【連載】月光カクテル - Moonlight in Your Glasses -

「ごめん」
その熱いほどの温もりを感じたら、素直にそう言えた。涙が出そうだった。
俺の細い身体が、すっぽりと収まってしまう広い胸。太くて長い腕。
俺は、
ずっとこの胸に抱きしめられたかった。

もう友達の振りをするのは無理だよ。
そう言おうとしたら、ふわっと唇を塞がれた。
涙が滲んだら、ごつごつした指で不器用に掬い取られた。
長くて深いキスで足の力が抜けたら、両足の間に膝を入れられ、両手首を掴まれて玄関のドアに押しつけられた。
「好きだ 」

「俺も」
彼の肩越しに、
まるでムーンストーンのような丸い月が、藍色の空にぽっかりと浮かんでいるのが見えた。


2025.07.01
Mika Aoi 蒼井深可