数分くらい沈んでいただろうか。
この底なし沼に落ちていっていた。
とにかく上がらなきゃと思いあたりを見渡す。
周りは液体状の魔物、「スライム」の住処になっていた。
どうやら沼はほとんどスライムが支配しているようだった。
無機物で生成された弱い私は空気のようで、彼らは私の存在を気にしない。
私はせっかくなので、周りを探索してみることにした。
スライム同士でも格差があり、
「レッサースライム」、「スモールスライム」、「ビッグスライム」、「キングスライム」がある。
「キングスライム」くらいになると、人間の姿に変化するものも現れる。
まぁこの沼の中じゃ変化する意味もないけれど。
スライムの種類の違いは大体大きさでわかるものだ。
というか、スライムは他種への弱いものいじめは決してしない生物。
その代わり、スライム同士のいじめはかなり大きい。
ふと見上げると、スモールくらいの子が一匹のレッサーくらいの子をいじめていた。
その子は、他のスライムと違って真っ白で、クラーケンのような耳と尻尾が生えていた。
周りと違うことでいじめられているのだろうか。
私は我慢できず、その子を連れて沼を飛び出した。
急なことだっただろうに、スモールの子は私の行動には何も感じていなかった。
しかし、レッサーの子は、さらにいじめられるのではないかとこちらに対し震えている。
私は両手にその子を乗せ、改めてまじまじと見つめる。
手の拳くらいに小さい体。
真珠のように綺麗なその体は、いじめられていたためか、少し傷がついている。
私は事前に持っていた回復ポーションを傷にかける。
みるみるうちに傷跡はなくなり、その子は驚いたようにこちらを見て、元気いっぱいに飛び跳ねた。
私は丁寧にその子を地面に下ろし、沼から離れる。
この子はちゃんと自然にかえるべきだし。
けれど、レッサーの子は私の足をガッチリと掴んで離さない。
私は不思議にその場にしゃがむ。
「ねぇ、私についていくなら、たくさん苦労するよ、それでもいいの?」
この子はこくりと頷き、私の左肩に乗って、しっかりと掴む。
「分かった、今日から一緒に旅をしよう。この世界よりもっと広い世界を見に行こうか!」
私と一匹は、まだ見ぬ土地へと向かうのだった。
だけど、この子にであった瞬間、この「箱庭」も、それ以外の世界の歯車は
確実に動き出していた。
この底なし沼に落ちていっていた。
とにかく上がらなきゃと思いあたりを見渡す。
周りは液体状の魔物、「スライム」の住処になっていた。
どうやら沼はほとんどスライムが支配しているようだった。
無機物で生成された弱い私は空気のようで、彼らは私の存在を気にしない。
私はせっかくなので、周りを探索してみることにした。
スライム同士でも格差があり、
「レッサースライム」、「スモールスライム」、「ビッグスライム」、「キングスライム」がある。
「キングスライム」くらいになると、人間の姿に変化するものも現れる。
まぁこの沼の中じゃ変化する意味もないけれど。
スライムの種類の違いは大体大きさでわかるものだ。
というか、スライムは他種への弱いものいじめは決してしない生物。
その代わり、スライム同士のいじめはかなり大きい。
ふと見上げると、スモールくらいの子が一匹のレッサーくらいの子をいじめていた。
その子は、他のスライムと違って真っ白で、クラーケンのような耳と尻尾が生えていた。
周りと違うことでいじめられているのだろうか。
私は我慢できず、その子を連れて沼を飛び出した。
急なことだっただろうに、スモールの子は私の行動には何も感じていなかった。
しかし、レッサーの子は、さらにいじめられるのではないかとこちらに対し震えている。
私は両手にその子を乗せ、改めてまじまじと見つめる。
手の拳くらいに小さい体。
真珠のように綺麗なその体は、いじめられていたためか、少し傷がついている。
私は事前に持っていた回復ポーションを傷にかける。
みるみるうちに傷跡はなくなり、その子は驚いたようにこちらを見て、元気いっぱいに飛び跳ねた。
私は丁寧にその子を地面に下ろし、沼から離れる。
この子はちゃんと自然にかえるべきだし。
けれど、レッサーの子は私の足をガッチリと掴んで離さない。
私は不思議にその場にしゃがむ。
「ねぇ、私についていくなら、たくさん苦労するよ、それでもいいの?」
この子はこくりと頷き、私の左肩に乗って、しっかりと掴む。
「分かった、今日から一緒に旅をしよう。この世界よりもっと広い世界を見に行こうか!」
私と一匹は、まだ見ぬ土地へと向かうのだった。
だけど、この子にであった瞬間、この「箱庭」も、それ以外の世界の歯車は
確実に動き出していた。
