ツァーカムの宮殿は、銀警官の国の南端に広がる「楽園」だった。銀の柱が月光を浴び、壁には白髪の民を模した彫刻が並び、快楽の美を讃えた。庭には銀の鎖が網のように張り巡らされ、選ばれた美男美女が縛られ、踊り続ける場だった。宮殿の天井はガラス張りで、霧の光が屈折し、内部を妖しい輝きで満たした。ツァーカムは白髪を優雅に流し、白瞳が魅惑的に輝いた。裸に近い薄絹の衣装は、銀の糸で縫われ、動くたびに光を放った。手に持つ鞭は蛇のようにしなり、先端に嵌められた銀の棘が鋭く光った。鎖は無数の環が連なり、まるで彼の欲望が形を成したようだった。胸に刻まれた紋章の「双蛇」は、銀の刺繍が複雑に絡み合い、肉体の誘惑と支配を象徴した。
「美しき者のみが生きる価値がある。快楽こそ、すべて。ただし、ブス(黒者と白黒者)は死ね！」
ツァーカムは肉体美で民を選別し、快楽の牢獄を築いていたが、心の底では美の虚飾が崩れる恐怖に苛まれていた。
この夜、ツァーカムは宮殿の庭の中心に立ち、鞭を振って鎖を操っていた。銀の鎖が空気を切り、環がカチャリと音を立てた。庭のガラス天井から漏れる霧の光が、薄絹の衣装を透かし、彼の白瞳を妖しく照らした。ツァーカムは微笑み、鎖を引いて新たな獲物を引き寄せようとした。だが、霧が揺れ、純白の影が宮殿の門をくぐった。朝日だった。白髪が月光に輝き、白金の瞳が快楽の輝きを切り裂いた。純白の軍服は金の柱を凌駕し、肩に刻まれた秩序の紋章――無数の直線が交錯する幾何学模様――が冷たく光った。光条銃、秩序の裁銃は、銃身に細かな刻印が施され、銃剣が合体した刃が鋭く輝いた。銃剣の先端に嵌められた水晶が、霧の光を屈折させ、白金の閃光を放った。朝日の足音が庭に響き、鎖の音が一瞬止まった。
ツァーカムは朝日を睨み、鞭を振り上げた。
「出たなホモtheゲイ！ この楽園に立ち入る資格はない！」
白瞳が朝日を絡め取ろうと輝き、薄絹の衣装が風に揺れた。鎖が蛇のようにうねり、朝日を縛ろうとした。だが、朝日の白金瞳が一閃。
「公序の外乱」
その声は氷のように冷たく、宮殿の空気を凍らせた。鞭の棘が砕け、鎖の環が次々と割れ、ガラス天井がひび割れた。ツァーカムの肉体が透明化し、薄絹の衣装が霧に溶けた。双蛇の紋章が銀の刺繍から剥がれ、空中で崩壊した。
「ぎゃあああああああああ(以下略)！！！！」
彼は叫び、その途中で声は途切れ、存在が消去された。銀の柱が低く唸り、庭の鎖が地面に落ち、静寂が宮殿を満たした。
朝日は無言で立ち、光条銃を肩に担いだ。銃剣の水晶が一瞬だけ脈動し、白金の光を放った。霧が庭を覆い、ガラス天井の破片が音もなく落ちた。宮殿は暗闇に沈み、朝日の姿が霧に溶けた。楽園の輝きは失われ、ただ冷たい銀の残響だけが残った。