胸が破れそうになっても、
足がもつれそうになっても、
立ち止まる事が出来なかった。
一気に山道を駆け下り、修道院までひた走る。
シスターの皆はもうとっくに眠っている時間だ。一階の端にある自室の窓から再び部屋に戻った。
暗闇の中、鍵をかけ直したばかりの窓を背にして座り込む。心臓がばくばく鳴り響き、乱れた呼吸はしばらく落ち着きそうもない。
──『もうここには来るな』。
それが彼の優しさだとわかっていた。
そうするべきだと自分でも思ったのに、どうして涙が止まらないんだろう。
「ひ、く……」
皆に聞こえないように。心配かけないように。膝に顔を埋め、ただただ泣いた。
……神様、
あの人と出会う前の私に戻してください。
朝がきたら、ちゃんとまた笑えるように。
声も、笑顔も。手の温度も。
あの人との思い出の全てを
私の中から消してください。
足がもつれそうになっても、
立ち止まる事が出来なかった。
一気に山道を駆け下り、修道院までひた走る。
シスターの皆はもうとっくに眠っている時間だ。一階の端にある自室の窓から再び部屋に戻った。
暗闇の中、鍵をかけ直したばかりの窓を背にして座り込む。心臓がばくばく鳴り響き、乱れた呼吸はしばらく落ち着きそうもない。
──『もうここには来るな』。
それが彼の優しさだとわかっていた。
そうするべきだと自分でも思ったのに、どうして涙が止まらないんだろう。
「ひ、く……」
皆に聞こえないように。心配かけないように。膝に顔を埋め、ただただ泣いた。
……神様、
あの人と出会う前の私に戻してください。
朝がきたら、ちゃんとまた笑えるように。
声も、笑顔も。手の温度も。
あの人との思い出の全てを
私の中から消してください。
