銀警官の国の中央広場は、アィーアツブスの領域だった。銀の舗装が霧を反射し、広場の空気は彼の感情で揺れ動いた。舗装には無数の細かな刻印――笑顔と涙の仮面が交互に並ぶ模様――が施され、月光を乱反射して不気味な輝きを放った。広場の周囲には銀の柱が立ち、頂上に炎が灯された燭台が揺らめいた。アィーアツブスは白髪を乱れ気味に流し、白瞳が喜びと涙で揺らめいた。巨躯は銀の鎧に覆われ、肩には鋭い棘が突き出し、動くたびにカチャリと鳴った。双刃の大剣は、両端に鋭い刃が対称に伸び、刃の表面に感情の波を模した波紋が刻まれていた。剣の柄は銀と黒の革で巻かれ、握るたびに微かな振動を放った。胸に刻まれた紋章の「二つの仮面」――笑顔と涙――は、銀の装飾で、感情の嵐を象徴した。
「喜ぼう！ いや、すべて無意味だ！」
アィーアツブスの声は広場を震わせ、感情が空気を支配した。笑いは祭りを呼び、怒りは暴動を招いたが、心の底では感情の空虚さに怯えていた。
この夜、アィーアツブスは広場の中心で双刃の大剣を振り回していた。剣の刃が空気を切り、波紋の刻印が月光を乱反射した。鎧の棘が燭台の炎を映し、白瞳が狂気と悲哀で揺れた。
「我が心を分かち合うんだぁ！ 喜びも涙も、すべて味わうがいい！」
彼の笑顔が広場を沸かせ、突然の涙が空気を重くした。燭台の炎が揺れ、銀の舗装が不気味に光った。霧が揺れ、純白の影が広場に現れた。朝日だった。白髪が月光に輝き、白金の瞳が感情の嵐を切り裂いた。純白の軍服は金の舗装を凌駕し、肩に刻まれた秩序の紋章――無数の直線が交錯する幾何学模様――が冷たく光った。光条銃、秩序の裁銃は、銃身に細かな刻印が施され、銃剣の刃が鋭く輝いた。銃剣の先端に嵌められた水晶が、霧の光を屈折させ、白金の閃光を放った。朝日の足音が舗装を踏み、刻印がかすかに震えたが、炎は彼に触れず、霧に溶けた。
アィーアツブスは朝日を睨み、双刃の大剣を振り上げた。
「何だい君は？ 僕の自由時間を邪魔する気かい？」
白瞳が朝日を射抜き、鎧の棘がカチャリと鳴った。剣の波紋が輝き、広場の空気が揺れた。だが、朝日の白金瞳が一閃。
「召せ」
その声は氷のように冷たく、空間を凍らせた。大剣の刃が震え、波紋がひび割れ、柄の革が剥がれた。鎧の棘が折れ、二つの仮面の紋章が砕けた。笑顔が凍り、涙が乾き、アィーアツブスの心臓が止まった。
「僕の心が…僕の感情が…！」
彼は叫ぼうとしたが、声は途切れ、体は霧のように消滅した。燭台の炎が消え、銀の舗装が光を失った。
朝日は無言で立ち、光条銃を肩に担いだ。銃剣の水晶が一瞬だけ脈動し、白金の光を放った。霧が広場を覆い、銀の柱が低く唸った。朝日の姿が霧に溶け、広場は暗闇に沈んだ。感情の輝きは失われ、ただ冷たい銀の残響だけが残った。