紅緒様には直接会って話すべきだと思うけど、私はもう少しこちらに残ると決めたから、それでは後手後手だ。早めに連絡すべきだとも思う。

『真紅――!』

『紅緒うるさい』

あははー、相変わらず過ぎる叔母だ……。

水鏡を繋いだ途端叫ばれた……。

ママに――あ、母様に羽交い絞めにされている。じゃなきゃ今にもこっちに飛んできそうだ。

「あ、あの、母様、紅緒様……」

『逆仁殿から聞きましたよ』

「う……れ、連絡が遅くなって申し訳ありません……」

『いえ、怒っているわけではありません』

『紅緒はいつも勢いが非道いのよ……』

母様が額を押さえて嘆いている。

「母様、勝手に決めちゃってごめんなさい」

『……真紅ちゃん……その、母様って言うの、なんか落ちつかないんだけど……』

と、照れた様子の母様。うーん。

「でも、いつまでもママって言ってるわけにいかないし……。それこそ立場上? とか……。あ、お母様の方がよかった? おばあ様のこと、お母様って呼んでたよね?」

『そこじゃないのよ、真紅ちゃん……。いいわ、わたしが慣れればいいだけだから。それで真紅ちゃん、元気にしてる? 変わりない?』

「うん。紅と藍子さんが傍に居てくれるから淋しくないし、まあ各家当主の人とかと顔合わさなくちゃいけない場面も多いけど。大丈夫、無茶せずにやってるよ」

『そう? ならよかったわ』

「あはは、暴走しないように気をつけるのに必死だよ。黎にしか止められないって、母様も紅緒様も脅してくるから」

『事実よ、真紅ちゃん。暴走癖は紅緒に似たのね』

『わたくしは姉様に似ました』

『あら、わたしにそんなものあったかしら?』

『……ありません』

母様に軍配。シスコンの紅緒様は、母様には勝てない。

『紅姫は変わりないですか? 長いこと天龍に滞在するのは初めてですから、不調になることもあるかもしれません』