あぁ、疲れた……
終電は満員で、俺はつり革にぶら下がるように下を向いて大きなため息を吐きだした。
前にいた会社員風の女性があからさまに嫌な顔をして振り返る。俺、痴漢じゃねーし!
頭に来たから思いっきり睨みつけてやる。女性は黙って目をそらした。
今日は厄日か?
車内の蒸し暑さでうっすら汗をかいてきた、つい、首筋を指先でぽりぽりとかいた。
今日、
俺は、発注ミスをした。
入社して4年、初めての大きなミスだった。
同僚がすぐに気付いて取り消してくれたので大事にはいたらなかったけれど、その同僚とその後すぐ会議で大きく揉めてしまった。
同期入社。そいつの方が成績が良い。
俺は、
焦っているのだろうか。
流れる夜の町並みを窓から眺めながら俺は考える。光の筋が住宅街を撫でる。奇跡のように綺麗で追いつけない。
焦っている。
電車がトンネル内に入って黒く染まった窓に俺自身の姿が映った。
家に帰っても食べるものがないので、アパートの最寄り駅の近くの大衆居酒屋で生ビールの小ジョッキとアジの干物を注文した。
最近、食欲ないな。5月で気候が変わりやすいからだろうか。
カウンター席もテーブル席もぎっしりで、楽しげな笑い声が響いている。
笑い声。笑顔。
(返信来ないな……)
カウンターの上に投げ出したラピスラズリ・ブルーのスマートフォンは沈黙したままだ。
(俺から謝らなきゃならないのかな)
笑顔。
終電は満員で、俺はつり革にぶら下がるように下を向いて大きなため息を吐きだした。
前にいた会社員風の女性があからさまに嫌な顔をして振り返る。俺、痴漢じゃねーし!
頭に来たから思いっきり睨みつけてやる。女性は黙って目をそらした。
今日は厄日か?
車内の蒸し暑さでうっすら汗をかいてきた、つい、首筋を指先でぽりぽりとかいた。
今日、
俺は、発注ミスをした。
入社して4年、初めての大きなミスだった。
同僚がすぐに気付いて取り消してくれたので大事にはいたらなかったけれど、その同僚とその後すぐ会議で大きく揉めてしまった。
同期入社。そいつの方が成績が良い。
俺は、
焦っているのだろうか。
流れる夜の町並みを窓から眺めながら俺は考える。光の筋が住宅街を撫でる。奇跡のように綺麗で追いつけない。
焦っている。
電車がトンネル内に入って黒く染まった窓に俺自身の姿が映った。
家に帰っても食べるものがないので、アパートの最寄り駅の近くの大衆居酒屋で生ビールの小ジョッキとアジの干物を注文した。
最近、食欲ないな。5月で気候が変わりやすいからだろうか。
カウンター席もテーブル席もぎっしりで、楽しげな笑い声が響いている。
笑い声。笑顔。
(返信来ないな……)
カウンターの上に投げ出したラピスラズリ・ブルーのスマートフォンは沈黙したままだ。
(俺から謝らなきゃならないのかな)
笑顔。



