マニキュアでも塗っているのか爪は真珠色を帯びたピンクで柔らかい楕円の形を描く。
細く、少し節が出た指。やはり男のだ。顔の色に比べてその手は、まるで透明味を帯びるような白さだった。
「お待たせしました」
その綺麗な手が、隣の女性にグラスを差し出す。
コースターはやはりパッチワーク。赤と白の格子模様。
何て美しい。
「ご注文はお決まりですね?」
眩しいくらいに美しい -
「え? 俺、まだメニューを、」
「この店、メニューを置いていないんですよ」
「え、」
じゃ、じゃあ、どうやって注文を?
きょとんとした俺に、マスターがにっこりと微笑む。微笑んだ先から、
「お作りします」
ひらひらと花びらが、舞って行きそうな笑みだった。
お任せ、って事かな。
俺はマスターの言う通り、大人しくカクテルが出来上がるのを待った。
そう言えば、酒の好みや強さなどを伝えていない。大丈夫だろうか?
俺がそう思って、酒瓶を選ぶマスターの背中を見たら、マスターが振り返ってにこっと笑った。
(本当に綺麗なひと)
俺、こんなに惚れっぽかったかな?
そう思いながら俺は、ふと、ビジネスバッグの中のスマホの存在を思い出した。
(返信)
やっぱり来ない。
やっぱり、怒ってる。
あの優しさの権化みたいなあいつが -
どうして肝心な時に素直になれないんだろう、俺。
マスターが選び出した瓶は3本あった。どれもラベルがついていない。
そう言えばこの店にある酒瓶にはどれもラベルがついていないのだった。
(大丈夫かな)
不安になって来た俺にマスターがまたにっこりと微笑む。
(信用しよう)
何故か素直にそう思えた。
細く、少し節が出た指。やはり男のだ。顔の色に比べてその手は、まるで透明味を帯びるような白さだった。
「お待たせしました」
その綺麗な手が、隣の女性にグラスを差し出す。
コースターはやはりパッチワーク。赤と白の格子模様。
何て美しい。
「ご注文はお決まりですね?」
眩しいくらいに美しい -
「え? 俺、まだメニューを、」
「この店、メニューを置いていないんですよ」
「え、」
じゃ、じゃあ、どうやって注文を?
きょとんとした俺に、マスターがにっこりと微笑む。微笑んだ先から、
「お作りします」
ひらひらと花びらが、舞って行きそうな笑みだった。
お任せ、って事かな。
俺はマスターの言う通り、大人しくカクテルが出来上がるのを待った。
そう言えば、酒の好みや強さなどを伝えていない。大丈夫だろうか?
俺がそう思って、酒瓶を選ぶマスターの背中を見たら、マスターが振り返ってにこっと笑った。
(本当に綺麗なひと)
俺、こんなに惚れっぽかったかな?
そう思いながら俺は、ふと、ビジネスバッグの中のスマホの存在を思い出した。
(返信)
やっぱり来ない。
やっぱり、怒ってる。
あの優しさの権化みたいなあいつが -
どうして肝心な時に素直になれないんだろう、俺。
マスターが選び出した瓶は3本あった。どれもラベルがついていない。
そう言えばこの店にある酒瓶にはどれもラベルがついていないのだった。
(大丈夫かな)
不安になって来た俺にマスターがまたにっこりと微笑む。
(信用しよう)
何故か素直にそう思えた。



