P1(扉/1コマ)

大コマ:冬の黎明、北門の外。千歳と朔真が並び立つ。街道は霜の銀。遠景に王城の黒い塔。千歳の鎖骨の輪紋が淡く灯り、朔真の喉紋には砂時計+「明」。
T:第6話「冬路、手を放すな」

P2(4コマ)

1 門前で見送る人々。子どもが焼き餅を差し出す。
子ども:『白薔薇さま、これ!』
千歳:『ありがとう。——必ず、戻るね』

2 朔真、子の頭を無骨に撫でる。
母親:『筆頭さまも、どうかご無事で』
朔真(小さく頷く)

3 桂庵が地図を開き、指で古道を示す。
桂庵:『王道は“見られて”いる。竹間(たけま)古道を抜けよう』

4 UI:鈴カウンタ 6/名印ゲージ 40%/喉紋砂 50%

P3(5コマ)

1 竹林の入口。風が低く鳴る。
SFX:ざわ…

2 千歳、歩きながら拍を二つ。
千歳(囁き):『一拍目、私。二拍目——あなた』

3 朔真、指で〈双拍〉の合図を返す。
SFX:す…

4 竹影の間に、人のような影がゆらめく。
千歳(心の声):(視線……誰か、いる)

5 道の中央に白い紙札が一枚ひらり。
UI:王印の小印/SFX:ひら…

P4(4コマ)

1 紙札が地に触れた瞬間、影が濃くなり、二人の足跡だけが消える。
桂庵(オフ):『影結び——影と道を離す呪(しゅ)だ』

2 千歳、足裏に“地を踏む感覚”が薄れる。よろめく。
千歳:『っ……地面が遠い——』

3 朔真、千歳の手を取って引き寄せる。
朔真(目で):〈離れるな〉

4 UI:喉紋砂 50→47%(道の“沈黙”が砂を削る演出)

P5(5コマ)

1 竹の合間から式狐が三体、影から這い出る。
SFX:すり…

2 千歳、耳元に近づくが鈴紋がちりと鳴り、声が絡む。
UI:鈴 6(点滅)

3 朔真、片腕で抱き寄せ、もう片手で刀を引き抜く。
SFX:チャキ…

4 千歳、無声囁きで短鍵。
千歳(無声):〈和〉

5 刀身が柔光、式狐の爪を受け流す。
SFX:ぎ…ん

P6(4コマ)

1 影が増え、道標が見えなくなる。
隊士(同行の一名):『前が——消えた!?』

2 千歳、筆を取り、地に小さく**〈在〉**と記す。
千歳:『“ここ”を作る。**導(しるべ)**が要る』

3 朔真、千歳の手の甲に指で線を二本——新しいテンポ。
朔真(目で):〈二長一短〉

4 二人、額コツン。
SFX:こつ
千歳(息):『——〈導〉(しる)』

P7(4コマ)

1 刀身に薄い方位譜が現れ、古文字譜が北東を指す。
UI:二重譜+矢印

2 朔真、矢印の方向へ斬って“道”を割る。
SFX:ザシュ

3 影が裂け、陽の色が差す細道。
隊士:『抜け道——!』

4 UI:喉紋砂 47→49%(“導”で息が戻る)

P8(5コマ)

1 だが頭上で鈴の連打。竹の梢から式紙が雨のように降る。
SFX:ちりりり…

2 千歳、喉札がぱさと剥がれかける。
千歳:『っ……!』

3 朔真、喉札を貼り直し、耳へ極短の息返し。
朔真(極小の声)『……いける』

4 千歳、頬を赤くして頷く。
千歳(無声):〈共に〉

5 二人、短い共語で畳み掛け。
二人(口形)〈抱〉→〈導〉→〈和〉
SFX:トン、トン(拍)

P9(4コマ)

1 まとめて影がはじけ、竹間の出口が見える。
SFX:ぱん…

2 朔真、最後尾の式狐を一閃。
SFX:ギン!

