿を見る洋介。
ーーーーだから ほとんど何もわからない ほぼ他人と同じ
モブ女子「だからね、モモはどう思う?」隣の女子に話を振られる
洋介「あー そーだねー」笑顔で(適当に)相槌を打つ洋介
洋介(結局あの日以来、一回も見れてないんだよな)
周りの同級生の話を笑顔で聞きながら、頭の中は純のことを考える洋介
洋介(あの目 もっかい見たいな……)
□
時間経過効果コマ+場面転換 週末の休日(洋介と男友達数人で渋谷で遊ぶ)
駅前っぽい場所で、数人の私服の男子がたむろしている引きの絵。
そのうちの一人の男子が「あ、モモこっちー」と洋介気づいた様子で手を振る。
視点が変わって、私服の洋介が近づいてくる絵
モブ男子「遅刻は罰金でーす」
洋介「電車遅延したんだよ」
モブ男子「遅延書出してくださーい」
洋介「ここ学校?」笑う洋介
洋介を含む数人で街を歩いているコマ
ここでも洋介が背が高くてスタイルが良いことがわかるように表現。洋介のファッションはカジュアル+ラフ(ゆったりしたシルエットの服)
道を歩いている洋介たちの横を一人の少女(同年代くらいの背丈)がすれ違う(顔は見えない)
モブ男子A「今の見た?」興奮を隠しきれない様子
モブ男子B「えっぐい可愛かったな」
モブ男子C「可愛すぎて息止まった」
モブ男子A「芸能人?」
モブ男子B「絶対そうだろ」
モブ男子C「渋谷やべー」
同級生の男子たちが口々に感想を言い合う中、洋介だけは時間が止まったように、すれ違った女子のほうを振り向いたまま硬直している。
モブ男子A「?」洋介の様子を見て「モモ? どした?」
すれ違った少女の足元のコマ(洋介の記憶の1シーン)よぎる(少女は純と同じNIKEのスニーカーを履いている)
洋介「ごめん、俺ちょっと抜ける」目はすれ違った女子の方を向けたまま
モブ男子「は?」
洋介「ごめんマジで 今度埋め合わせする!」
モブ男子「ちょっ……モモ!」
一人で走り出す洋介。少女を追いかける
細い路地に入る少女の背中。
女子の肩を掴む洋介。
洋介「ちょっとっ……」
振り返る女子。息を呑むほどの美少女。
洋介「東…?」
唖然とした表情の洋介と、渋い顔の美少女の対比コマ
洋介「東……だよな?」
純はしばらく黙った後、
純「……人違いじゃ?」俯いたままぼそりと言う
洋介「いや……いやいや! 絶対間違いねーよ!」
洋介「東純だろ!?」純の不機嫌そうな顔アップ
純が観念したように「はあ」と、ため息をつく。
純「そうだよ……」ぼそりと言う純
洋介「ほらあ!やっぱ合ってんじゃねー…か…」改めて純の姿を見て、語尾が萎んでいく洋介。どこから見ても美少女が目の前にいる
洋介「……だ、だいぶ印象違うね学校と」
純は苦虫を噛み潰したような顔で、「チッ」と小さく舌打ちをする。
純「最悪……学校の奴にばれるとか」
洋介(舌打ちした……)
洋介「えーと……その格好って 趣味?」
純「……そーだよ 悪い?」
洋介「いや……悪かない、けど……」
ーーーーこんなことある?
ーーーー密かに気になっていた同級生が 女装男子だったとか
洋介(脳の処理追いつかねー……)
じっと純を凝視する洋介
洋介(でも……)
洋介(めちゃくちゃ可愛いな……)
洋介(眼鏡してない……やっぱきれーな目)
純「他に用ないなら 俺もう行くから」
ーーーーあ やばい 行っちゃう
ーーーー引き止めなきゃ
洋介「東」
振り返る純
洋介は普段通りの笑顔
洋介「もしかしなくても その格好のこと 周りには隠してんだよな」
洋介「この状況って、お前にとって一巻の終わりなんじゃねーの?」
イラっとした表情の純
純「当たり前だろ 終わりだよ」
洋介「俺に口止めしなくていいの?」
純「……お前らみたいな奴が 俺の頼みなんか聞くわけないだろ」
純「口止めとか無駄なことしないよ」
洋介「信用ねーなあ」笑いながら頭を掻く
純「だから勝手にすればいい。言いふらすなり嘲るなり」
純「そもそもこの格好で外出歩いてる俺も悪いんだし 諦める」
純「じゃあ」
去ろうとする純
洋介「言わないよ」もう一度純を呼び止める洋介
洋介「このこと 誰にも言わない」
洋介「その代わり いっこ条件飲んでよ」
純「……は?」
明らかに怪訝な顔の純。どうせいじめみたいな条件を突きつけられるんだろうと想像して、嫌悪感を露わにしている。
純「……条件ってなに?」
洋介「俺の彼女のふりして」
向かい合う二人の引きの絵(大ゴマ)
洋介「やってくれたら このこと言わないでやるよ」
柔らかい笑顔の洋介と驚いた顔の純の対比コマでラスト引き
