エーイーリーの領域は、銀警官の国の街の廃墟だった。崩れた銀の建物が霧に沈み、地面には瓦礫と砕けた石が散乱していた。廃墟の中心には、かつての神殿の残骸が立ち、銀の破片が月光を鈍く反射した。エーイーリーは白髪を垂らし、白瞳が無邪気な笑顔を絶やさなかった。巨体は粗末な革の鎧に覆われ、動くたびに擦れる音が響いた。石槌は巨大で、表面に無数の亀裂が走り、柄には粗雑な布が巻かれていた。槌を振るたびに、瓦礫が飛び散り、地面が震えた。胸に刻まれた紋章の「渦巻き」は、鉄の装飾で、破壊の無自覚さを象徴した。
「お腹すいた……ご飯は……」
エーイーリーは無邪気に街を壊し、理由も目的も考えなかったが、心の底では自身の存在が無意味に終わる恐怖に無意識に苛まれていた。
この夜、エーイーリーは廃墟の中心で石槌を振り回していた。槌の亀裂から埃が舞い、瓦礫が砕ける音が響いた。白瞳が笑顔で輝き、革の鎧が月光を鈍く反射した。
「ご飯! お腹空いた! ご飯!(以下略)」
彼の声は無邪気で、廃墟に反響した。神殿の残骸が揺れ、銀の破片が地面に落ちた。霧が揺れ、純白の影が廃墟に現れた。朝日だった。白髪が月光に輝き、白金の瞳が瓦礫の闇を切り裂いた。純白の軍服は銀の破片を凌駕し、肩の秩序の紋章が冷たく光った。光条銃の銃身には細かな刻印が施され、銃剣の刃が鋭く輝いた。銃剣の水晶が脈動し、白金の閃光を放ち、まるで法そのものが廃墟を裁くようだった。朝日の足音が瓦礫を踏み、かすかな砕ける音が響いたが、埃は彼に触れず、霧に溶けた。
エーイーリーは朝日を見て笑った、石槌を振り上げたが、一瞬だけ奇跡の冷静な感情が降り掛かった。
「わぁ……わぁ???」
白瞳が無邪気に輝き、革の鎧が擦れる音を立てた。槌の亀裂が広がり、地面が震えた。だが、朝日の白金瞳が一閃。
「秩序を乱す存在」
その声は氷のように冷たく、空間を凍らせた。石槌の亀裂が砕け、柄の布が霧に溶けた。革の鎧が裂け、渦巻きの紋章が崩壊した。エーイーリーの笑顔が凍り、首が音もなく落ちた。
「……?????」
彼は理解せず、体が霧と消滅した。神殿の残骸が低く唸り、銀の破片が霧に散った。
朝日は無言で立ち、光条銃を肩に担いだ。銃剣の水晶が一瞬だけ光を放ち、秩序の紋章が輝いた。霧が廃墟を覆い、瓦礫が静寂に沈んだ。朝日の姿が霧に溶け、廃墟の輝きは失われ、ただ冷たい銀の残響だけが残った。