3 竹を抜ける。遠くに茶屋ののれん。
桂庵:『一息入れよう』

4 UI:鈴 6(据え置き)/名印 40%(維持)/喉砂 49%

P10(5コマ)

1 街道茶屋。湯気のたつ薬湯。千歳の喉に白い湯気がやさしく触れる。
千歳:『……生き返る』

2 朔真、無言で盃を軽く傾け“息返し”の形だけ再確認。
SFX:す…

3 千歳、耳元へ口形で合図。
千歳(口形)〈ありがとう〉

4 朔真、千歳の帯の結びをきゅ、と直す(ほどけかけていた)。
千歳(赤面)『あ、ありがとう……』

5 茶屋の外、黒羽紗那が笙を持って暖簾の影から覗く。
紗那:『——いいテンポ。次は記憶結びよ』

P11(4コマ)

1 紗那、卓へ来て盃を指で弾く。
紗那:『“記憶結び”は、たしかな記憶でしか解けない』

2 千歳:『確かめる方法は?』
紗那:『——同じ景色を、同じ拍で見ること』

3 窓の外、小雪が舞う。
千歳、朔真の指に自分の指を重ね、外を指差す。
千歳:『今の雪——覚えて。“二拍目”で』

4 紗那、楽しげに目を細める。
紗那:『夜、試してごらん? 成功したら鈴は一つ返す』

P12(5コマ)

1 夜。野営。薄雪の川辺。
UI:鈴 6(挑戦前)

2 二人、並んで雪を見る。千歳が拍を送る。
千歳(息):(一)
朔真(息):(二)

3 同時に同じ雪片を目で追い、同じ場所に落ちるのを見届ける。
SFX:はら…

4 二人、練り上げた新しい共語を極短で。
二人(口形)〈在雪(ざい)〉=「同じ雪を見た」印

5 鈴陣がふっと緩む。
SFX:ほど…
UI:6→5
紗那(遠景の木陰で微笑)『合格』

P13(3コマ・大きめ)

1(大) 二人、肩を寄せ、川面に映る二つの輪紋。円に近づく。
T(モノローグ・千歳):(同じ雪、同じ拍。私たちは同じものを見ている)

2 朔真の喉紋の砂がわずかに巻き戻り、縁が光る。
UI:喉砂 49→52%

3 千歳、朔真の手の甲に筆文字で〈導〉。
千歳(小声)『あなたが前で、私が灯(あかり)』

P14(5コマ)

1 翌朝、王城外郭の黒門が遠望に現れる。
隊士:『——見えた。王城だ』

2 門前には官人と近衛。式紙烏が肩に止まる。
官人:『筆頭榊と書記白瀬、勅により入城。ただし——別々に』

3 千歳、顔を上げる。
千歳:『“唯一無二”を、切り離すつもりですか』

4 近衛が鎖の印を掲げる。
近衛:『沈黙の間は一人ずつ。女は内侍所へ』

5 UI:鈴 5/名印 40%/喉砂 52%
千歳(心の声):(離される前に——言葉を置いていく)

P15(4コマ)

1 千歳、朔真の耳へ極近で無声。
千歳(無声):〈在雪。導。——離れても、同じ雪を見る〉

2 朔真、短く頷き、千歳の喉札の端を整える。
朔真(極小の声)『……行く』

3 官人が巻物を開き、形式ばった文言を読み上げる。
官人:『沈黙の儀、予備参列——』

4 黒門の巨大な扉が開き始める。
SFX:ぎ…ぎ…

P16(ラスト1コマ)

大コマ 黒門の裂け目に、闇の回廊。二人の影が一瞬重なり、すぐ離れる。千歳の鎖骨の輪紋がひかり、微かに線で繋がる。
T(モノローグ・千歳):(手を放しても、言葉で繋がる。——王の沈黙よ、待っていなさい)
C:To Be Continued